D&D in イエローサブマリン千葉コミュの水晶窟を越えて・あらすじ

＜プロローグ＞

　この１年間、クリスタルブルック（「水晶の川」の意）の町周辺は、この世のものとも思えない風と霧とに苦しめられてきました。
　さらに悪いことに、青い肌をした奇っ径なフェイ（妖精）世界のモンスターが霧の中から現れ、略奪と殺戮を繰り広げているのです。
　
　町の人々は、「これは近くのシルダインの森のエルフたちの仕業だ」と決めつけました。
　シルダインの森のエルフたちはというと、こちらもこの謎の現象の被害にあっていて、「自分たちは無実だ、責任はクリスタルブルックの住民にあり、彼らが密かに黒魔術を行い、原始の精霊たちの怒りを買ったのだ」と反論したのでした。
　
　町の人々と森のエルフたちとの対立は、日に日に激化していきました。
　
　クリスタルブルックの兵士たちは、森に踏み込んで獣を狩りつつ霧のモンスターを退治しようとし、森の番人であるエルフと衝突しました。
　町の人々はエルフの訪問者に辛くあたり、時には騙すことさえありました。
　
　エルフの中でも血の気の多い者は、町周辺の農場から家畜を盗み出したり、森を通る道を行くキャラバンから高い通行税を取り立てたりしました。
　
　あちこちで諍いが起きた結果、怪我人は数え切れず、ついには命を落とす者まで出てきてしまったのです。

　２週間ほど前、オルランド――クリスタルブルックの統治者、レディ・アーニャ・タモラの子息――が行方不明になり、事態は急変しました。
　同じ日に、ジュリアナという名のエルフの娘もいなくなったのです。彼女はシルダインのエルフたちの長、カリック卿の息女でした。

　レディ・タモラとカリック卿は、「オルランドとジュリアナが実は恋人同士で駆け落ちをしたのでは？」と疑い、お互いに「相手の子供が自分の子供をそそのかしたのだ」と考えました。
　しかし、若いニ人がいなくなってしまった今、まずは二人を探しだすために、レディ・タモラとカリック卿は争いをやめたいと願ったのです。
　
　二人は近隣の都市・サイバーの統治者、ヴァリス・サイバー伯爵に、とりなしと救援を求めました。
　伯爵はこの申し出を、クレスタルブルックとシルダインの間に高まりつつある、戦争にもなりかねない緊張を解く絶好の機会だと感じました。
　そして、この地域の平和を守るために、信頼できる冒険者である、あなたたちを呼び集めたのです。