公開前の映画情報コミュのホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン！-

「ホット・ファズ-俺たちスーパーポリスメン！」　Hot Fuzz
　　08年7月5日、シネマGAGAほか公開
　　07年イギリス　　ギャガ・コミュニケーションズ配給
　　上映時間：120分
　　監督：エドガー・ライト
　　出演：サイモン・ペッグ、ニック・フロスト、ジム・ブロードベント、ティモシー・ダルトン
　　　　　パディ・コンシダイン、レイフ・スポール、マーティン・フリーマン
　　　　　スティーヴ・クーガン、ビル・ナイ
　　http://hotfuzz.gyao.jp/

監督の前作「ショーン・オブ・ザ・デッド」が評判にもかかわらずビデオスルー。続いて製作されたこの作品も、本国イギリスで２週連続１位に輝きながら、配給元の権利関係で日本公開が危ぶまれていました。それを、2500名を超える署名活動の後押しもあって日本で配給に踏み切ったのがギャガ。同じく「とても日本では公開までいかないだろう」と思われていた「俺たちフィギュアスケーター」を公開したのに続く?英断?（笑）です。ギャガはこの後に「俺たちダンクシューター」が控えてるし、コメディを「俺たち」でシリーズ化するつもりなんだろうな。

ニコラス・エンジェル（サイモン・ペッグ）巡査は検挙率ダントツ１位を誇り、ここ１年で特別表彰９回、市民にも優しいロンドン警察一のスーパーエリート警察官。ところが、その能力ゆえに組織内で疎まれ、過去にほとんど犯罪が起きていないイギリス一の平和な田舎村サンドフォードに左遷されてしまう。相棒は、警察署長の息子でトロくてお人好しのダニー（ニック・フロスト）。村の集会の警備や逃げた白鳥の追跡など、ロンドンとは勝手の違う日々に戸惑うエンジェル。そんなある日、村の田舎道で悲惨な交通事故が発生する。状況から見て事件の臭いを嗅ぎ取ったエンジェルは、署長や同僚に捜査を願い出るが、警察中が「ただの事故だ」と取り合ってくれない。その後も不可思議な事故が続発し、エンジェルは村の怪しい?裏の顔?に気付くことになる－－。

とにかく、あらゆるポリス映画、アクション映画からインスパイアされて撮っていることがわかります。プレスに載っている作品だけでも「バットボーイズ２バッド」「フレンチコネクション」「ＬＡコンフィデンシャル」「ダーティハリーシリーズ」「ポリスストーリー」「ヒート」「リーサル・ウェポン」「ドミノ」……。

私はそこに並ぶ作品の半分くらいしか観てなく、それらを観ていないことにえらく後悔させられました。「これらを観ていたら、多分この倍は楽しめたんだろうなぁ。ワクワクドキドキできたんだろうなぁ……」と。

しかし、そういうこととは無関係に、この映画は……こういう使い古された言葉くらいしか思い浮かばないんだけど、とにかくクール！　抜群のテンポのよさとセンスのよさ、エリートとダメダメ人間がコンビを組んで輝くカッコよさ、ラストのカタルシス、シーンの隅々まで散りばめられたコメディセンス……。言葉で書いてもなかなか伝わりにくいので、身体で感じて欲しい映画です。

一度観れば、この作品がリスペクトしている映画をいくつか観て、また観たくなるような、そんな作品。

ただ、コメディといってもアッケラカンとしたアメリカ的笑いではなく、クスッと口元を歪めたくなるようなシニカルな笑いであることをご承知おきを。

試写の後、監督の前作「ショーン・オブ・ザ・デッド」を観ました。ロメロ版「ゾンビ」（Dawn of the Dead）へのオマージュたっぷりのホラーコメディで、主演の２人も同じ。個人的にはこっちの方が好きで笑えたけど、作品のクオリティというかノリもほぼ同じで、監督、というより脚本も共同で手がけるサイモン・ペッグとのコンビにこれからも期待です。

採点は、こういう映画に頑張って欲しい、というエールを込めて少し甘め。

私的採点：4.5点（5点満点）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　5月2日　ギャガ試写室スカイシアター