公開前の映画情報コミュの空気人形

「空気人形」
　09年9月26日、シネマライズほか公開
　アスミック・エース配給　　上映時間：116分
　監督：是枝裕和
　出演：ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、高橋昌也、余貴美子、岩松了、星野真里
　　　　丸山智己、奈良木未羽、柄本佑、寺島進、オダギリジョー、富司純子
　http://www.kuuki-ningyo.com/

「誰も知らない」の是枝裕和監督の新作は、業田良家のコミックが原作の、ある意味ファンタジー。「空気人形」はいわゆるラブドール（ダッチワイフ）のことですね。私が行った回の試写は早い段階で満席となりました。

＜あらすじ＞
古びたアパートで持ち主の秀雄と暮らす空気人形は、ある朝、本来は持ってはいけない「心」を持ってしまう。彼女は秀雄が仕事に出かけるといそいそと身支度を整え、一人で街へと歩き出す。メイド服を着て、おぼつかない足取りで街に出た彼女は、いろいろな人に出会っていく。ある日、レンタルビデオ店で働く純一と知り合い、そこでアルバイトをすることになる。ひそかに純一に思いを寄せる彼女だったが……。
（「goo映画」より引用）

とても透明な印象を受ける作品でした。そして、大したセックスシーンなんてないのにめちゃくちゃエロかった。

"心"を持ってしまった人形が、ある行為を通じて"生"を吹き込まれる。その様子が"性行為"にも似てめちゃくちゃエロいのです。このような類のエロスはほかにあまり見たことない。"生"と"性"がこんなに重なるものだと、改めて思い知らされました。

人形を取り巻く人たちはみな、心に空虚感を抱いて暮らしている。その中でただ１人、徐々に人形が"満たされていく"様子を対比的に描き出しています。そういった"人のつながりと寂しさ"を描かせたら、是枝監督はうまいなぁ。

マイミクのお一方とお話した際、「この作品は『誰も知らない』で出ていた是枝監督の悪い部分が全部出てる」というような声を聞きました（飲みの席だったので、細かい部分を覚えてません。すみません）。確かに雰囲気は少々似てる感じがしますが、私はそれはそれで彼の作品の?味?だと思うし、そのあたりは人により好き好きだと思うので、「誰も知らない」がお好きな方ならイケるんじゃないでしょうか。

私は原作読んでないし、ストーリーはほぼオリジナルらしいけど、お話の内容は知らずに見た方が楽しめると思います。

ただ、上映時間がもう少し短かったら、なおよかったかな？

主役にペ・ドゥナを起用したのは大正解でしょう。童顔でスレンダーな体がラブドールっぽいし（笑）、たどたどしい日本語をしゃべる設定は外国人の方がわざとらしくない（それが徐々に上手になっていくのは彼女の努力のたまもの！）し。

なにより、劇中のほぼ３分の１（私の推測）を全裸で演じるなんて、そんな度胸のある若い女優さんは日本ではそこらにはいないでしょう。その体もめちゃくちゃキレイだし（これを見るだけでも一見の価値あり！）、彼女じゃなきゃ映画の印象は相当変わってたでしょう（私はペ・ドゥナのファンとまではいかないけど、結構好きな方なので、若干贔屓目が入ってるかも）。

出演時間は短いけど、オダギリジョーもよかった。彼じゃないと出せない雰囲気を醸し出せていたと思います。

私的採点：4.0点（5点満点）

　　　　　　　　　　　　　　09年7月31日　アスミック・エース試写室