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作品保管庫コミュの生きる意味3

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公演が終わり、ケンさんはもらったおひねりでコーヒーを買って呑んでいた。

「おう、どうやった?」
「あんまり上手くないですね(笑)」
「なっ、自分ストレートすぎるわ」
「でも、楽しかったです」
「おっ、上手い事いいよるなぁ」

そういいながら、ケンさんは嬉しそうだった

「何でそんなに楽しそうなんですか?」
「そら、褒められたら嬉しいやろ」
「違います、なんでそんな明るく手品なんて出来るんですか?」

出会った時から思っていた疑問だった

「そら、幸せやからや」

幸せ、ケンさんは満面の笑みでそう応えた。
ただその言葉を聞いて、自分の中の何かがはじけた、

「幸せ…?失礼ですけどホームレスなんて普通からみたら地獄じゃないですか…、それなのにケンさんは本当に楽しそうだ…、自分だって、自分だって…、自分だって楽しく行きたい、幸せでいたい…でも苦しくて、辛くて、何のために生きてるかもわからない、自分なんて生きてても価値がない…だから…だから今日ここに死ぬ覚悟をもって来た、どうせ自分なんて死んだって世界は何も変わらないから…でも死にたくない、できるなら笑って生きたい、幸せになりたい…なんで、なんでケンさんは…そんなに幸せなんですか?」

初対面の人に対して何をゆっているのか自分でもわからなかった。
ただ、泣き出すのを抑える代わりに、自分の中に溜め込んでいた言葉が、溢れ出るのを抑える事が出来なかった。


「…そうか、辛かったんやなぁ」

少しの沈黙の後、優しい声でケンさんはつぶやいた。

この一言で涙も止まらなくなった。
何故かわからない、ただ、ケンさんの方が間違いなく辛い思いをしているはず、そのケンさんが自分なんかの辛さを認めてくれた。
お前なんて幸せや、そう言われてもおかしくなかった。
なのに…ケンさんは受け止めてくれた。
それだけで、なんだか心が救われたような気がした。

「せやなぁ、幸せの価値を変えたことと、生きる目的を見付けた事やな」

また少し間を空けて、ケンさんはそう答えた。そして静かに話し出した。

「まぁ、自分のゆうとおり、最初は地獄やったで、生まれたときから今の生活じゃないからな、昔はそれこそ普通に暮らしてた、ただ会社が倒産して、気づけば全てを失った。
ホームレスになって、今ここで俺が死んでも、もしかしたら誰も気づかんかもしれへん、そう思うとなんの為に生きてるのかわからんくなった。こんなやつ生きてたってしゃーないなって、その時は死ぬ事だって考えた。ただ…最後の最後でどうしても死ねんかった、勇気がなかったのもあるけど、何より悔しかった、俺なりに一生懸命過ごした人生は、たくさんの人に支えられた人生は、誰にも影響せえへんのかって…」

ケンさんはまるで昔を懐かしむように遠くをみながら軽く笑った、そして更に続けた。

「そこで思った、どうせ死んだって影響ないなら、生きて世界を幸せに変えたろうってな、誰かが一度でも笑えば、幸せだと感じれたら、それで世界が一つ明るくなる、俺が生きることでそれが出来るなら、めちゃくちゃちっちゃいかもやけど、俺が生きてる意味があると思うねんな。
まぁ最初はただの悪あがき、負け犬の遠吠えやってんけどな」

そうゆうケンさんの目は優しくそして力強かった

「やけどなぁ気付けば、それが自分の幸せになってた、自分の事ばっかやってたり、自分の幸せばっか追いかけてるうちは気づかんかったんやけど、人に喜んでもらうって凄いねんぞ、幸せの限界が増えた感じや、それに今まで喜べんかったことも喜べるし、自分がしんどいことも忘れられる、世界で一番幸せなやつは世界中の人の幸せを喜べるやつやと思うねん」

ケンさんの言うことはわかる。
簡単なように聞こえても、今までの辛い経験が言葉に力強さをまし。
ケンさんが受け止めてくれて出来た心に入ってくる。
それでも

「自分には…、自分みたいな弱い人間にはできない。」

簡単に出来るならここまで苦しくなんてならない。
そう思った。

つづく
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