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Maasyaコミュの短編小説

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コメント(11)

【合鍵】1

「とうとう彼氏に合鍵もらっちゃったんだ〜」
お昼、社員食堂の片隅からそんな声を聞く…。
「ふんっどうせ軽い付き合いなんでしょ、すぐ合鍵渡すなんて軽い証拠」
と…皮肉混じりの気持ちを心の中で噛みしめる。そんな時に限って彼からのメール
「お昼かな?今日来るんだよね?俺遅くなるかもしれないから、ポストに鍵いれといたからね♪」
ニヤリとしながらも
「おんぷマークじゃねーよ」
と心の中でつっこみをいれる。
 彼、正人とはもう付き合って一年たつ、半同棲位正人の家にいるのに…まだ合鍵をもらえず…。もちろん欲しい!欲しいって言いたい!…でもそこは乙女心何とやら…
「一緒に住もう」
やら
「毎日お前の味噌汁が飲みたい」
…だなんて彼の方から言ってほしい!という気持ちから、自分からは言えずにいる…。きっとキッカケが必要なんだ!と思い何度かアプローチするものの…ことごとく失敗…。一年記念日にきっと…!と期待したものの…遊園地⇒高級レストラン⇒ホテルの流れでおしまい。
「はあ…」
ため息をついたその時…
「先輩〜どうしたんですか?ため息なんかついて〜」
最近付き合いたての彼氏とすぐ同棲を始めた後輩…
「ふわぁ〜眠い。今朝も彼の為に早起きして朝ごはん作ったから、全然ねてなくて…」
「へえ〜そうなんだ。」
「先輩は彼にご飯作るとかしないんですか?」
「たまにあるけど。」
「あ…もしかしてまだ同棲してないんですか?!前聞いた時から結構たってるからもう同棲してるかと思って!」
「前に言った時から一ヶ月もたってねーよ」
と心の中でつっこむ…。さすがに機嫌を保てなさそうなので、席をたとうとした…
「でもさすがに合鍵はもらってるんですよね?」
とっさに…
「ま、まあね…」
「それなら毎日おしかけちゃえばいいのに〜私ならそうしちゃうな」
「か、彼にもプライベートな時間必要だから。じゃあお先に」
たぶん私はかなりひきつった笑顔だっただろう…。
 仕事も終わり、帰り道で食材を買って彼の家へ向かう。たまに同じ部屋で過ごせる日だから毎回ご飯作ってあげたくて彼の家で過ごす日は毎回そうしてる。昼間の後輩の言葉が頭によぎりながらも
「毎日一緒にいない分一緒にいる時の愛が濃ければいいんだもん!」
一人、闘志にも似た決意を持ちながら買い物を済ませた。彼の家につき、ポストから鍵を出す。その手慣れた手つきが嬉しいような…悲しいような…。そこでまた後輩の言葉を思い出して虚しくなる。でもそこはさっき決めた決意!
「今日いっぱい愛し合えたらいいもん!」
と、自分に言い聞かす。部屋に入って夕飯作り。面倒だったけどハンバーグにした。ハート型なんて作ってる私可愛いな何て思いながら一人幸せ気分だった。
 ご飯が出来てメールチェック…彼からの連絡はなし。まあ遅くなるって言ってたし、仕方ないかな。
「もうおうちいるから、早く帰ってきてねダーリン笑」
一言メールを入れておいた。待ってる間、もしかしたら今日合鍵もらえるかも…何てありもしない妄想を膨らませていた。だがしかし…待てど待てど…一向に帰ってこないし連絡もない…。おなかすいたけど…一緒に食べれなきゃ意味ないし…我慢我慢。そうして待ってるうちに寝てしまった…。
「ガチャ」
ドアがあいた音で目が覚めた
「ただいま〜」
ついつい寝てしまってた私は悪いとおもって急いで玄関に駆けつけた。
「ごめん〜!寝ちゃってた!おかえり!遅かったね〜」
と言って時計を見たら夜中0時過ぎ…え…?
