正名僕蔵のすすめコミュの正名僕蔵のすごさ

【あらすじ】 通勤ラッシュで混雑する電車の中で 痴漢に間違えられてしまったフリーターの金子徹平。 無実の罪を被って示談で済ませるという 警察からの提案を拒み、 あくまで濡れ衣を晴らそうとする徹平は、 逮捕され、更には起訴されることとなってしまう。

そして、徹平と彼の支援者達は 長い法廷での戦いに突入するのだった。

【レビュー】

端的に言うと現代のホラー映画に思えました。

ホラー映画のように起承転結はあくまでしっかりしていて、 何の変哲も無い平凡な主人公が巻き込まれていく恐怖と もがけば、もがくほど泥沼にはまっていく悲惨な状況。 やがて、僅かに射した希望の光は 最後の最後であっけなく潰えてしまうという後味の悪いラス ト。

まさに現代のホラー映画でした。

しかし、ホラー映画と言っても ホラー映画特有のチープさとは無縁のものでした。 チープさの代わりに感じれたのは圧倒的なリアリティです。

通常、僕は「裁判官」や「弁護士」などを思い浮かべる時、 のっぺらぼうな人情味の無い人間を 想像してしまう傾向があるんですが、 実際に働く彼らはちゃんと家族があり友人居る と言うことはよく分かっているんですが、 なーんとなくそんな想像をしてしまいがちでした。

この作品に描かれているのは、 まさにそれぞれに強烈な個性を持った 裁判官と弁護士。

強烈な個性を持った役者陣が演じる彼らを見ていると、 のっぺらぼうを想像しがちな僕としては 裁判に対するリアリティがビンビンに感じられる作品に思えま した。

主役の被告人である 加瀬亮を囲む俳優陣は 豪華そのもの。

役所広司の演じる正義感溢れる弁護士の存在には 藁にもすがるような思いの被告人らの心の支えだが、 同時にその温かみさえ感じさせる存在感は 画面の中だけでは収まらず、 こちらにもちゃんと伝わってきましたねぇ。

他にも瀬戸朝香、もたいまさこ、山本耕史、小日向文世、竹中 直人など と、俳優陣はこの上ない実力派の役者陣が脇を固めていました が、 しかしながら何と言っても僕が衝撃を受けたのは 正名僕蔵の演技でした。

裁判官という難しい職業を誠実にこなしている人は おそらくこんなキャラクターになるのだろうと言う役を 非常に上手く演じていたと思います。

正名僕蔵はあまりメジャーな役者ではないので この人はもしかしたら本物の裁判官なのかもしれないと 思う人がいてもおかしくない、 と、それぐらいリアルな芝居でした。

事件直後から駅員、目撃者、刑事、弁護士と 次々と主人公の前に現れる面々。

あまりにも不条理で目も当てられない展開に そのそれぞれが敵なのか味方なのかという目で 見てしまうという癖が主人公と同様に見てる側も出来上がった ところで 登場するのがこの正名僕蔵演じる裁判官。

表情をやや強ばらせながら言葉を丁寧に選びながら話す口調や 本心を人に読ませないような 裁判官特有の雰囲気まで醸し出しています。

それ故に敵か味方か見当がつかない上に 人間味さえちゃんと感じさせながらも、 結局は裁判というのは敵や味方という構図で語るべきものでは ない ということが次第にわかっていきます。

この裁判官の存在はまさに裁判を象徴するものなのでしょう。 と、そんなことまで思わせる程に強烈な存在感でした。

さて、映画内容に戻るが 公開当時も話題になっていたが、 監督自ら傍聴に参加し リサーチを続けただけあって 内容は本当にただただリアルだった。

この映画の後味の悪さは 実際に裁判をした後の 後味の悪さそのものかもしれないですねぇ。

僕自身、満員電車に乗る時、両手を上げる癖がつきました。 そんな癖がつくほどにリアルだった訳です。

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プライバシーについて

オススメ：★★★★☆

監督：周防正行 製作：亀山千広 キャスト：加瀬亮 『山のあなた〜徳市の恋〜』、役所広司 『バベル』、 瀬戸朝香 『L change the WorLd』、もたいまさこ『かもめ食 堂』、 山本耕史『彼岸島』、小日向文世『アウトレイジ』、正名僕蔵 『かづら』 製作国：日本 公開：2007年 上映時間：143分

タグ ： それでもボクはやってない 周防正行 加瀬亮 役所広 司 正名僕蔵

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