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石川啄木〜釧路時代の輝きコミュのそば屋 梅月庵 梅咲庵

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啄木の好きな食べ物といえば、そばのようです。

何度か、日記に出てくるそば屋はここです。休み坂にあったようです。
実はまだ他に食べた場所があります。梅本楼、梅咲庵という場所です。

梅本楼は三浦刑事といっしょに一回だけいきました。梅咲庵ではそばを食べたようです。

どんなそばだっのか、一度食べてみたい気がします。

啄木の小説にそば屋でのできごとを書いています。靴下をかべの隙間にねじ込んだら、下から男が持ってきたという話です。本当の話かもしれません。

病院の窓より

(略)

程なくして渠は辭して立つたが、竹山は別に見送りに立つでもなかつた。で、自分一人室の中央に立上ると、妙に頭から足まで竹山の鋭い眼に度はかられる樣な心地がして、疊觸りの惡い自分の足袋の、汚なくなつて穴の明いてるのが恥しく思はれた。
 戸外そとへ出ると、一寸病院の前で足を緩めたが、眞砂町へ來るや否や、早速新らしい足袋を買つて、狹い小路の奧の蕎麥屋へ上つた。
 二階の四疊半許りの薄汚ない室、座蒲團を持つて入つて來たのが、女中でなくて、印半纏を着た若い男だつたので、渠は聞えぬ程に舌打をしたが、「天麩羅二つ。」と吩附いひつけてやつてドシリと胡坐をかくと、不取敢とりあへず急がしく足袋を穿き代へて、古いのを床の間の隅ツこの、燈光あかりの屆かぬ暗い所へ投出した。「敷島」を出して成るべく悠然ゆつくりと喫ひ出したが、一分經つても、二分過ぎても、まだお誂へが來ない。と、渠は立つて行つて其古足袋を、壁の下の隅に、大きな鼠穴が明いてる所へヘシ込んで了つた。
 間もなく下では何か物に驚いた聲がして、續いて笑聲が起つたが、渠は「敷島」を美味うまさうに吹かしながら、呼吸を深くして腹を凹ましたり、出したり、今日位腹を減らした事がないなどと考へて居た。
 所へ階段を上る音がしたので、來たナと思つたから、腹の運動を止めて何氣ない顏をしてると、以前の若い男が小腰を屈めて障子を明けた。
『ヘイ、これは旦那のお足袋ぢや厶いませんか? 鼠が落おつこちたかと思つたら、足袋が降つて來たと云ふので、臺所ぢや貴方、吃驚びつくりいたしましたんで。ヘイ、全く、怎どうも、ヘイ。』と、妙な薄笑ひをし乍ら、今し方壁の鼠穴へヘシ込んだ許りの濡れた古足袋を、二つ揃へて敷居際に置いたなり、障子を閉めて狐鼠々々こそ/\下りて行く。
 呆然として口を開いた儘聞いて居た渠は、障子が閉まると、クワッと許り上氣して顏が火の出る程赤くなつた。恥辱の念と憤怒の情が、ダイナマイトでも爆發した樣に、身體中の血管を破つて、突然いきなり立上つたが、腹が減つてるのでフラフラと蹌踉よろめく。
 よろめく足を踏み耐へて、室から出ると、足音荒く階段を下りて來たが、例の女中が恰度丼を二つ載せた膳を持つて來た所で、
『オヤ。』
と尻上りに叫んで途を披ひらいた。
『モウ要いらん。』と凄じく怒鳴るや否や、周章あたふた下駄を突懸つゝかけて、疾風の樣に飛出したが、小路の入口でイヤと云ふ程電信柱に額を打附ぶつつけた。後では、男女を合せて五六人の高い笑聲が、ドッと許り喊ときの聲の樣に聞えた樣であつた。

(略)


啄木が靴下をねじ込んだのは、事実とすればこの三つの店のどれかでしょう。

真砂町の路地とあるので、梅咲庵かもしれません。

紅筆だより〜
二月28日
(略)
序にモ一つ落し文を御披露可仕候これは去る二十五日の日附にて鶤寅の使者が武富私道は曲辰事梅咲庵といふそば屋へ持つて行つたものゝ由仰し此艶福家は誰方やら一向解り不申候
 
只今のお手紙正に拝読仕りました。さり乍らつたさんの申す如く今夜はお客さんが沢山で兎ても行く事は出来ませんから、お客さんの帰り次第行きます、したが今夜はおそくなるでせう。いろ/\お話もありますが、取急ぎこれで失礼、草々不一
   二十五日
                             小奴
○○様御もとへ

(略)

啄木日記より
二月九日
(略)
午后五時から、釧路に於ける新聞記者の月次小集で、梅月庵といふへ行つた。
(略)

三月十八日
(略)
泥酔した声が下に聞えて、グデングデンになつた永戸と刑事の三浦がやつて来た。永戸は是非今夜一つ飲まして呉れと云ふ。何と恁う人間といふものは浅間しいものだらうと、自分は不愉快でたまらなかつた。永戸一人なら剣突を喰はしてやるが、三浦が来てゐるので、仕方なく、アトで行くからとて二人を梅本楼へやつた。迎ひが来た。又来た。十一時半漸く行つて見ると、二人共マルで獣の如く見える。芸者小梅も獣、半玉雛子の声は鰹食つた猫の様だ。
(略)

四月二日
(略)
荷は店に預けて、三人そば屋にゆく。酒が美味かつた。今迄に無い程美味かつた。窓の下を古瀬君が通つた、小若も通つた、小新も通つた、小福も通つた。既にして市子とてるちやんが通るので、呼ぶと這入つて来た。一緒に蕎麦を喰ふ。
(略)

この店は、梅月庵、梅咲庵のどちらかではないかと思われます。
芸妓が通る道から推測しました。




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