公開前の映画情報コミュのWall-E／ウォーリー

「Wall・E／ウォーリー」　Wall・E
　　08年12月5日、日比谷スカラ座ほか公開
　　08年アメリカ　　ウォルト・ディズニー・スタジオ配給
　　上映時間：103分（短編「マジシャン・プレスト」含む）　　日本語字幕：稲田嵯裕里
　　監督：アンドリュー・スタントン
　　声の出演：ベン・バート、エリッサ・ナイト、ジェフ・ガーリン
　　　　　　　フレッド・ウィラード、マッキントーク、ジョン・ラッツェンバーガー
　　　　　　　キャシー・ナミジー、シガニー・ウィーバー
　　http://www.disney.co.jp/movies/wall-e/

数々のハイクオリティーなアニメを供給するピクサーの最新作です。人間が脱出した地球でただ１人（１台？）、もくもくとゴミ処理をするロボット・ウォーリーの物語。

「自分の行為が報われようが報われなかろうが関係なく、健気に努力する」というシチュエーションに私は弱く、個人的には期待度maxの作品。鼻息荒く出かけました。今回は字幕版を観賞。

＜あらすじ＞
29世紀の荒れ果てた地球で、たったひとり黙々と働き続けるゴミ処理ロボット、ウォーリー。宇宙へ脱出した人間たちに置き去りにされて700年、大好きなミュージカル映画『ハロー・ドーリー！』のビデオで男女が手を握るロマンチックなシーンを見ては人恋しさを募らせていた。そんなある日、真っ白に輝くロボット、イヴが現れ、ウォーリーはたちまち恋に落ちる。ところが、巨大な宇宙船がイヴを連れ去ってしまい……。
（「goo映画」より引用）

過去のピクサー作品でいえば、基本的なノリは「モンスターズ・インク」か「ファインディング・ニモ」か。膨大なゴミの山を前に、健気に黙々とゴミを片付けるウォーリー。ちょっと困ったような顔をした時の表情がたまらなくキュートです。

「手を握る」という行為に憧れ、けど相手はいない。そこに現れた謎のロボット、イヴ。「彼女と手をつなぎたい」という一心で、これまた健気に彼女に尽くしていきます。

前半のつかみはバッチリです（個人的意見）。

＜以下は物語半ばの展開以降の内容に触れています。後半の展開を知らずに観たい人はスルーしてください＞

ウォーリーは連れ去られたイヴを追いかけて宇宙船に乗り込み、初めて他のロボットや?人類?と出会います。

それまでウォーリーの心理描写（笑）を中心にしっとりと描いていたのに、それからの後半が、宇宙船内を舞台にしたドタバタ劇になってしまうのです。これって、前後半のギャップがありすぎではないかい？　もちろん、後半の展開があってこそストーリーは成り立つのですが、個人的には前半に漂っていたしっとり感をもっと残して欲しかった。

他にも疑問点がいくつか。

人類はゴミだらけになった地球を捨て、宇宙船の中で楽で便利な生活を満喫していた。そんな?飼い慣らされた?人たちが、船長の「地球に帰る」という一言で熱狂します。自分で歩くこともままならず、目の前のモニターだけを見ながら生きている、そんな生活に満足しきったような様子だった人たちが、荒廃した星に突如帰りたいと思うのでしょうか？　帰巣本能のようなものなのか？

ウォーリーは彼らにとって、地球への帰還の?救世主?と見なされます。けど、突如現れた小さなゴミ処理ロボットを救世主と裏付けるハッキリとした描写がなかった。

ほかにも、なぜ○○○○○を○○○したウォーリーが、○○のことを○○○○○のか？（重要部分なので、完全伏字失礼）。それを言ってしまったらオシマイなのかもしれないけど、クライマックスの重要なシーンだからこそ、こだわって欲しかった。

ピクサー作品にしては、こういう細かい整合性の点で粗さが目立ち、非常に残念でした。

「コンピュータやロボットに管理された近未来」という世界観もステロタイプ。この手の作品でファミリー向けアニメを描こうと思ったら、仕方ないのかな、とは思うけど。

＜以上、ネタバレ終わり＞

あれこれ不満点を書いたけど、それもピクサー作品というハードルの高さゆえ（特に私は冒頭の説明の通り、勝手にハードルを高くしていた）。物語のクオリティーは従来通りだし、小ネタの挟み方や小道具の使い方などはさすが。

「ハリポタ」公開延期のあと、正月映画前半戦の目玉になったこの作品。普通に楽しむつもりなら、子供はもちろん大人まで満足いく１本であることは間違いないでしょう。

私的採点：3.5点（5点満点）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　9月24日　ウォルト・ディズニー試写室