「いやさ、先輩と飲みいっちゃってさ、なかなから帰してくれなくてさ。終電になっちゃったよ。ご飯も食べてきたし、今日はもう寝るわ〜」
と…ゴロンとベッドに横たわった彼にカチンときた…
「何なの!バカ!ほんっとバカ!」
「は?なに?どうしたの?」
「せっかく一緒に過ごせると思ってご飯作って幸せモードだったのに!」
「ごめんごめん、とりあえずこっちおいで」
優しい口調で彼が腕をつかんできたがまたそれに腹がたった
「一年以上も付き合ってて抱けばおさまるとでも思ってんの!?ほんっとバカじゃないの!?」
そう言って腕を振り払ってとにかくそこらへんにあるものを彼に投げつけた
「私がどんな想いで待ってたかわかってんの!わかんないでしょ!こうやって同じ部屋で過ごせる日がどれだけ幸せか楽しみか知らないでしょ!ごはんだって作って待ってるのに!いっぱい我慢してるのに!」
「わかったよ、わかったから…」
「合鍵だってくれないのに!」
ハと我にかえった…。言わないと決めてた事を言ってしまった…。
「もう帰る!」
そう逃げるしかなかった。彼は引き止めようとしてたけど、無視して逃げるように彼の部屋を出た。
彼とケンカして家を飛び出してから三日程度は連絡をとりあわなかった。というより無視してた。でも私が甘いのか、結局惚れた方の負けなのか…メールだけは返すようになった。でもそこは引けないままで、意地はったままずっと、うん、とか、そうなんだ、とかだけの返事を返してた。彼は節々に謝ってくるけど、そんな簡単に許すわけがない。何が一番腹立つかと言えば、合鍵について何も言ってこないところ。そんなに渡したくないのかなんなのか、一年以上付き合ってきたのに私の事何もわかってくれていない気がしてそれがたまらなく辛くてむかついて、とにかく煮え切らないまま過ごしてた。
 そんな日々が続いて約一ヶ月。恋の終わりなんてこんなたわいもないケンカなんだろうな〜何て思い始めてた。この一ヶ月の間何も変化のない彼を見て少しだけ彼に対して冷めてきてたのかもしれない。そんなタイミングでやってくる誕生日…。正直良い年齢になって、ただただ忙しい毎日を繰り返してると自分の誕生日さえ忘れそうになる。いや、今回に関しては忘れたかったのかもしれない。少しだけ期待してた反面怖い部分もあった。だからその怖さを紛らわす為、親友が祝ってくれるという誘いにのった。もちろん彼は?と聞かれたけど、適当な理由ではぐらかした。
 そして誕生日当日、彼から誘いがなかったわけじゃない、彼も冷めてしまったのか怒ったのか
「誕生日どうする?」
と愛想のないメールしかしてこなかったから普通に友達と過ごすと返事したら返ってこなくなった。誕生日ぴったしを一緒に過ごす為、親友とら誕生日前日夕方から合流。
「久しぶり〜!」
「一個おばさんおめでと〜! 」
「まだです〜まだ一日あります〜!」
「でもこの歳で誕生日女同士何て…」
「それ言わないの!いや〜彼とはさ…」
とケンカの事を言おうとしたけどせっかくの誕生日を愚痴で埋めたくなかったからやめた。
「ん〜やっぱなんでもない!」
そこからはいわゆる女同士の遊び、買い物してスイーツ食べて…そして、そのまま私の家で飲む事に。
「ジャジャーン」
そう言って友達からサプライズのケーキ。
「え〜なにこれ!聞いてないんだけど!めっちゃ嬉しい!ありがとー!」
女同士の誕生日もなかなか良いな〜何て思いながらも…0時が近づくにつれて少し携帯を見てしまう。紛らわすようにお酒を飲んだ。
 
お酒がまわってきたころ、時間は23時50分過ぎ。親友は酔っ払って寝てしまっていた。
「0時に起きてなかったら意味ないでしょ…」
と小言を言いながらもそのまま寝てしまっている親友に毛布をかけてあげた。私も寝ようと思い、水をコップ一杯。ふと携帯を持って時間を見てため息をついた。その時、メールがきた。彼から。
