公開前の映画情報コミュのチェ 28歳の革命＆チェ 39歳別れの手紙

「チェ 28歳の革命」　The Argentine（Che Part One）
　　09年1月10日、日劇３ほか公開
　　08年スペイン、フランス、アメリカ　　ギャガ・コミュニケーションズ配給
　　上映時間：132分　　日本語字幕：未確認
　　監督：スティーヴン・ソダーバーグ
　　出演：ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、サンティアゴ・カブエラ
　　　　　エルビラ・ミンゲス、サンディノ・モレノ、ロドリゴ・サントロ
　　　　　ジュリア・オーモンド

「チェ 39歳別れの手紙」　　Guerrilla（Che Part Two）
　　09年1月31日、みゆき座ほか公開
　　08年スペイン、フランス、アメリカ　　ギャガ・コミュニケーションズ配給
　　上映時間：133分　　日本語字幕：未確認
　　監督：スティーヴン・ソダーバーグ
　　出演：ベニチオ・デル・トロ、カルロス・バルデム、デミアン・ビチル
　　　　　ヨアキム・デ・アルメイダ、エルミラ・ミンゲス、フランカ・ボテンテ
　　　　　サンディノ・モレノ、ロドリゴ・サントロ、ルー・ダイヤモンド・フィリップス
　　　　　マット・デイモン
　　http://che.gyao.jp/

カストロ前国家評議会議長ともにキューバ革命を成し遂げた、伝説の革命家チェ・ゲバラを描いた、前後編にわたる大作です。前編の「28歳の革命」では、ゲバラがキューバ革命に参加し、それを成し遂げるまでが、「39歳　別れの手紙」では、彼がキューバを後にしてボリビアのゲリラ活動に参加、志に半ばで銃殺されるまでを描いています。ソダーバーグ＆デルトロ好きの私には見逃せません。２本連続で観賞いたしました。プロデューサーにも名を連ねるデル・トロは、役作りのために25キロも体重を落としたとか。

＜あらすじ＞
1955年、貧しい人々を助けようと志す若き医師のチェ・ゲバラ（ベニチオ・デル・トロ）は、放浪中のメキシコでフィデル・カストロ（デミアン・ビチル）と運命的な出会いを果たす。キューバの革命を画策するカストロに共感したチェ・ゲバラは、すぐにゲリラ戦の指揮を執るようになる。＜28歳の革命＞
1959年にキューバ革命に成功した後、国際的な名声を得たチェ・ゲバラ（ベニチオ・デル・トロ）。しかし、チェ・ゲバラは変装した姿で家族と会い、最後の食事を済ませると、急に姿を消してしまう。そしてラテン・アメリカの革命を目指し、ボリビアを訪れるが……。＜39歳　別れの手紙＞
＜「シネマトゥデイ」より引用＞

ご承知の方も多いでしょうが、チェ・ゲバラ（「チェ」あだ名で、本名はエルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ）はアルゼンチン人。医者だった彼が、南米をオートバイで旅する過程で共産主義に関心を持ったという話ですが（この旅は映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」で描かれています）、この作品ではそれに至る過程を端折り、カストロにキューバ革命への参加を誘われるシーンから始まります。

彼がなぜ共産主義に惹かれ、どんな心理状況でキューバ革命に参加することになったのか、ハッキリと分からないままに物語は始まり、進んでいくのです。

万事そんな調子で、ゲバラの半生を客観的に追っていくだけで、見たところ、彼の心理描写的な場面は数ヶ所しかありませんでした。まるで記録映画を見ているかのよう。そのせいか、特にゲバラに思い入れがない私は、どうにも感情移入ができずじまい。もちろん、革命に燃える彼の姿には共感はできるんだけど。

ここまで客観的に描いていると、ソダーバーグはあえてそのような演出を取ったとしか思えません。彼の生き様をリアルに魅せて、「あと考えるのはキミたちだよ」と。

「28歳」でキューバ市民に歓迎され、"勝てば官軍"で華々しくハバナに入った姿と、「39歳」で市民の協力を得られず、まるで平家の落人のように追い詰められ、散っていく姿の対比があまりに悲しい。革命に身を投じる前、ゲリラ戦、有名な1964年の国連演説などを時間軸を交差させながら描く「28歳」と、時間軸の通りに描いていく「39歳」という演出も対照的だし、「28歳」はシネスコサイズでダイナミックに、「39歳」はビスタサイズで情緒的に、という見せ方の違いもあります。

デル・トロの熱演は確かに素晴らしかった。けど、個人的にはもっと彼個人の心理描写を盛り込んで欲しかったな。ゲバラをよく知っている人なら、また観方は違ってくるのかもしれないけど。全く知らない人なら、前もって簡単に予習をしておいた方がいいと思います。

私的採点：28歳…3.5点／39歳…3.0点（5点満点）

　　　　　　　　　　　　　　12月5日　ギャガ試写室　スカイシアター