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瀬田に旗をコミュの初陣1

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「ん〜」
闇は溶け出し朝の太陽が顔を出した。オレは寝返りし反対方向に向くと両手から心地よく柔らかい感触が伝わった。あまりに気持ち良く強く掴む。

「あ〜ん」
「ん? 何だ? うわぁ!」
とろけそうな声が、オレの眠気を吹き飛ばし眼を覚まさせてくれたが、信じられない光景に、オレは驚き布団から慌てて起きた。
 
 そこには心地よく寝ている神平の姿があったが、その格好は胸元が開け、今にも胸の全貌が見えそうである格好であった。

「え? 離れて寝ていたのに・・・・・・オレが・・・・・・神平に・・・・・・」
 オレは全力で考えるが、この状態になった理由は分からない。その前にオレの脳は停止に近い状態に陥っている。
 その原因は、オレが掴み揉んでしまった感触の正体と、今の神平の姿を眼にして理性を保つ事に全力を注いでいるのが原因である。

「オレは神平の胸を・・・・・・」
 オレの両手はまだ神平の胸の感触を覚えている。

「何てこったー!」
 思わず大声で叫びオレは後悔を口にした。

「ん? ふぁあ〜」
 その声で神平が眼を擦り眠たそうに起き出した。
 服は開けたままで上体だけを起こしていたが、そのポーズはオレの理性をぶち壊してくるかのような破壊力を与えてきた。

「し、神平、は、早く服をどうにかしてくれないか」
 オレは神平を見ず背を向け言った。

「あ! きゃあ! す、すみません。隼人様」
「その〜、すまない。隣に神平がいると気づかず、触ってはいけない所を触ってしまい」
 オレは男として女性ならではの箇所を触ってしまった事と、見てしまった事に深い自責が募り、神平に謝った。

「あ、いえ、私が悪いのです・・・・・・」
「え?」
 オレではなく自分が悪いと言う神平に戸惑った。

「私が昨夜に隼人様がお眠りしている時に、隣に寝た私が悪いのです」
「オレの隣に来た?」
 ますます分からなくなってしまう発言に、オレは神平の言葉を待つ。

「実は私、起きて忍びの活動をしている時は、夜は怖くないのですが、寝るときの夜はとても怖く、一人では寝れず、つい、隼人様のお隣で寝てしまったのです。申し訳ありません・・・・・・」
「そうだったのか〜。でも、本当にすまない」
 ホッと一安心したオレだがオレがした事は許されないことだ。

「謝らないで下さい。隼人様、事故の様なものでありますし、元の原因は私ですから、それに・・・・・・」
「それに?」
「いえ、何でもありません・・・・・・」
 朝の騒動は幕を閉じ、オレと神平は戦支度を始めた。
 じじいから貰った鎧を身に着けたが兜は被らない。兜を被ると視界が狭まり戦場を広く見ることが出来ないから被らない。

「よし、出来た! 神平は準備出来たか?」
「はい・・・・・・」
 神平も忍び服である紺装束に頭巾を被り準備は出来ていた。

「行くぞ!」
 薙刀を持ち長屋を出て躑躅ヶ崎館へと歩いて行く。
 途中まで共に歩いていたが、躑躅ヶ崎館に近づいてくると、神平は姿を隠した。忍びは公に姿を明かしてはならないためである。

「お! 隼人、久々だのう。弛まぬ稽古をしていたか?」
「お久しぶりです。昌景殿、毎日欠かさず稽古しておりました」
「その稽古がこの戦に活かされるよう戦場を駆けよ! 死ぬなよ! 隼人」
「はい。必ず武功を立てます!」
 オレは館で真紅の甲冑に身を包む、じじいに、激励された。親子ではなく、
武将『山県昌景』の言葉として受け止めた。

「では、失礼します」
 オレはじじいに、一礼し昌恒殿の部隊がいる場所へと歩いて行く。
 昌恒部隊の隊列に並び進軍の時を待ちわびているのは、オレを始め武田軍全兵だ。