「今家?」
今更何なのと思いながらも返事をした
「家だけど…」
素直に返事をしてしまった自分にも腹が立って携帯を布団に投げた。
「ピンポーン」
「え?」
こんな時間にと思いながらも玄関に急いだ、誕生日で浮かれてた事もあってか、誰か確認せずにドアをあけてしまった。私はつい…間の抜けた声をだしてしまった。
「へ?」
そこにはサンタの格好した彼。
「いや、クリスマスじゃないし…何してるの?」
「か、彼からお届けものが…」
彼の設定の中では彼がサンタさんに頼んで来た設定らしい…。仕方なくのってあげた。
「それで〜サンタさんが何の用ですか?季節はずれに。」
彼は後ろに隠してた手を前に出すと、ケーキの箱をだしてきた。
「開けてみて下さい」
私は素直にあけてみた。開けた隙間から、箱の底が見えて、空なのかと思い、つい先走って言葉が出てしまった
「何も入ってないじゃん!」
と…言わせてくれなかった。きっと、何も入ってないじ…位で止まったと思う。箱の中に鍵が入ってた。正直何も言えなくなって涙が出た。
「お前この前先走るからさ…合鍵ほしいだろうなって言うのは何となくわかってたけど、誕生日の方が喜ぶかなと思ってさ。だからずっとあっためてきたのに。あの日怒るからさあ…困ったよ」
「ごめん…でも、でもこんなのずるいじゃん…」
「泣くなって。俺もごめんな。」
そう言って頭をくしゃっとされて、抱き締められた。そこでまた耳元で言われた一言でやられた。
「これからいつ来てもいいから、いつもご飯一緒にたべよ。あらいものは手伝うからご飯作ってくれる?」
「…はい」
「むしろそのまま早く一緒に住んじゃおうな」
「ばかあ…」
そのまま少し落ち着くまで抱きついたままでいた。落ち着いたのを見計らったのか。
「これから誕生日祝いでもしよっか?」
うん!と言いたいところだったけど…そこでやっと親友の存在を思い出した。
「友達いるから…」
でも私も嬉しすぎてしまったのか…
「大丈夫かな?」
と親友に
「季節外れのサンタさんとデートしてくるから鍵ポストにいれておいて〜ごめんね(はあと)」
と手紙と鍵を置いてそーっと彼と改めて誕生日を祝いに家を出た。家を出てすぐドアの前でそーっとキスをした。
鍵をもらったあの日から、浮かれてしまってたのか、結局それから三ヶ月位で部屋を出て彼の部屋に住みだした。憧れの同棲!男一人の家に女の荷物が入るんだから、ちょっと狭くなっちゃったけどそれでも、毎日一緒にいれるならそれだけで幸せ。家事は分担しようって言われたけど、私が全部やるようにした。だってそばにいるだけで嬉しいんだもん。洗濯する時に彼のTシャツ見てニヤニヤして、パンツ見て、見たことあるのを見てはどんな日だったか思い出して、見たことないパンツを見ると一人で頬膨らまして…。それが幸せに感じてた。
あの憎き後輩を見返す時もとうとう訪れた…
「あれ、先輩何か良い事ありました〜?」
後輩から話しかけてきた
「ん?別に何もないけど」
たぶん満面の笑みで言ってたに違いない。
「怪しい〜…何か女の顔してますよ〜?女の顔?ん〜お母さんの顔?」
本当にこの子は…わかってるのかわかってないのか…いちいちイラっとする事を挟んでくる。
「同棲始めたの。」
「あ〜だから!」
綺麗になったとでも言ってくれるのかと思った私がバカだった。
「だから最近化粧荒いんですね〜!」
危うくお笑い番組さながらのコケを披露するところだった。
「まぁ…家事とかで忙しいから。彼のお弁当も作ってあげてるしね!」
自慢げに言ったつもりだったが、鼻を折られた。
「あ〜それやっちゃいけないパターンじゃないですか〜?」
「何で〜?」
「同棲始めて最初の方からそういう事すると、男ってつけあがりますよ〜?」
