ATTバトルロワイアルコミュのＡＴＴバトルロワイアル　第八十話【荒ぶるヌーピー】

一瞬の出来事だった。

大きな爆発が起こったと共に目の前でJOEが倒れて死んだ。

木の上からバズーカの様な武器で自分たちへ向けロケットのようなものをヌーピーが発射した。

同時に岩陰に全員が飛び込んだのだが、わずかにJOEが陰に入り損ねたのをくによしは見た。

しかしながら爆弾の着弾点からは少し距離があったしロケットランチャーでも致命傷にはならないとその時は思ったのだ。

倒れているJOEの体に大きな外傷はない。

だが彼は一瞬でその命を失った。

何故だ。

考えられる可能性を瞬時に頭の中で模索するくによし。

そんなすぐに相手の手の内が読めるような精神状態ではない。

それでも解決策を何かしら導かなければならない。

額から噴き出す汗が首筋を伝って下腹部へと流れて行った。

そう、彼は全裸だ。

全裸の体を岩陰に隠しながら彼はヌーピーの居る木の上に視線を向けた。

そこには楽しげに高笑いするヌーピーの姿がある。

くによし「・・・・！？」

ヌーピーの恰好がおかしいのに気付くくによし。

先ほどまで奴はチャラ男が着るようなやたらピッチリして訳のわからない英語が書かれた服を着ていたはずだ。

しかし彼の今の姿は何か別の物に覆われているように見える。

ヌーピー「「まぁ～ずはぁ～一匹ぃ～」」

ヌーピーの発した声が籠っている。

何かが奴の口を覆っている？

彼の声が発せられた口元に視線を送るくによし。

そして更にある事実に気付かされた。

くによし「・・・あれはガスマスク？防護服何かか・・・・いや・・・」

自分が爆弾を撃ってマスクをする状況の中で彼は一番最悪な状況を想定してみた。

最も厄介で最も勝ち目がない状況に追い詰められるにはあのマスク付きの服が何だったら正解なんだろうか。

彼の頭の中は正確に最悪な答えを導き出していた。

くによし「・・・・・放射能除けスーツ」

となるとさっきJOEが避けきれなかったあの爆弾は・・・・。

シナプスが繋がったと同時にくによしは残りの三人に対して叫んだ。

くによし「逃げろ！！岩陰なんかじゃダメだ！！このままじゃ死ぬぞッ！！」

くによしの声に反応し四方へ散るきっこさん、西山さん、ゆーしゃん。

蜘蛛の子を散らすようにその場から離れる四人。

離れ際にくによしがもう一度声を上げた。

くによし「こいつは劣化ウラン弾だ!!JOEは被爆して死んでる!!真面にやって勝てる相手じゃない!!」

必死に声を上げたくによしに対してヌーピーは嬉しそうに口角を持ち上げ肩に担いだ発射口を彼の方向へ向ける。

ヌーピー「正解ぃ～やっぱくによしは最初に殺らなきゃなぁ～ス～パ～厄介ぃ～」

ヌーピーの無慈悲な追跡が行われる。

彼は二発目を躊躇無くくによしに向けて発射した。

くによし「・・・・！？」

くによしの背中に向けて劣化ウラン弾を積んだロケット砲が飛んでいく。

着弾まで2秒は掛からないだろう。

着弾しなくてもその時点で近くにいた者は生存が難しくなるのがこの兵器の最大の特徴だ。

だめだ！これはやられた！

逃げ場が完全に遮断されたのを悟ったくによしはぎゅっと両目を瞑った。

この世にいられるのもあと一秒弱か！

全てを諦めたと感じた時、背中に自動車にでも追突されたかの様な激痛が走った。

次の瞬間。

JOEを亡き者にした時と同じ爆発音が響き渡った。

何故かかなり遠くから。

くによし「・・・・ｵｳﾌ」

20メートル近く吹き飛ばされた。

大きな木の幹に叩きつけられ頭が地面についており足が空を向いていた、何にも覆われていない股間が露わになっている。

くによし「・・・・・もう少し優しい助け方はねぇのかよ・・・・」

逆さまになりながら自分がすっ飛んできた先を見つめる。

彼の背中にはくっきりと足型が付いている。

ヌーピー「やっぱぁこの夫婦マジだりぃ～ぜ～、きくちゃぁ～ん！」

彼らの視線の先にはくによしに飛び蹴りを入れた後、逆の足で劣化ウラン弾の軌道を受け流し腕を組んだまま片足を高々と上げているきっこさんの姿があった。

きっこさん「こいつが居なくなると食い扶持がなくなるのよね」

ヌーピー「ツンデレ乙ぅ～」

続く

脱落　JOE

残り【３０名】

過去作品
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