THE　半ば面白い話（仮）コミュのゴツい男の憂鬱(ｶﾌﾞｾｲ)

僕は柔道をやっているせいか、人よりも体がゴツい。
どれくらいゴツいかと言えば、一時『戸愚呂30％』という微妙なあだ名を頂戴したくらいだ。

そんな僕には、初対面の人には必ずと言っていいほど聞かれる質問がある。

『何かスポーツやってるんですか？』

もうこのセリフは確実に聞かれる。
それは、笑っていいとも！といえば？のアンケートでタモリが１位をとるのと同じくらい確実だ。　

普段は『柔道です』と無難な返しをするが、たまに魔が差して軽いボケをかましたくなる時がある。
無性にツッコんで欲しくなるのだ。

例として、初対面のＡさんとの会話を見てみよう。

Ａ『何かスポーツやってるんですか？』
僕『あ、将棋部です。』
Ａ『…。そうなんですか～』

いや、ツッコめよ。
ツッコんでくれよ。
戸愚呂30％の将棋部員なんておかしいやろ。
スポーツですらねーし。
君がツッコんでくれなきゃ、僕ただの嘘つきだよ？
だが、ツッコまれるまでは引くに引けない。

Ａ『将棋って体鍛えられるんですか？』
僕『あ、本物の飛車と角って、皆さん思ってるよりずっと重いんですよ』

何だ、本物の飛車と角って。
市販のプラスチックしか触った事ねーよ。
ってか、そんなんで体鍛えられるなら、プロ棋士の方々は皆『戸愚呂100％』だよ。

Ａ『スゴいですね～。王将は重いんですか？』
僕『あ、意外と軽く出来てるんですよ。逃げやすいように』

もはや意味不明である。
逃げやすいように軽いってどんな理屈だ。
完全に自分で自分の首を締めている。

Ａ『そうなんですか～。私何も知らないもので。すみません』

謝らないで!!
胸が痛くなるから!!
僕が悪かったから!!

結局、その会話は僕が本当の事を話して土下座することで、丸く収まった。

またある時は、北海道で乗ったタクシーの運転手との会話だ。

運転手がラジオの相撲を聞きながら
『お客さん、もしかして力士？』
と聞いてきた。

んなわけねーだろ。
ここ北海道よ？
さっきラジオで『九州場所』って言ってたの聞いてなかった？
だいたい坊主頭の力士なんか見たことあんのか？

だが面白そうだったので話に乗りまくったら、僕は最終的に『来場所新入幕で九重部屋所属の北海力』という事になってしまった。
しかもその北海力は、稽古で朝青龍を投げ飛ばして休場に追い込んだことがあるらしい。

今もその運転手は『北海力』という架空の力士を探しているだろう。

運転手さん、すみませんでした。