「そうなの?」
「私もそうでしたから〜」
「何かあったの?」
「彼氏と別れたんですよ〜。だって〜。私だって忙しいのに、家事やらないとグチグチ言うんですもん〜」
「それはやらなくなったからいけないんじゃない?」
「先輩も同棲長くなったらわかりますって〜」
何だか知ってるような言い方をされてイラっとした。
「まぁ…それはずっとやってればいいだけの話だよね」
そういって席を立った。
 自分のデスクに戻って少し考えてみた。
「家事の分担…か…」
実際にそれが原因で別れる…何ていうのは何回も聞いた事はある。でも今は…彼に喜んでほしくて彼に楽させてあげたくて…だから、自分が全部やるってそれしか考えれなかった。
彼の家…いや、私の家に着いて洗い物をしながら考えた。後輩の言うとおりになるんじゃないか…。そう考えた所で、今は結局今の考えが働いてしまうもので、いま洗い物をしてたって別に苦ではないし、もしこの洗い物の後に洗濯をしなきゃいけないとしても別に苦だとは思わない。これは正直甘えなのかもしれないけど、彼なら手伝ってくれるっていうのも分かってる。だから…うん、大丈夫。そこへ彼が帰ってきた
「ただいま〜」
やけに嬉しそうに帰ってきた。
「おかえり〜あのね、今日ね、後輩の子に…」
と家事の事を言おうとしたけど、彼が嬉しそうな顔してるもんだから、私の話はまた今度にして彼の話を先に聞く事にした。
「後輩がどうしたの?」
「あ〜…後輩が、同棲おめでとうだって。それでそれで、何か嬉しい事あったでしょ?顔に書いてあるよ〜」
「マジで?書いてある?」
「うんうん!そんなニヤニヤした顔しちゃって〜」
「じゃあ…言っちゃおうかな!」
「はい〜!お殿様!なんでしょう!」
「本日…何と…新しいプロジェクトのリーダーに任命されました!」
「きゃー!おめでとう!しゃちょー!」
「これがうまくいけば…昇給間違いなし…!」
「ん〜そしたらねそしたらね、あれ買って〜これ買って〜」
「ん〜だから…ちょっといいにくいんだけど…」
彼はネクタイをほどきながら気まずそうに話した
「ん?なになに?」
「ちょっとこれから忙しくなるから…帰りとか遅くなるかもしれないんだ…」
「そっか…。ううん!大丈夫!家の事は私がやるから大丈夫だから!ね!?」
「本当?今でさえほとんどやってもらってんのに…いいの?大丈夫?」
「大丈夫だから!だから早くいっぱい稼いで私の事養って!」
「そう?じゃあ頑張るよ!よーし!」
正直忙しくなると言われて後輩の言葉がよぎった。彼の喜ぶ顔が見たくて家事をしてるのに、その彼といる時間が減ったら元も子もない。でもこれが彼のチャンスなら、いやだと言ってしまえば私はただの面倒な女でしかない。だから何も言わずに応援しようと思った。
彼はそれから本当に忙しくなった。帰ってくる時間も遅くなったし、朝も早くて、なかなか相手もしてくれなくなった。休日も返上していた。唯一、たまにある休みの日は二人でゆっくり、疲れてるだろうに…私の相手をしてくれていた、それが唯一の救いでもあったし、それがあったから私は文句もなく、家事もやっていたし、過ごせていた。正直なところ…家政婦か!って程家の言葉は全部やり始めていた。でも、ちゃんと毎回帰ってきては、ごめんなってありがとうって言ってくれるから、それだけでも充分私が家事をやるだけの支えにはなっていた。ただただ…不満ではないものの私の仕事も少しだけ忙しくなってきていた。忙しい仕事にプラスで家事を全部っていうのはさすがに少しだけ弱音をはきそうになった。それでも、彼のほうが頑張ってるんだと分かっていたから、私もそのまま続けていた。 
 ただやっぱり、小さい不満は大きくなっていってしまった。そして私自身も毎日やっていた家事が二日に一回…三日に一回…と少しずつ減ってしまっていた。となると…気付けば予想通りの会話に発展していた。
