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ATTバトルロワイアルコミュのATTバトルロワイアル 第八十一話【死神堕つ】

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赤黒い闘気が身構えているミキティの周りで渦を巻いている。

そしてその背後には猛犬モグの姿が。



その様子を遂に真顔になった黒部が見つめている。

睨み付けるといった視線ではない。



まるで養豚場の豚を見るような目だ。

可哀相だけど貴方もうすぐ美味しく食べられてしまうのねって感じの。







黒部「……じゃあ今度こそ」






ゆっくりと黒部が口を開いた瞬間。

ミキティは背後に恐ろしい殺気を感じた。








ギュン









黒部「お前を殺すからな」







突如背後から現れる黒部。

彼女は一瞬で後ろに回っていた。

左手に持った大鎌を振りかぶっている。



しかしミキティは慌てる様子もなく大鎌に向けライトセーバーをかざした。






ミキティ「バカが、打ち合いが出来ないのをもう忘れたか?」






黒部と至近距離で視線がかち合う。

黒部がその瞬間少し驚いた表情を見せた。

自分が本気を出したスピードに彼女が付いてきたからだ。


しかしすぐにその表情がドヤ顔に変わる。

二つの武器が交錯し、大きな音を立てる。







カキーーーーーーーンッ!!!!!









………カラン








何か金属質の物が地面に落ちた音がした。




そして次に口を開いたのは黒部だった。







黒部「打ち合えないなら『ココ』しかないわよねぇ?」







勝ち誇った表情の黒部の視線の先には輪切りになった金属質の物。

ミキティの眉間にしわが寄る。







ミキティ(・・・柄!?)







ライトセーバーの光の刃が消えている。

そう、黒部は光の刃がない柄の部分を正確に狙ってきた。

ここなら打ち合いでなら絶対に勝つであろうライトセーバーも金属製の大鎌で叩き落とせる。

そして柄から切り落とすことにより無敵の武器を使用不能にして見せた。







ミキティ「……ウッ!?」







同時に黒部から腹部に強烈な蹴りを食らうミキティ。

彼女の体が大きくくの字に曲がり後方へ吹っ飛ぶ。






ザザザァァァァァーーーー






何とか足を付き二本の筋を描きながら慣性の法則に逆らう彼女。

腹筋を使い態勢を立て直そうとしたその時。







ガクン







足元に違和感を感じる。

急に踏ん張っていた感覚が無くなった。

下を見る彼女の目に飛び込んできたもの。

それは。







ミキティ(崖ッ!?)







鳳来山の恐ろしく高い崖が視界に入った。

そのまま空中に放り出されそうになるミキティ。

彼女は咄嗟に手に持っていた柄だけになってしまったライトセーバーを地面に突き刺して事なきを得る。

何とか柄一本で落下は免れたが体は崖の下へ向けて中を浮いている状態だ。

即座に崖の上に戻ろうしたが彼女が顔を上げたその場所にはすでに黒部が大鎌を担いで狙いを定めていた。






黒部「周りの地形も考えて戦わなきゃダメよ♪」






そう言うと大きく大鎌を振りかぶる黒部。

トドメの一撃が振りかざされる。






だがその時ミキティはただその一撃を待っているわけではなかった。

瞬時に黒部の背後に目配せをする。











ガァァァァァァァァァッ!!!!!!







その合図に応えるようにモグが黒部に背後から飛び掛かった。

黒部はこの合図に気づいていない。


そして次の瞬間。










バシュッ!!!!









黒部の大鎌が大きく弧を描いた。

そして辺りに血しぶきが弾け飛ぶ。

鎌の軌道をなぞる様に赤い円が空中に現れた。









黒部「読んでる」








返り血を浴びながら妖しく笑う黒部を飛び越える様にモグの胴体が崖の下に落ちていった。

そしてその首がミキティの目の前に転がる。








黒部「背後の心配事は先に片づけないとね」



ミキティ「・・・!?」






セーゴだけでなく愛犬までも首を落とされた彼女。

その絶望感はどのようなものだっただろうか。


しかしながら黒部にとってはそのようなことどうでもいい事。

何の躊躇も無く真っ赤に滴る血で彩られた大鎌を身動きの取れないミキティの首に付きつける。







黒部「アンタら全員同じ殺し方してあげるわ」







黒部は鎌の切っ先に力を入れ両手がふさがっているミキティのあごを自分の目線まで持ち上げながらそう呟いた。

無理やり視線を合わせられたミキティは震えながら黒部を睨み付ける。

彼女はその状態で僅かながら口を動かした。







ミキティ「………も…ね」





怒りと絶望に震えた彼女の声を黒部は聞き取れなかった。



しかしながらこの時、こんなにも自分を追いつめた相手を崖から突き落とそうとしている自分の優位性と声も出せないような状況まで追い込んだ自分の圧倒的な強さに高揚感を覚えていた。






