ちゃむ(coLd)コミュの【恋愛遍歴】

初めての彼はピュアだった。
ピクニックデートの為に持って行ったお弁当を嬉し涙と一緒に残らず平らげて、感極まって全部吐く人だった。

二人目の彼は猿だった。
ちょろちょろとすばしっこく、事あるごとに体を求められた。
果てるのもすばしっこかった。

三人目の彼は教師だった。
成績が伸びた。偏差値が上がった。
「やっぱりこういう関係はキミの将来にとって良くないと思うんだ」
別れ際の台詞は全く教科書通りだった。
往々にして、教科書から教わった事は人生の役に立たない。

四人目の彼はロマンチストだった。
綺麗なお花畑に感激するアタシを見て、
『この景色は全部キミのモノだよ』
と言ってくれた。
入場料500円の植物園での出来事。

五人目の彼は馬鹿だった。
二人で入った満席近いラーメン屋。カウンター席に案内されたのに店内を見渡して二人掛けのテーブルで一人淋しく食事を取るサラリーマンに「ちょ、席替わってくんない？」と真顔で尋ねる人だった。
後に国に尋ねられた。

六人目の彼は妻帯者だった。
「出会うのが少し遅かっただけ」が口癖だった。
奥さんの懐妊をきっかけに持ち出された別れ話で彼は言った。
「出会うのがもっと遅かったらね」

七人目の彼がアナタだった。
アナタの浮気が解った或る日、作った晩御飯に毒を入れた。
嗚呼、アナタはすっかり変わってしまったけれど、あの頃と同じ様に、泣きながらアタシのご飯を吐き出してくれるのね。

アタシは嬉しくなって、涙で歪んだアナタを埃まみれのバスケットに詰めた。