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だんぞぅファンタジーコミュの【えくすぷろー等】EP1-?:ボウズと魔女と吟遊詩人

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 仄暗い闇を切り裂きながら足早に駆け抜ける足音が三つ。
 その音と共に移動する光が照らすダンジョンの壁の色はうっすらと水色混じりの白。ここのダンジョンのモンスターレベルが高いことを示している。
 
 三人と灯りとが離れ、再び闇に潜った石造りの床に、たくさんの足音がじわじわと集まってくる。先行する三つの足音が分岐路に差し掛かるたび、それに合わせて追う足跡たちも速度を落とす。
 
「ちょっと! さっきここ通らなかった?」
 凛とした低めの美しい声に呼び止められ、先頭を走っていた短髪の……いや、どちらかと言えば丸刈りに近い金髪男がその声に振り向き、にやりとする。
「かもな」
「ちょ! かもなって!」
 目深にかぶったマントフードの隙間から見える真っ赤な唇が講義するかのようにとがる。だが先頭の男は気にとめた様子も見せず、壁の一角をすっと指した。
「クイン、灯り」
 紅い唇が今度はため息の形になる。そしてその持つ杖の先端を指示があった方へと静かに差し出した。杖の先には魔法の光が灯っている。
「ありがとよ」
 先頭の男はその光を頼りに床や壁を調べはじめた。
 
 二人のやりとりから少しだけ離れて背後の闇へとじっと目をこらしていた若者が、怯えたようにフードを被りなおす。
 たたたっと勢いよく二人のもとへ戻ってくると、小声で先頭の男へと告げた。
「ねね、ヴィリー。あいつら追いかけてくるみたいだよ……」
 金髪のほぼ丸刈りの……ヴィリーと呼ばれた男は、その情報に動じることなく床へ壁へと手をかざし続けている。
「ルノ、慌てるなって。もうちょっとだ。多分このあたりのはずなんだ」
「ヴィリーは慌てなさ過ぎよね」
 クインは杖をかざしたまま、ため息をつく。
 
 少し経ってからまた背後を気にしだすルノ。
「ねねね、あんまりのんびりは……ほら、近づいてきてるよ……」
「やっぱり殺っちゃっておけばよかったんじゃないの? そしたらあたしも楽ちんだし」
 クインは光の灯った杖をルノへと手渡した。
 そして手の甲でマントをふわりとひるがえすと、腰の鞘から細身の剣を鋭く抜いた。淡い銀色の光を帯びた刀身は美しく、闇には決して馴染まないであろう存在感を漂わせている。
「ヴィリーってば聴いてるの? あんまり時間かけるってんなら、あたし殺っちゃうからね?」
 そんな二人の声がまるで耳に入っていないかのように、ヴィリーは壁を調べ続けている。
 クインは闇を威嚇するかのように、ひゅんひゅんと剣先で闇ののどもとを撫でる。ルノは杖を持たない方の手で、マントに隠したままそっと円形のシールドを構える。それでもヴィリーの調べる速度が変わることはなかった。
「もう少しだ……もうちょいで……辿れる」
 
 ダンジョンの中に響く足音は明らかに増えていた。彼等三人がほとんど動いてないにも関わらず。
「ヴィリー……もうそろそろ来ちゃうよぉ」
 ルノが何度目かの情けない声を出したときだった。
 ヴィリーが不意に立ち上がる。
「見つけたぜ。ここが多分リセットスイッチだ」
「ちょ! あんた抜け道探してたんじゃないの?」
「こっちの方が早いだろ?」
「ねねね、ヴィリー、クイン、リセットって何?」
「ルノは体験しているはずよ。ダンジョンのボスモンスター倒してから次にダンジョン訪れるとどうなっている?」
「……んー……あ、ダンジョンの通路とか部屋とかの構造変わってた!」
「それがリセットよ。このバカってば、ボスモンスターへの近道じゃなくってそんなもの探してたのよ」
「わ、なんか、嫌な予感するよ……」
 クインとルノは目を見合わせ、その後ヴィリーを注視する。見られている当人はといえば既に氣を高めるための構えを取っている。
「ま、待ってヴィリー……本気で押すの?」
 その問いかけの答えは掛け声だった。
 
「いっけぇぇぇぇぇぇ!」
 
 その声と共に、ヴィリーの上体が大きく仰け反る。引き絞った弓のように。その反動をねじり込みながら拳へと乗せる。そのまま、床近くの壁の一点を激しく殴り抜いた。
 ゴォンという重たい音がダンジョン全体に響きはじめる。通路それ自体が楽器であるかのように音を蓄えふくらませ、また反響させる。
 様子を見ながら近づいてきていた多くの足音はにわかに乱れ始める。
 
 ゴォン……ゴォン……
 
「ヴィ、ヴィリー……それ、ほんとにリセットスイッチなの」
「ま、正確には、どこかにあるリセットスイッチからダンジョン本体へつながっている要の部分だ」
「ねね、クイン、どゆこと?」
「鍵がついている扉に、鍵を差し込まないで蝶番殴り壊して扉が開いたよって言ってる感じよ」
「そそそ、それって大丈夫なのぉー」
 
 ……ゴォンゴォン……ゴォンゴォン……
 
「多分な」
「今の間はなにぃぃぃ?」
 
 
 
 
 
 (続く)
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=69784035&comm_id=5996184

コメント(12)

ふむふむ、ゲームらしくて良いですね♪

3人のキャラのイラストが欲しくなります(笑)ぐっと感情移入できそう
> デル先生
ありがちょー。
 
イラストは昔描いたのがどっかにあったはずw
もう一回描きなおそうかなw
ヴィリーは陽気なタレ目。金髪だけど今はちょっと短い。
クインは漆黒の瞳に黒の長髪。耳の上のあたりで髪を編みこんでいて。冷たい感じの美人。
ルノは、銀色の髪に透き通るような白い肌。美貌の若者。
っつーか「美しい」とか言っちゃうと、俺の画力では再生できないわけでw
絵も描けるんだ(゜ロ゜)
よし!見なかった事にして勝手にゆあで再生
> しゃちん
人間は苦手w
 
ゆあにしといてもいいけど、あとでこの子……ま、いいかw
あ、絵を今確認しましたあせあせ(飛び散る汗)
思ったより老けてる(笑)
> デル先生
確かにw 適当に描いたからなぁ。目の下の線がいらなかった>ヴィリー
設定ではヴィリーは20代半ばくらい、クインは19歳、ルノは15歳くらい。
画像いったん消そうかなw
 
 
> しゃちん
すんごい棒に次エピソードで襲われるですよ(予定)。
触手じゃなくて残念……いや……どうしようかな。

画力のなさが登場人物の魅力の足を引っ張るといけないと思い、画像は削除しましたw
 
とりあえず、クインのイメージで拾い物画像をはりつけておこうw
 
ルノはね、小池徹平とウェンツを足して二で割って銀髪にした感じ。
 
ヴィリーはタレ目。そこだけ押さえていてくれたらそれでいいw
ぐほっ。

わ、忘れてなんかないんだからねっ!

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