黒部「ん?なんて言ったのかな?辞世の句ぐらいだったら聴いてやってもいいけど?」






後は足で思いっきりミキティが柄を掴んでいる手を踏むなり鎌に力を入れるなりで決着がつく黒部は余裕の表情で、残酷なほど美しい血化粧を纏った顔を彼女に近づけた。


その顔に向かってミキティが叫んだ。








ミキティ「お前も死ね!!」







その言葉と同時に彼女は唯一大地と繋がっていたライトセーバーの柄を思いっ切り引き抜いた。

ミキティの体が空中に放り出された。

彼女の下には遥か下にある地面しかない。






黒部(自殺!?……しかしあの眼はそんな感じでは)





状況が掴めない黒部。

勝手に飛び降りた相手はお前も死ねと言ったにも関わらず飛び降りている。

そして空中で宙返りをした死にぞこないの相手と視線が交わった。






ミキティが黒部に向けて左手をかざす。

次の瞬間。







ミキティ「フォースの力よ!!」







ガクッ








黒部「・・・・!?」







黒部の右足が謎の力に引っ張られその体がミキティに吸い寄せられる。

彼女の体が釣竿のルアーの様に跳ね上がった。







黒部「何、これは!?」



ミキティ「ジェダイを甘く見たな!!」






あれよあれよと言う間に黒部の体はミキティに磁石の様に吸い寄せられていった。

そして。






ミキティ「…捕まえた」







右の足首を掴まれた。

このままでは地面に落下して心中である。







黒部「クッ!!」







足を掴まれながら黒部は体をねじり大鎌を横に薙ぎ払った。

その切っ先が崖の側面に突き刺さる。






グンッ







抵抗を得た二人の体が崖に向かって叩きつけられた。

と同時に黒部は人間2人分の体重を左手一本で支えることとなる。







しかし大鎌を軽々と振るう黒部である。

このぐらいの重みは大したことは無い。

何とか落下を防いだ彼女は自分の右足に視線を落とす。

そこには復讐に燃え怨嗟に満ち満ちた女の姿が。








ミキティ「なあ、一緒に死んでくれよ、なあ、なあ!」







暗黒面に堕ちた真っ赤な目がこちらを睨んでいる。

黒部はその顔を掴まれていない左足で思いっ切り踏みつけると言い放った。







黒部「流石のジェダイ様も空だけは飛べないみたいだな。一人で勝手に死んでくれ」






どんどんと左足に力を込める。

この状況ならば重量の観点から言っても上にいる優位性は変わらない。

食い下がったもののミキティが黒部に勝てる要素は現時点では見つからない。

そんな中一緒に死んでやるほど黒部は甘い人間ではない。

いや、その対極と言ってもいい人間だ。






黒部「…何笑ってやがる」







ぐいぐいと押される顔面を歪めながらもミキティは笑っていた。

目の前の奴を。

最も憎むべき奴を。

そして死ぬなんて微塵も思ったことのない奴を。

殺せる状況にある自分の幸運に笑いが込み上げてきていたのである。









ピィ〜〜〜〜〜〜〜







突然ミキティが口笛を吹いた。

その音に一瞬の戸惑いをみせる黒部。



自分に踏み落とされようとしている相手が突然行った奇行。

彼女の脳内がフル回転する。

そう・・・、こいつが合図を送る相手なんてのは・・・





黒部の脳内でシナプスが繋がった。

足元に向けていた視線を必死で崖の上に返す。








ガァァァァァァ!!!!!!!!









黒部「モグめ!?首だけで動きよった!!!」








すでに目の前にまで迫ってきていた猛獣の牙。

その矛先は唯一の命綱となっている大鎌を握った左腕。






黒部(しまった・・・だがまだ間に合う)






突然の口笛という奇行に若干対応が遅れたことを悔やみながらも黒部は左腕に突進してくる猛獣の生首に向けて体をひねった。

そしてその前に右腕を差し出す。

そう、りえぶうにマシンガンを撃ち込まれ再起不能にさせられたあの右腕だ。







ブシャァァァァァァァ!!!!!!






