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東日本大震災記録コミュの652、ソーラー、風力、バイオの問題点と解決策クリーンエネルギーで世界の覇権を取れ!〜

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 前回はクリーンエネルギー全般の特徴を述べたうえで、マクロ的な視点からその普及の課題について論じましたが、今回はクリーンエネルギーの代表選手である、ソーラー・風力・バイオ燃料について、それぞれの課題と可能性について整理します。まずは、ソーラー発電からです。

ソーラー発電

 ソーラー発電には、太陽の光を直接電気に変換させる太陽光発電と、太陽の光をいったん熱に変換し蒸気タービンで電気を作る太陽熱発電の大きな2つの技術があります。

 太陽光発電は、一般の家庭・オフィスビルなどの屋根の上に載せるルーフトップ型と言われるタイプに加えて、最近は、メガソーラー発電所と呼ばれる1MW以上規模のソーラープロジェクトも開発されています。

 一般家庭用の太陽光発電のサイズが3kW程度ですので、1MWとなると一般家庭300軒分以上の規模になります。

 世界の太陽光発電の導入状況を見てみますと、2009年時点で、世界で約2万3000MWの太陽光発電が稼働しています。


 特徴的なのは2005年以降、特に2007年よりヨーロッパを中心に導入が大幅に伸びています。ドイツやスペインを中心に、太陽光発電からの電気を一定期間固定価格で買い取る制度であるフィード・イン・タリフが導入され、太陽光発電の普及に弾みがつきました。

 前稿の図14で示した通り、太陽光発電のコストはほかの発電方式コストよりかなり割高です。

 ただし過去の実績から、製造能力を2倍に拡張すれば太陽電池セルのコストは20%削減されるという、太陽電池版ムーアの法則の適応が可能と言われています*9。

 今後、太陽光の電気への変換効率の向上などのさらなる技術の改良と製造キャパシティの拡大によって、大幅に太陽光発電コストが下落することが期待されます。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4431

 加えて、政策支援も大きな役割を果たします。このクリーンエネルギーと政府支援は1つの大きなテーマですので後章で詳細に述べますが、現状の米国連邦政府のソーラー補助政策の1つは Investment Tax Credit(ITC)と呼ばれる減税措置です。

米国の一部の州では2015年にソーラー発電のコストが電力料金を下回る

 具体的には、2016年までに稼働する条件でソーラー発電設置コストの30%分を減税するというかたちで、ソーラー発電の普及支援を行っています。

 製造コストの削減と政策支援によってソーラー発電コストが電力料金と同じレベルになる、いわゆるグリッドパリティ(Grid Parity)がいつ実現するかについては、日照時間や電気料金が地域や国によって異なるため一概には言えませんが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)によりますと、米国の日照時間の長い州では2015年頃には太陽光発電のグリッドパリティが実現すると予測しています*10。

 そうなりますと、ソーラー発電の利用が一気に拡大する可能性があります。

 米国エネルギー省(Department of Energy)の下部組織であるEIA(U.S. Energy Information Administration)は、毎年恒例の米国の長期エネルギー予測である Annual Energy Outlook(AEO)の2010年版を今年5月に発行しました。

太陽電池版ムーアの法則で製造コストが大幅に下がる

 AEO 2010によりますと、2008年時点で1380MWの米国ソーラー発電キャパシティ(太陽光・太陽熱を含む)は、標準ケースとして、2020年に1万1000MWに、2030年に1万2600MWに、2035年には1万4000MWに伸びると予測しています。年率9%の成長率です。

 ただし、このEIAの予測は非常に保守的であるとみる市場関係者もいます。

 世界各地に生産拠点を持つ太陽光製造・事業開発会社の戦略部門責任者である筆者の米国人の知人は、2020年までに太陽電池版ムーアの法則によって製造コストが現状レベルより50%下がり、連邦政府の減税政策が継続されれば米国の多くの地域でソーラー発電のグリッドパリティが実現し、米国の太陽光発電規模は10万MWに達すると読んでいます。

 どちらの予測がより現実的かは別にして、コストが最大のボトルネックとなっているソーラー発電にとって、製造コストの大幅な削減と政策支援が普及のペースを左右することは間違いありません。

風力発電

 風力発電は、ブレードと呼ばれる回転羽根で風をつかまえ、風力で発電機を回して電気を作ります。先ほど、図14で風力発電の発電コストを見ていただきましたが、クリーンエネルギーの中ではコスト競争力が高く、そのことは普及状況にも表れています。


 2009年時点で、世界で設置されている風力発電のキャパシティは16万84MWに達します。太陽光発電の7倍の普及規模です。地域的に見ますと、当初より風力発電の設置に積極的であったヨーロッパが、世界風力市場の約半分を占めています。

 風力発電の普及には、設備の大型化によるコストダウンが寄与したと言われています。

 1980年の標準的な風力発電機のブレードの直径は15メートルで、発電機の定格出力が50kWであったのが、20年後の2005年にはブレード直径は126メートルになり、発電機の定格出力を5000kWにまで大型化することに成功しました*11。実に100倍のスケールアップです。