「ただいま…あれ、洗い物たまってるけど…」
「うん…ごめん、私も忙しくて疲れてて…」
「そっか…。洗濯物も…たまってるけど…明日の靴下ないんだけど…」
「ああ、ごめんね。」
「はあ…」
そのため息で、たまってたものが爆発してしまった。
「なにそのため息!」
「いや、別に…」
「私だって最近仕事忙しかったのになんも言わないでやってたんだよ!?」
「そんなの初耳だよ、忙しい何て知らなかったしさ…」
「あんな毎日忙しそうにされたらこっちだって言えないよ!」
「言われなきゃいきなり怒られたってさ…」
「それになんで家事私がするのが当たり前みたいになってるの!?」
「当たり前とは思ってないよ!だからいつもありがとうって言ってんじゃんかよ!」
「もういい!寝る!」
「はあ?はあ…」
彼はあきれたような疲れたような反応をしていた。
 確かに毎回ありがとうとは言ってくれる、でもそれを言われたら何も言えない…けど、だからって言ってくれればいいってわけでもない。でも言葉がまとまらなくて、それが悔しくてとりあえず寝にはしる…いや、逃げるしかなかった。
それから少しずつぎこちなくなってしまった…。家事は結局何日かに一回私がしている。それもまたむかついた。あんな風に言い合いをしたのにも関わらず自分からやってくれない何て、どういう神経してんだか…。これじゃあ後輩の言った通りになる…というのは頭にずっとよぎっていた。でも正直お互いに気まずいようなギスギスしたような、こんな感じで毎日毎日同じ部屋にいるなんてストレスがたまるだけで苦痛でしかなかった。だからと言ってどちらからも状況を打破出来るような言葉を出せず、ただただ気まずい、たまに一言話す位の日々が続いた。
でもそんな時の朗報。上司に呼ばれ、部署を一つ任せたい…との事だった。恋愛がうまくいってない分仕事でのこういう成功はものすごく嬉しかった。そこで思いついたのが…この話しをきっかけに彼との気まずい状況を打破すればいいんじゃないかと思った。なんだかんだむかついていても、やっぱり…出来る事なら仲直りしたい。きっとこの事を話したら彼も一緒に喜んでくれる、そこで二人でバカみたいにはしゃいで仲直り…そのプランを頭の中で描いていた。そしていつも通り彼の帰りを待った。
「ただいま」
「おかえり〜」
「なんかあったの?」
「え!なんで!?」
「いや、嬉しそうな顔してるから」
「うん!あのね、実は…私、部署一つ任せられる事になったんだ!」
「へえ〜良かったじゃん」
思ってたより小さい反応だった
「忙しくなるの?」
「え?あ、うん…たぶん…」
「そっか…」
そこから少し無言が続いた。彼は服を片付けながら私に背を向けて言った
「なあ、いい機会だし…別々に暮らそう」
「え?」
「いやさ、俺もこれからまだ忙しくてなりそうだしさ」
「え?」
戸惑ってる私に少し強めの口調で言った
「いやさ、もう最近ギスギスして、一緒にいるだけでストレスっていうかさ、休まんないじゃん。お前もそうだろ?」
「そうだったけど…」
「正直こんなの耐えられないんだ、俺もさ…お前に甘えてたし、実際そばにいると甘えちゃうしさ、これを機にお互い見つめ直すべきだと思うんだよ」
私だってこの毎日に耐えれなかった、だから仲直りしようと思ってたのに彼はその時、仲直りよりも離れる事を考えたんだと思ったら、ものすごく腹が立った。
「なにそれ…!意味わかんない!見つめ直すとか何!?別れたいなら別れたいって言えばいいじゃん!」
「そういうんじゃなくてさ。」
「別れたいんでしょ!?いい!別れるから!なんなの!」
そう言ってとりあえずの荷物を持って家を出た。残りの荷物は後で取りくると言って飛び出した。
