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THE 半ば面白い話(仮)コミュの【SD22】とある男への職質(カヂュン)    

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俺の仕事は、人様の家に忍び込むこと。
一軒、また一軒と目的を果たし、帰路に……いや、
【最後の一仕事】を達成する目前で、“それ”は起きた。

その日、確かに俺は“焦って”いた。
そして、人生最大の失敗を犯すことになる。


折からの不景気で、資金が底を尽き、仕事道具を揃えるだけで精一杯だった。
結局、その日の移動には節約のため、自転車を使わねばならなかった。


雪道の自転車移動は思いの外、時間を食う。
くそう、こんな時、空を飛べたらどんなに良いか!



「こんばんは、ちょっと宜しいですか?」


振り向くと警官が立っていた。
しまった!とは思ったが、ここで慌てふためくのは返って怪しさ倍増だ。
冷静に、冷静に………


ーーこ、こんばんは


ちくしょう、油断した!やっぱり俺ももうトシなのか??
隠密行動が絶対条件のこの仕事で、
まさかこんなところで人に見つかるとは。


「こんな夜中に自転車で……何をされているんですか?」


笑顔で話し掛けてきた警官は、気を使っているつもりなのだろうが、どこか油断無く俺に向けた視線は、完全に不審者を見る目付きだった。


ーーいや、ちょっと夜回りをね……


「……夜回り?」

警官の怪訝そうな顔は更に疑いの色を強くする。
言い訳にしてはちと不自然過ぎたか。
ヤバい、早くこの職質を終わらせないと、時間が……



ーーあ、い、いや、仕事なんですよ。

『何のお仕事ですか?』



ーーえっと、その、いわゆる荷物の配達ですね。……あの、すみません、急いでるんで、もう行っていいですか?



『こんな夜中に、しかも雪道を自転車で??』



ーー(いや、人の話聞けよ)まぁ、いつもなら違う乗り物で移動してるんですが、最近、不景気で……




『新聞配達……にしても、朝刊を配るにはまだ早過ぎる時間帯ですが??』



ーーあ、いや、あの、今は帰り道ですよ。



『じゃあ、その袋は何なんですか?中身、見せてもらえます?』



ーー(時間無えってのに……)別にいいですけど、早く終わらせてくださいね。ホントに急いでるんで。


『中身は……コレ、熊?がひとつ……ですか?』


ーー他の何に見えると??


『まぁ、良いですけど……この自転車は、あなたのものですよね?』


ーーだぁら、急いでるって言ってるのに!そうですよ!俺の自転車です!ほら、ここに◯◯サイクルショップの会員証!防犯登録もちゃんとしてますよ!ついでにほら、免許証も!


『……お名前は……黒須…さん?確かに、あなたの自転車の様ですね。』


ーーあの、ホントに急いでるんで、もうイイでしょう!?他に何かありますか?

『いえ、分かりました、もう結構です。雪道なのでお気をつけて』


ーーさようなら!

舌打ちしたい気持ちを抑えつつ俺は、全力でペダルを漕ぎ家路を急ぐ。
ちくしょう!ギリギリだ!間に合うのか……っ!


ーーただいま!


家に転がり込むように駆け込み、寝室へ向かう。
布団の中には、待ちくたびれたのか、既に夢の中に堕ちた娘が居た。


「今年こそ、“仕事中のあなたに会うんだ”って頑張ってたんだけど、ねぇ……」

妻が優しく微笑みながら、娘の頭を撫でる。


時計を見上げる。



ーーー25日、00:01。


ちくしょう!間に合わなかったか……っ!

俺は激しい後悔に襲われた。




【日付けが変わるまでに仕事を完了させる】

という使命を果たせず、
今年、その仕事人生において最大の失敗を犯してしまったのであった。


最後に袋に残った配達荷物。
我が娘が願ったクマのぬいぐるみを娘の枕元に置き、




ーーメリークリスマス


とつぶやく。




ーー俺も、そろそろ引退かな……



愛娘の頭を撫でながら、俺ーー 黒須三太 ーーは、
来年のクリスマスこそは、仕事を後輩の三田に譲り、めいっぱい娘と過ごそう……、と心に誓った。

コメント(5)

零時前に朝刊配達を例に出してくる警官!!
素敵な話をありがとう
次のシャナ題は
○リー.クリ○○スだな( ̄ー ̄)
>>[1]

コメントありがとございます
即興で作った話なので、所々不自然な点もあると思いますが、楽しんでもらえれば幸いです(^○^)

伏字にされるとどうしてもベリークリトうわっ!ナニをするヤメr(ry)
>>[2]

コメントありがとうございますm(_ _)m
ほっこりした気持ちになってもらえれば幸いです(^○^)
トナカイはストライキを起こしたんですねw
これを読む前にシャナクのお題を見た時、サンタものいけるんじゃ?と思いましたが諦めます。
僕のはくだらなすぎて…

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