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国語ローマ字が便利!コミュの国語ローマ字の草案

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国語ローマ字は、口語の中国語を、自由な発想のままにローマ字で綴れるように考案されたものです。とはいえ、一朝一夕に出来上がったのではありません。1928年の中華民国政府時代に公布されたものですが、最終的な形になる前に、試行錯誤がありました。

その主な点は:

1)破擦音の声母の綴り方−−舌先音、巻き舌音の区別をどうあらわすか
2)声調の綴り方−−どの声調に基本形をもちいるか
3)「旧」国音を綴るのか、それとも、純粋に北京語音だけを綴るのか


1922年の第一草案は、次のようなものでした:

<声母>

b p m f, d t n l, g k q(=ng) x(=h)
j tc(=tsh) h[sic] c(=sh), j tc(=tsh) c(=sh) r-
z- ts s
-z -r (空の韻母として)

<韻母>
i u v(=yu)
q o e e
ai ei ao ou
an en aq(=anq) eq(=eng 以下おなじ) er
ia io ie
iai iao iu
ian in iaq iq
ua uo uai
uei -ui
uan uen -un
uaq oq
ve van yn
ioq

<陰平>
-h をつける

<陽平>
声母を重ねる
声母がないものは、
iを yに変える  例 yaq
uを wに変える 例 waq
v を yvに変える 例 yvan

<賞声>
主母音を重ねる  例 haao

<去声>
基本形を使う

<入声>
-k をつける

「去声」を基本形に設定したのは、同音の音節では、去声(つまり、北京語の第三声)が最も頻度が高いという理由でした。

面白いのは、ピンインの中では二つの文字になっている鼻音 -ngを、一つの文字 q で表わそうと決めた点です。

また、「旧」国音(人為的に中国語の各地の発音を取り入れて、北京語を基礎にしつつも、入声を表わす発音体型)を前提にして、綴りが考えられています。

コメント(2)

1923年9月の草案(第二草案)

<声母>
b p m f v
d t n l
g k q h
j ch n sh
j ch sh r
tz ts s

<韻母>
i u ü a o e e
ai ei ao ou an en aq eq er
ia io ie iai iao iu ien in iaq iq
ua uo uai uei uan uen uaq oq
üe üen ün ioq

この第二草案では、v を無理やり ü[y]に当てはめることを止めています。
また、破擦音の綴りが英語式になっています。
しかし、-ng を 一つの文字 -q で表わすことは変わっていません。

<声調の綴り方>
陰平と入声は、基本形

[陽平]
i u ü は 
単独で音節になるときは yi wu yü に変える。
韻母の第一音になるときは y w yü に変える。
m v n l q r は、ai ei ao ou an en aq eqの前では そのまま。
そのほかの声母は、文字を重ね書きする。

[賞声]
主母音を重ね書きする

[去声]
i u ü ai ei ao ou iai iao iu uai uei -n -q は
iy uw üy ay ey aw ow iay iaw iw uay uey -nn -qq に変える

この第二草案では、基本形式を陰平にあてていること、そして、去声を表わすのに語尾の綴りを変えていること、この二点に注目できます。

この、声調をつづりの変化で示すやり方は、実は、大陸の一部の言語学愛好者の間では使われています。特に<声母を重ねて陽平を表わす><韻母の主要母音の文字を重ねて去声を表わす>やり方は、インターネット上でも提唱されているのを見かけたことがあります。

このように声調をつづりの変化だけで表わすやり方は、
(1)符号を使わずに文字だけで声調を示す方法を探る、(2)つづりの長さが極端に長くならないように工夫する、(3)文章を綴った際に、可読性をさまたげないこと、(4)国際的なアルファベットの使い方から極端に離れないように見かけを整えること、などといった点を考慮しながら、実験を重ねながら、1928年の最終案にまとめあげていったことが読み取れます。
趙元任氏自身の挙げた、「国語ローマ字」のあるべき姿
(1922−23年の『国語月刊』に掲載された「国語ローマ字の研究」より。2002年商務印書館刊行の、<<趙元任語言學論文集>>に転載されたもの)

原則1:末永く使う実用性を持つこと。
原則2:統計的な事実を利用すること。
原則3:言語の自然な流れに従うこと。
原則4:理論的な規則性を犠牲にする(必要のあることを認める)こと。
原則5:学習に手間がかかることに煩わされないこと。
原則6:実用性を求めるのであって、言語学の道具に使うのではないこと。
原則7:一国の文字は音韻の専門家の便宜のために考案するのではないこと。
原則8:むやみに正確さを追い求めないこと。
原則9:文字は、覚えやすく、書きやすく、印刷に便利なこと。
原則10:26文字を活用して、新しい字形を作らないこと。
原則11:符号をつけないこと。
原則12:一つの文字に二つ、または、それ以上の読み方を許すこと。※ a のように、音声学的にはいくつかの異音として書き表すことの出来るものでも、現れる環境が違うので、一つの文字に兼ねさせることは可能であることを言っている。
原則13:一つの文字で複合した音声を表わすことを許すこと。※z 一文字で[dz]を、 j 一文字で [dj][dr]を表わすことの意義を言っている。
原則14:よく使われる音声は表記方式も簡便なものにすべきこと。
原則15:世界の習慣に沿うものであること。
原則16:読み分けの便を妨げない限り、字形を短くすること。※iou>>iu, uei>>ue, d/t/n/l/z/ts/sの前ではuenとせずにunとする。
原則17:単純な音声は組み合わせ文字を使わないこと。
原則18:文字は容易に読み取ることのできるものであること。
原則19:実用上で必要な区別は出来る限り表わすこと。
※n/ng, ie/iai, o/uo, j-/z-,q-/c-,x-/s- などの区別をすること。
原則20:整った文字表記としての個性があること。
原則21:文字はまんべんなくすべて活用すること。
原則22:濁音の示す文字を、清音の無気音を示すのに用いること。
※ウェード式と国語ローマ字(第一草案)<最終案>の対比
張 chang / jaqh   JANG
常 ch'ang / tccaq CHARNG
江 chiang / jiaqh JIANG
蒋 chiang / ziaq JEANG (またはTZEANG)
強 ch'iang / tcyaq CHYANG
搶 ch'iang / tsiaaq CHEANG
原則24:単語は続け書きすること。分かち書き原則を設けること。
原則25:声調を文字つづりの一部に組み込むこと。

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