それから、親友の家に何日か住ませてもらった。親友の家に泊まって何日かは泣いてばっかりいた。親友は泣いてる私をいつもよしよししてくれて、その優しさにまた泣いて…。本当泣いてばかりの日々だった。でもそれもおさまって、自分の中で少しだけ踏ん切りがついたところで、結婚する為…と思ってためてた貯金をおろして部屋を借りた。正直ためらいがなかったわけでもなく…それなりに…そのお金を使ってしまうには早い気がしていた。でも…そのお金を使わないって事はやり直すのを待っているみたいで悔しかった。自分から別れを切り出したんだ、だから、もしかしたらヨリを戻すかも…。何てそんなズルい考えはしたくなかった。そのケジメという意味もあって、結婚貯金を崩した。
 とりあえず親友の家に置いていた、服とかの荷物を運んで…。まぁそれだけで生活出来ないことはなかったから、何日かはそれで生活をして、後…おいておいた残りの彼の家においておいた荷物はそーっと彼がいない間、彼の休みの日を見計らって持ってきた。何だか寂しいような虚しいような…。あんなに嬉しかったはずの合鍵が、こんなに寂しい使い方をする時が来る何て想像してなかった。とにかく何だか寂しいような虚しいような…苦しかった。
 もちろん彼からの連絡はないわけじゃなかった。最初の日から何日かは電話もメールもきたけど全部無視をしてた。それから頻度もへって、荷物どうするの?とかそういうメールもきていたけど、それも無視した。その後荷物を持っていってからは、諦めたのかあきれたのか、それから1通、持っていったんだねってだけメールが入っていたけど、そこからは一切連絡もなくなった。正直どこか寂しかった。別れの時でも、やっぱり優しい言葉を求めてしまってた。ごめんとか、もっと一緒にいたかったとか…。まぁでもそんな事を考えてる自分もまた女々しくてイヤになりそうだった。ただただ病んでいた。
 それでもつ唯一の救いとして、仕事を任せらている事。とにかくそれで忘れていこうと思った。もう仕事1本、とうぶんそれだけで頑張ろう!ってそう思った。…というかそうでも思わなければきっとやっていけなかった。
「先輩〜!先輩別れたって聞きましたよ〜!」
「うん、別れたけど。」
「やった!私と仲間ですね!何で別れたんですか?」
私は何だかもう恋愛に対して…負けたとかそういうのすら、どうでもよくなっていた。だから、強がる事なく答えた。
「ん〜、言われた通りって所かな。私が家事やりすぎたし。調子のられたって所かな〜」
「じゃあ本当私と一緒じゃないですか〜!」
「本当男って何何だろうね!」
「本当ですよね〜先輩かっこいい!」
「もう私は仕事に生きるの!」
「ですよね〜先輩期待されてるみたいだし〜いいな〜。」
「っていうか仕事しかないんだけどね」
「そんな事ないですよ〜。私だって仕事しかないですよ〜。だから、先輩についていきまーす」
そこで、後輩に電話がかかってきた。
「あ、ちょっと失礼します」
そう言って電話に出た。私も聞く気はなかったものの、聞こえてきた声に少しだけ耳を傾けた。
「あ、今日合コン?行く行く〜!」
何が仕事しかないだ…と鼻で笑って何も言わずに後輩を一人にした。
「合コン…か。合コンね…。」
実は彼との出会いは合コンだった。それ以外…その当時の私には出会いがなかった。その時はじめての合コンで、緊張していた私に、たまたま目の前にいた彼が話しかけてくれた。彼も合コン始めてだったみたいで、始めて同士仲良くなれた。そこから…の付き合いだった。
 まさか…こんな風に付き合ってこんな風に別れる何て…。正直遊んでやろうとも考えたけど、新しい仕事も任せられて、そんな時間はなかった。とにかく…がむしゃらに仕事をするしかなかった。
