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日記コワイアルコミュのスクエア

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これは学生時代の出来事です。


当時スキー部に所属していた私は、毎年冬になると授業そっちのけで雪山に籠っていました。
これは、大学3年の全体合宿で体験した出来事です。

当時、部活内では滑走禁止エリアを滑るのが流行っていました。
その日、私達5人は頂上からゲレンデの裏側にあたる滑走禁止エリアを滑っていました。
午後になるとパトロールの人に見付かり、お約束の追いかけっこが始まったのです。

その日はパトロールの人もいい加減しつこく、なかなか逃げる事は出来ません。

夕方になってやっとで逃げ切ったと思っていたら、自分たちの居場所が分からなくなっていました。

まだ夕方でしたが、気が付いたら辺りは真っ暗。
ゲレンデもリフトも見えず、軽く吹雪いてくる始末。

「やばいだろこれ」を頭の中で連呼しつつも、

「どうする?どっち行く?」

「とりあえず下に向かえばそのうち麓に出れるだろ」

などと間の抜けた会話をしていたのを覚えています。

ほとんど傾斜が無いので、板を外して歩いて移動する事になりました。
やばい事は全員分かっていたと思いますが、遭難したなど完全に禁句、それだけは暗黙の了解だったのです。

そして歩くこと1時間、思わず「完全に遭難したね」と口走ったAが皆にフルボコボコにされてから更に2時間後…

2棟の山小屋に辿り着いたのです。

吹雪は強くなるばかりで、今夜は山小屋に泊まるしかありません。

山を抜けられなかった焦りはありましたが、とりあえずは山小屋に辿り着いた安堵から、全員が薄ら笑いに近い表情になっていました。

とりあえず右の山小屋に入ろうと私が進み出した時、怪談好きのBが言いだしました。

「あれやろう、あれ。スクエアだっけ?」

Bが言うあれとは、都市伝説で有名なアレです。


※都市伝説で有名なアレの説明

吹雪で山小屋に閉じ込められた4人の登山家が、それぞれ部屋の4角に別れて立ち、順番に次の角の人をタッチして回ったという例のアレです。
それを繰り返せば眠らずに朝を迎えられるので、誰も凍死しないという画期的な方法です。
その登山家4人は朝まで回り続けて無事に生還出来るのですが、後から考えたらこの方法は5人いなければ成り立たないという事に気が付くのです。
何故なら、最初の人がスタートした時点で、その角には誰もいなくなるのですから。


私達は5人いるので、有名なアレを実行すれば無事に生還できるはずです。

しかしBが訳の分からない事を言い出します。

「二手に別れよう!」

全く意味が分かりません。

4人で回って本当に幽霊が出るのか実験してみたい!
それだけが動機のようでした。

話し合いの結果、結局4人と1人に別れる事になり、



私が1人になりました。



4人は右の山小屋に、私は左の山小屋に入りました。


ギィーーー……… バタン…


山小屋の中は真っ暗で、吹雪の音と窓がカタカタ揺れる音だけが響き渡ります。
吹雪は防げそうでしたが、やはり眠ってしまったら死んでしまう…それぐらいの厳しい寒さでした。


仕方が無いので、私は一人で有名なアレを実行することにしました。


真っ暗闇の中、恐る恐る壁づたいに歩き出します。
そして最初の角に来ると、誰かの肩をタッチしてしまいました。



第1コーナーにして早くも幽霊が出たのです。



タッチされた幽霊は歩き出しました。
足音を耳で追っていると、第2コーナーで誰かをタッチしたようです。

第2コーナーにも幽霊がいたのです。

第2コーナーから幽霊が歩く気配がします。
第3コーナーに行くと、また誰かにタッチしたのです。

第3コーナーにも幽霊がいたのです。

第3コーナーからまた次の幽霊が歩き出します。
次は私がもともといたコーナーです。
ここでまた誰かをタッチした気配がしました。

信じられませんが、そこにも幽霊がいたのです。

すると次はその幽霊が第1コーナーに向かって歩いてきます。
第1コーナーには私がいます。


―このままでは幽霊にタッチされる―


恐怖を感じた私は、忍び足で部屋の中央にシュタッと移動しました。

幽霊が第1コーナーに来ます。
すると、またしても誰かにタッチしたのです。

ここにも幽霊がいたのです。

その後は幽霊達の独壇場でした。
幽霊達はあの有名な登山家達の体験さながらに部屋を回り続けます。
しかも幽霊が部屋の角に到達する度に、シュタッという音と共に幽霊が中央に移動するのです。

何時間が経過したでしょうか…

体が温まった幽霊達はスピードアップして既に173回も部屋を回ってます。
部屋の中央には私と幽霊がひしめき合っていました。

駄目だ…もう幽霊に触れてしまう…

そう思った瞬間、部屋の窓から光が差し込んだのです。

朝日だ…!助かった…!!


しかし幽霊は消えませんでした。

しかも回る度に増えたのでしょう…692人もの幽霊が眩しそうに私を睨んでいるのです。

驚いた私は慌てて幽霊を押しのけて友人がいる山小屋に逃げ込みました。


「助けて!!!」


…………しかし返事はありませんでした。

4人は凍死していたのです。

私はその場で泣き崩れました。

きっと幽霊が1人も現れず、回り続ける事が出来ずに眠ってしまったのでしょう。

そもそも幽霊が簡単に現れるはずが無いのです。
あの時に力ずくでも止めておくべきだったと、私は後悔しました。

しかし後悔して立ち止まっても仕方ありません。

私はその山小屋で泣きながら友人達の幽霊とスクエアを実行し、吹雪が止んだ後に無事に下山したのでした。


冬になると、今でもかすかに思い出す悲しい出来事です。

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