モグが黒部の右腕を噛み千切った。

血しぶきとともに崖の下へ落ちていく。

黒部は咄嗟の判断で使い物にならなくなっていた右腕を犠牲にし命を繋ぐ左腕を守ったのだ。

この遅れて認識するだろう右腕を紛失した激痛と同時に彼女は勝利を得た。

最期の奇襲であるモグの攻撃をやり過ごした彼女の仕事は足の下の敵を奈落に突き落とすだけなのだ。







黒部(・・・・・勝った)







もはや心地よくすら感じるだろうその痛みを彼女は待った。

そしてその時は来た。








が。














ドスッ














聞き覚えのない1つの音とともに。

身に覚えのない部分から痛みを感じることとなる。










ミキティ「…私から視線を切ったな」










足の下から声が聞こえた。

そちらに振り返ろうとしたその時。


自分の胸から光る刃が付き出ているのに気付いた。








黒部「…ラ……ライト………セー…バー………?」







彼女の胸を使用不能にしたはずのライトセーバーが貫通していた。

胸から致死量の血液が噴き出す。







ミキティ「・・・残念、私のはダース・モール用なんだよねぇ」








ライトセーバーを背中から貫通させた彼女が誇らしげに口を開いた。

黒部に輪切りにされた柄と反対側の柄から真っ赤に輝く刃が光っている。

憎き相手から噴き出すシャワーのような返り血を心地よく浴びながら彼女は笑った。









黒部「・・・・クソ・・・・ここ・・・まで・・・きたのに・・・」








黒部は振るえる体で頭を下に向けるとミキティを今までで最も恨めしそうに睨み付けた。

全身から力が抜けていく。

彼女の左手が大鎌から離れるのに時間は掛からなかった。

そして彼女の手が離れると同時にミキティは崖の側面を蹴った。

空中に再び投げ出される。





ミキティは空中で体勢を立て直すと黒部に刺さったライトセーバーを引き抜き、彼女の正面に回った。

鬼の形相で黒部を睨み付ける。

そしてもう一度その胸を渾身の力で一突きにした。









黒部「・・・ガァ!・・・・ちくちょ・・う・・・」





ミキティ「我魂魄百万回生まれ変わっても・・・」








二人の体が何メートルも先の地面へ向かっていく。

ミキティの到達寸前に全身全霊の憎しみを込めた叫びが一帯にこだました。











ミキティ「恨み晴らすからなぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!!!」

















ドォォォォォォォォォォォォォンンンンンン!!!!!!!!!!!!












地面に激突すると同時に大爆発が起こった。

ミキティも黒部も跡形もなく消し飛んだ。

ライトセーバーの核兵器並みのエネルギーが暴発したのだ。

周囲の森や、決着の舞台となった崖も消し飛んだ。

爆音で新城市中に地鳴りが聞こえ、何キロも離れた場所で立ち上った爆発の火柱が見えた。

そしてそこあったものは全て粉々に吹き飛び大きなクレーターの様になってしまったのだった。

激闘を物語るものは何一つ残らない程の爆発。












しかしながらただ一つその場に残ったものがあった。









あの大鎌が消し飛んだ崖から外れ、不毛の大地に突き刺さっていた。


死闘を戦った二人の墓標のように。





脱落

黒部

ミキティ



【残り28名】


続く



過去作品
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=43225469&comm_id=683005

コメント(11)

べーくろさんが死ぬとは冷や汗

ミキティも刺し違えるとはやるなぁウッシッシ

あと誰が残ってるっけexclamation & question
>>Ragga!

なかなかチェックが早いな(笑

現在は多分こんな感じ。

適当だから抜けがあるかもしれん。


きっしょい 武器 手榴弾 → スタープラチナ+クレイジーダイヤモンド

千賀    武器 青龍刀 → 他の生物と融合(センタウロス化)

直樹    武器 M20対戦車ロケット発射器

ジュニア  武器 キン肉マン全巻

かわしゅん 武器 スタンガン

塩澤    武器 S&M社製 M500ES

ゆーしゃん 武器 光学迷彩スーツ

みかちゅー 武器 不明

出村    武器 けん玉 → ペーパーローリング → IMIネゲヴ(イスラエル製軽機関銃)・斬鉄剣・荷電粒子ハンドガン・M67破片手榴弾

くによし  武器 レイピア→全裸

きっこさん 武器 レッグガントレット

西山さん  武器 VFガスロケット

ヌーピー  武器 NBCR兵器以外の禁止もしくは反対運動中の武器詰め合わせ

他15人。

全28名


脱落者122名。

あー…ついに脱落かあ。モグまで犠牲にするとはヒドい〜(+_+)
>>ミキティ〜 アワレモグは骨になった
まだ出てきてない人が15人もいるのかうまい!

はるきさんのスタンドはどーなるのか楽しみウッシッシ
>>Ragga!
次回はきっしょい対みかちゅーの続きです。
> 三國志演義LOVEさん
ついに因縁集結といったとこでしょうかウッシッシ
なるべく早めの執筆お願いしますあっかんべー
>>Ragga!
富樫先生のペースを基とします
>>さぶろう
やっとここまで来た。
でも死んでもまだ何かフラグがあるかもよ?

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