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お食事処 好古コミュの人間万事塞翁が馬

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 茨城県つくば市を中心に、関東を竜巻が襲った。



 映画『ツイスター』でも、巨大な竜巻の破壊力を見せつけられたが、まさか日本でも同じような事態が起こるとは思いもよらなかった。ニュースレポーターが「陸上の津波」と表現したが、あらゆるものを巻き上げ、奪い去り、木っ端みじんに砕いてしまう様は、確かに津波の威力に匹敵していたと思う。



 テレビに映るその光景を、オレは自宅のベッドの上で眺めていた。



 その日は、栃木県茂木町のツインリンクもてぎで、自転車とランニングのイベントが開催されていた。実はその大会にオレもエントリーしていた。もしも大腿骨を骨折していなかったら、竜巻が北関東を襲ったその時刻に、オレはその周辺にいたことになる。同じ大会に参加した知人に聞いたところ、突然の風雨で大会は中止になったそうだが、もしも大会に参加していたら、この竜巻に巻き込まれなかったとは言い切れない。



 自分の身に起こる事象のすべてには、何かしらの予兆があるのだと信じているオレは、今回の大腿骨骨折についてもその理由を繰り返し想像していた。そして、昨日のニュースを見て、身が震える思いをした。



『人間万事塞翁が馬』とは中国のことわざで、良いと思われたことが不幸を招き、不運だと思っていたことが幸運を引き連れてくると行った人の不思議を伝えていた。飼い馬に逃げられたと思ったら、その馬が雌の野生馬を連れて帰ってきた。その野生馬を調教していた息子が落馬して足を折ったと思ったら、戦争に駆り出されなくて済んだ。そのように、目先の出来事がいいとか悪いとか一概には言えない深さを教えている。



 昨年末から左臀部褥瘡で三か月入院し、そのあと、原因不明の皮膚炎で再入院をした。それでもなお、骨折に見舞われるという不運の意味がこの時になってよくわかった。本当はオレの骨折とは何の因果関係もなく、たまたま出向くはずだった地域で大きな災害が起こったにすぎないのだろうが、この偶然を偶然のまま終わらせることはどうしてもできなかった。



 秋にはハンドバイクでのベルリンマラソン参戦も計画していたが、長い入院と今回の骨折で参加を断念した。オレの未来に何が起こるか知る由もないが、「今年はベルリンへ行くべきではない」と天の誰かに告げられているような気がしてならない。



 自分の安全は自分で守るべきだと思う。災害にしろ犯罪にしろ、日本は決して安全を保障された国ではないからだ。どれだけ注意していても、身に覚えのない危険にさらされることは免れない。ただ、日頃から危険に対する配慮を続けていれば、いつの間にかそれを察知する感覚を身につけることができる。オレも茂木町の大会にエントリーする際に、自分の体力が大会に参加するに見合うかどうかでずいぶん悩んだ。悩んだというよりも、迷ったというほうが正しいかもしれない。それでも参加を決めたのは、その先にあるベルリンマラソンを見越していたからだ。自分を奮い立たせるために積極性を見せたつもりだったが、迷った末に参加する意思を示したオレを、空の上からご先祖様が見ていて、竜巻が訪れる地域にオレを行かせないようにしてくれたのかもしれない。



 オレが家にとどまる意味をもう一度考え、ここでできる最大のことをこなしていこうと思う。『人間万事塞翁が馬』に倣えば、オレが足を折ったことは、次に訪れる幸運の前兆といえるのだから。


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