それからただただ働いた。正直かなり忙しくなって、彼と別れて良かったかも…何て思う位に忙しかった。風の噂で彼の仕事もうまくいってる事も聞いて、何だかんだでこれで良かったんじゃないか…何て思っていた。
 それからかれこれ一ヶ月位たった時、私は普通にいつも通り、仕事から帰ってきて家でのんびりしていると、携帯がなり、別に何もなくいつものように開いた。メールが入ってて、それは彼からだった。
「まだ合鍵持ってる?」
とだけ入っていた。そういえば合鍵を返していないままだった。
「持ってるけど」
と愛想のない返事で返した。
「明日…いや、近い日で会える日ないかな?」
いきなりなんだろうと思って、少し考えていたら最悪の考えが出てきた。きっと新しい彼女が出来て、その子に合鍵を渡すんだろうな…って。正直かなり頭にきた。私は…実際まだ振り切れてもいなくて、まだ寂しいと思う事すらあるのに…。なのに彼は新しい彼女作ってこんな早く合鍵も渡して…私何て合鍵もらうのにどんだけ待ったか…。何て、あくまで私の想像だけど、どんどんそれが本当な気がして、イライラしてきてしまった。その勢いで彼に電話をしてしまった。
「もしもし」
彼のもしもしをさえぎるような勢いで言ったと思う。
「なに?あのメール。」
「いや、合鍵持ってるかなって」
「だから持ってたらなに?返してほしいの?」
「そういうわけじゃないけど…」
「なんなの?正直に言えばいいじゃん!なに隠してんの?」
「は?何もかくしてないけど?」
「ハッキリ言ったらどうなの!?」
「だから何を!?」
「彼女出来たんでしょ!?だから私の鍵必要になったんでしょ!?」
「はあ?」
「じゃなかったら何で今更鍵何て言い出すの!?」
「もういいよ、お前いっつもそうやって、意味わかんない事で怒るよな」
「だからハッキリ言ったらいいじゃん!」
「彼女何て出来てないから!何一人で妄想してんだよ、いい加減にしろよ…いきなり電話してきて何かと思ったら…」
彼に怒られてハッと…私が勝手に一人で怒ってたんだと、一人で妄想していたんだと冷静になった、でも私は一人で妄想してた事を恥ずかしく思ったのもあり、私から怒ってしまった事もあり…止まれなくなってしまった。
「そもそも…いきなりメールしてくるのが悪いんじゃないの!?今日の今日まで連絡してこなかったくせにいきなり連絡何てしてきたら変な妄想位するでしょ!」
「お前それ無理やりすぎるだろ…」
「何が!?もういい!」
「俺ももういいわ…」
そこで電話を切ってしまった。我ながら何をしてんだと思いつつも…今の電話も、今の電話でやっぱりまだ彼に未練があるんだと改めて思ってしまった事にもイライラして仕方なかった。
その日はずっと…いや、次の日までずっとイライラして、モヤモヤしていた。イライラは落ち着いてきても、結局、何で今更合鍵の事を聞かれたのかと思うと、それが気になって仕方なかった。
 私は…何故だか一番近くにいた後輩に相談してしまった。
「ん〜それは…色々考えられますね!」
「色々って?」
「じつは本当は彼女出来たけど、バレたくない!みたいな〜何か男の人ってたまにそうやって元カノに新しい彼女出来た孤独隠そうとするんですよね〜。別に都合良い相手にしたいからとじゃなくて。」
「ふ〜ん、そういうもんなんだ〜」
「後は〜。まあ、引っ越すとか!」
「あ〜それ考えつかなかったけどそれ可能性大だね〜」
「え?まずそういう考えいかないんですか?先輩って意外と頭まわらないところありますよね〜」
「うるさい、まあ…でもそっかから引っ越すなら合鍵持たれてたら良くないもんね〜」
「後は…〜ん〜。会う為の口実とか!」
「でも今更会ってどうすんの〜?」
「そりゃあ〜。ガバッと抱き締められて、ごめんな俺が悪かったぜ!…みたいな。」
「それはないかな〜。でもありがと、色々参考になったわ。」
席を立とうとした。
「あ、先輩」
「ん?」