「皆さん。我々が今向かおうとする場所は上杉との雌雄を決する戦場です。謙信は強く激戦となりましょう。大きな被害が出るのは覚悟しています。でも、この戦は避けられないのです。皆さんの命をこの甲斐の虎、武田信玄に預けさせて下さい。そして、その槍で刀であるいは弓は虎の牙です。その牙で上杉軍を倒し、勝利を掴みましょう!」
「おーーーーー!」
 御館様の演説は将兵たちの士気と闘志を最高潮まで高め、将兵たちは鬨の声を発した。その鬨声は森に住む動物を怯ませ、草木や大地をも揺らぐのではないかと思わせる鬨の声である。
 
「全軍、海津城に向けて進軍」
 武田軍が躑躅ヶ崎を発ち、決戦の地にある海津城に向けて進軍し始めた。
 騎馬隊を先頭に部隊別に進軍している。

 海津城は川中島にあり、信玄はこの地に城を築いたのは、上杉の動きを監視するためである。また、この決戦のためでもある拠点にも考えて築き上げた城でもある。
 そうオレたち武田軍は川中島へと向かっているのである。

(すごい数だな・・・・・・)
 隊列を乱さぬよう歩き、周囲を見渡すと兵士たちが無表情で歩いている。
 皆、各々にこの決戦に掛ける思いがあるのだなと実感した。

(神平はどこにいるのだろう?)
 オレは神平と躑躅ヶ崎館に着く前に別れたが、神平がどこにいるか分からない。近くで見ているとは言われたが、見つけられない。
 
「あなた! 先ほどからキョロキョロと顔を動かして何をしているのですか?」
「あ、何でもないです。すみません」
 突然、オレは隣にいる少女に怒られてしまった。
 少女は整えられた一本結びの銀髪が眼を引くが、それを上回るほど目立つのは、豊かな胸である。神平よりデカいと思ったオレである。

「オレは一ノ瀬隼人。君の名は?」
 自己紹介を勝手にして、少女の名前を聞き出す。

「私は、大鷹真弓と申します」
「真弓殿、これからよろしく!」
「これから、戦なのに悠長ですね。そのように悠長だと死にますよ」
「いや、オレは別に悠長ではない」
 厳しい言葉を言ってくる真弓にオレは戸惑った。

「ところで、槍や刀でなく弓で行くのか? 近距離戦の時どうするんだ?」
「近距離戦になったら短剣を使います。もっとも、遠距離で攻撃をするから心配無用です」
 オレが発言する度に突っかかって来る真弓に、オレは怒りではなく疑問が生まれた。今、初めて知り合ったのに、こんなにもオレに冷たい言葉を言って来るのか。

「オレ、真弓殿に気に障ること言った?」
「なぜ、そのような事を?」
「先ほどから、怒ったような冷たいような発言をしてくるから、オレが悪いのかなと」
「今、話しただけなのに、そのような事はありません!」
 オレは自分の中にあった疑問をぶつけると、真弓殿は強く反対した。
 進軍してどのくらい経ったか、ひたすら歩き続ける。兵士たちの足取りが遅くなりつつあるが、オレの眼にようやく城が見えてきた。

「あれが海津城か!」
「そうですね」
 オレの独り言を返してくれる真弓だが、冷たい口調であるのは変わりない。

「やっと、休めるのか」
「だらしないですね。城に着いてもやることはあります」
「わかってるよ。キツイな・・・・・・」
 オレはさすがにここまで冷たい言葉を浴びるとうんざりしてきたので、真弓殿に本音を溢してしまった。悪気は無かったが。
 海津城に着くと隊ごとに別れて集まる。

 部隊の先頭に昌恒殿が現れたが、小さくてよく見えない。昌恒殿はおれたちに声を絞り命令を下し始める。

「皆のリーダー、土屋昌恒なのね。お知らせによると、上杉軍が進軍してきているのね。今日はその上杉軍の動きを見るため私たちは夜の見張り役になったのね。今は休憩だから休んでいいのね」
 昌恒殿はそそくさと城の中へと入って行った。

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