タイ仏教コミュの第八項、技能を持つ

マンゴーで生計を立てる人にとって、生活は実った量と品質にかかっています。マンゴーは、まず木は幹を伸ばし、枝葉をつける。それはこの後果実をつけるための初歩の段階です。われわれが学んだ知識で多聞になるのは準備に過ぎない。ひとたび、われわれはそれを行うための技能をもてば、それまで蓄積した学問は十分な成果を発揮することができる。

技能とは何か

技能は物事を見事に優美に体現あるいは表現する方法です。「よく表現する」、「できる」という意味です。
多聞者は、賢く学んでいます。学んだことは理論で、何が何か、これをどうやって行うか、を知っていることです。一方、技能は実践面の能力、つまり、学んだ知識をいかに利用することができるかの能力です。

多聞者の全員が技能を持っているとは限りません。例えば、炊飯するとき、お米をなべに入れ、洗い、一定の水を加え、コンロに掛ける。この後しばらくして、水を少しこぼし、またもう一度コンロに掛け、約３０分炊くと、ご飯はできあがります。これがご飯を炊く方法です。

単に炊き方を知っているだけで、自分で炊いたことの無い人は、おいしいご飯を炊くことができるとは限りません。煮こぼれしたご飯は生煮えか、べとついていたり、焦げ付いたりします。これはご飯を炊く技能が足りないからです。つまり、「よく道理を知っていて」も「よくできる」とは限りません。
他のことも同じで、例えば、運転、水泳、サッカー、料理作りなどの道理は理論だけを知っていても、できるかどうかはやってみなければ分かりません。
技能の種類

身体　仕事が巧み
機織、機械修理、絵画、設計、彫刻家、作家、看護師、更に礼儀正しく、優雅な立ち居振る舞い、化粧の仕方、熱心な客への対応、他の人に対する尊敬の表現なども広義の技能に含むことができます。

言葉　話し言葉が巧み
うまく、役に立つ話し方を理解し、話し手と聞き手の心を向上できます。

心　　考えが巧み
理性と知性を兼ね備えていること、自らの考えをコントロールでき、創造性がありまた自らの心の中の考えを向上できます。
簡単に言うと技能とは、考えられ、話せ、できることです。

技能の要素
行ったことを技能だと言えるのは、以下のような6つの要素が必要です。
（１）精妙に行うこと。
（２）その事柄あるいは物の価値を高めることができること。
（３）行った後、われわれの創意やアイディアを増進させること。
（４）行った後、性欲を催させないこと。
（５）行った後、恨みや憎しみの感情を起こさせないこと。
（６）行った後、破壊的考えを起こさせないこと。
技能を身につけることができる人とは

（１）確固たる信念のある人
自分の行うことが、本当に正しく、有益でよいことであると信じ、やる気満々、やりとげる自信がある人。

（２）身体が弱く、病気がちではない人
自分の世話がやける人。

（３）ほら吹きや自己顕示欲の強くない人
自分がえらいと思っている人に教えたり、指導したりする人はいません。
これらの人々は、自画自賛が過ぎ、技能を学ぶ時間がありません。

（４）怠惰でない人
忍耐強く、勤勉な品格を持っている人。

（５）智恵のある人
注意力、観察力を持ち、体得し、検討できる人。
どのようにして技能を身につけた人になるか

（１）観察力を研ぎ澄まし、自分の周りのあらゆる特別で優美なものを観察できるようにする。

（２）自分のすべての仕事を全身全霊で完成する。仕事を軽く見ることなく、それを他人に押し付けない。

（３）すべての仕事を真面目にかつ細心に行わない。

（４）自らの能力と技術を向上し、いい加減に終わらせない。

（５）いつも技能を持つ専門家と接触を持つ。

（６）常に瞑想をする。清らかな心は、自分を改善したり練習したりする智恵を生む。

注意事項

他人の欠点ばかり探してはいけません。さもなければ人の「あら捜しの専門家」になり、他人の仕事や作品の批判ばかりで、自分の腕を振るう勇気がなくなります。これは、他人に批判されるのを怖がっているからです。結局、作品を出さなくなり何もできない人になります。

技能を身につける果報

１．他人より優れた能力をもち、それがやがて開花する。
２．生計を維持することができる。
３．賢く、観察力に優れ、鋭敏な人になる。
４．裕福になる。
５．現世でも生まれ変わりの世でも幸福を得る。
６．世界の物質面の発展を促進すると同時に人類の心を向上する。
など。

技能は一つの事柄に過ぎないが、同様に成功の利点と要因を提供することができる。