「先輩ってたぶん私みたいの嫌いじゃないですか〜?でも私はずっと先輩の事好きでしたよ〜!ファイトです!」
何だかさすがに嬉しくなって、笑ってしまった
「ありがと。」

 結局考えた末、彼に連絡する事にした。
「昨日はごめん、合鍵必要なんだよね?」
とメールをいれておくと、すぐに返事が来た。
「うん、急ぎじゃないけど、出来るだけ早めだと助かるよ」
何と、恋人なんて別れてしまうとこんなにも愛想のないメールになるのか…付き合ってた頃を思い出していた。
「別に渡すだけなら、郵便で送るよ?」
「出来れば会ってもらいたいかな」
そのメールを読んだ瞬間…後輩の、会う口実の話しを思い出して胸がドキッとした。いや、まさか…
「別に大丈夫だけど、どうしたらいいの?仕事後ならいつでも大丈夫だけど。」
「俺もいつでもいいよ、何なら今日でも大丈夫だし。」
私はこのモヤモヤがいつまでも続くのが嫌だったから早めに済ませてしまいたかった。
「わかった。じゃあどこ行けばいい?」
「うちの近くの大きい公園覚えてる?そこの駐車場でいいかな?」
別に何の記念の場所でもない事に少しだけ肩を落とした。何を期待してるんだろうと頭を横に振って返事をした。
「うん、わかった、また連絡するね」
正直どこか期待していた。でも期待してしまってる分怖くもあった。
仕事が終わり、公園に向かった。公園に向かう途中、何でそこの公園なのか、結局何で会うのか…色々考えていた。結局考えたところで何も答えはわからないんだけど。
 公園について、待ち合わせの場所に着くと、彼は先に待ってた。何て声をかけようか迷っていたけど、迷っている間に彼がこっちに気づいた。
「お、早かったじゃん、もっと遅くなると思ってた」
何て笑いながら近付いてきたから、何か変な緊張もゆるんでしまった。
「一応、約束だからさ、あ、鍵…」
「うん、ありがと。」
少し無言が続いた後彼が先に話し出した
「少し…歩こうか?」
「うん、大丈夫だけど…」
「あ、時間…やばい?」
「ううん、大丈夫大丈夫」
そう言って二人で歩き始めた。最近の仕事の話しだったり生活の事だったり何らたわいのない話しをしていた。公園の池のあたりにさしかかると、彼は思い出すように話し始めた
「俺さ、お前と付き合うまえばっかの頃毎日ここ来てたんだ」
「え?」
「何かここ俺のパワースポットみたいな感じで、悩んでたりするとここ来るんだよね、それに、夜は静かで落ち着くし。雰囲気もいいなあって思って」
「そうなんだ」
「一回お前の事ここに連れてきたくてさ」
「だから、ここに呼んだの?ん?でもどうして今更?」
「…いや、あのさ、ちょっとこっちおいで」
「うん」
彼に近づくと同時に彼はポケットからさっき渡した合鍵を出した。
「もうこれいらなくてさ」
と言って鍵を池に投げた
「え!何してんの!?意味わかんないんだけど!持ってきた意味ないじゃん!」
と…最後まで言えたかどうかわからないうちに引っ張られて抱き締められた。
「もう、お前は本当に。うるさいよ。もうあれはいらないの。」
「え、意味わかんないよ」
「俺引っ越したんだ、前より大きめなところ。だからあの合鍵はもういらないんだ」
「じゃあなんで今日呼んだの?」
「また…一緒に暮らそう?俺も仕事落ち着いたから。もうあんな風にしないから」
私はわけがわからなかったけど、とにかく泣いた。嬉し泣きでグシャグシャになった。
「バカァ」
「あ、そうだ、手」
と言われて手を差し出した
「これ新しい鍵ね」
渡されてまた泣いた。
 それからまた一緒に住み始めた。今度はちゃんとお互いに約束ごととか家事の分担も決めた。
 今度こそずっとずっと仲良く過ごせますように。

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