 米国の2008年時点での風力発電規模は約2万5000MW。先ほど紹介しましたAEO2010によりますと、米国の風力発電キャパシティは年率4%のペースで成長し、2020年には6万6000MW、2030年には6万8000MW、2035年には7万1000MWに達すると予測しています。

風力発電の最大の問題は送電線

 ちなみに、2009年は政府の経済救済法案による補助金の効果もあり(後章で詳細に紹介します)、約1万MWの新規風力発電が稼働した事実から、EIAの風力発電の成長予測は十分達成可能であるとの見方が一般的です。しかし、風力発電の普及にもリスクがあります。

 大きな風力発電タワーを設置することによって景観が損なわれるといった問題や、ブレードが風を切り、発電機の回転やタワーの振動によって発生する低周波騒音が人体に与える影響が懸念されています。しかし最大の課題は、電力価格と送電線の問題です。

 米国の電力市場は電力系統を地域に分け、それぞれの地域毎に Independent System Operator(ISO)と呼ばれる独立組織が電力系統システムおよび卸売電力市場を管理・運営しています。

 テキサス州エリアのISOである Electricity Reliability Council of Texas(ERCOT)が管理する西テキサス地域は、米国有数の風力発電開発エリアとなっています。

 その西テキサス地域では、2008年の上半期の20%の取引期間中にスポット電力価格がマイナス価格を記録しました*12。つまり風力発電事業者は、ERCOTにお金をもらう代わりに、お金を払って電力を販売したのです。

 マイナス電力価格が発生する原因は、需要と供給のアンバランスです。西テキサスは主に夜間に風が吹き風力発電が稼働しますが、電力の主な需要は人々が活動する昼間に発生します。

需要地から遠いところに設置される風力発電設備

 要は、夜間に風力を中心に需要レベルを超えて発電してしまうことによって余剰電力が生まれ、その結果、卸売電力価格をマイナスレベルにまで押し下げたのです。

 実は風力発電は、PTC(Production Tax Credit)と呼ばれる発電量に従って減税される連邦政府の補助や、Renewable Energy Credit(REC)と呼ばれるクレジットを享受でき、マイナス価格がそのまま風力発電事業者のロスになるという単純な話ではないのですが、当然、マイナス売電価格は風力プロジェクトの経済性に大きな影響を及ぼします。

 また、この電力価格問題は送電線と大きく関連しています。西テキサスもそうですが、多くの風力発電設備は、電力需要地から遠く離れた遠隔地に建設されています。

 需給の関係から、必然的に電力需要の小さい遠隔地エリアの電力価格は低く抑えられ、風力電力を高い価格で販売することができません。

 ただし、送電線を建設して風力発電を大都市などの需要地につなぐことができれば、より高い価格で風力電力を販売することができますし、先ほど例にあった余剰電力も、電力が足りない他の地域まで送電して販売することによってマイナス価格を回避することも可能になります。

注目を浴び始めた洋上風力発電

 ERCOTも1万8500MW相当の風力発電に対応すべく新規送電線網の建設計画を掲げていますが、その実現は簡単ではありません。

 送電線の建設は、その距離が長くなるため地権者も多く存在し、建設用地確保がより難しくなり、発電所建設より困難であると言われています。また、建設コストも莫大なものになります。

 風力発電の普及は、送電線の建設と切り離しては考えられないのです。

 風力発電の景観や人体への影響、送電線建設の地権問題を解決する1つの手段として最近注目を浴びているのが、洋上風力発電です。海上に風力発電タワーを設置するのです。

 特に、島国である英国は洋上風力開発に力を入れており、2020年までに6400基、総キャパシティ3万2000MWの洋上風力発電を設置し、英国の電力供給の4分の1を賄うという非常に積極的な目標を掲げています。

 英国では1970年代に北海での石油・天然ガスの開発・生産が活発化し、英国のエネルギー供給システムに革新的な変化をもたらしましたが、40年後、同じ北海で未来の英国のエネルギー供給システムを新たに変革する試みがなされています。

バイオ燃料

 現在普及しているバイオ燃料には、大きくバイオエタノールとバイオディーゼルの2種類があります。

EIA(U.S. Energy Information Administration)によると、2008年の世界のバイオ燃料の日量生産量は、バイオエタノールが約120万バレル、バイオディーゼルが約29万バレルと、エタノールがディーゼルを大きく引き離し主要バイオ燃料になっているので、ここではバイオエタノールの生産状況を確認します(図17)。


 2009年の世界バイオエタノール生産量は、約3800万トン(石油換算)でした。地域的に見ると北米と中南米が最大の生産エリアです。

 実質的には、それぞれのほとんどの生産量は米国とブラジルで占められており、この2カ国が世界のバイオエタノールの生産をほぼ独占しています。

 現在、商業的に生産されているバイオ燃料のほとんどは、第1世代バイオ燃料と呼ばれています。第1世代のバイオエタノールはサトウキビやトウモロコシなどを、第1世代バイオディーゼルは菜種油やパーム油などを、それぞれ原料としています。

 この第1世代バイオ燃料の問題は、原料が食用作物であることです。

バイオ燃料最大の課題は食料問題との競合

 従って、図17が示すように2005年以降のバイオ燃料の生産量の急増に伴い、食糧と燃料の競合問題が顕在化し、世界各地で食用作物・食品価格の高騰を招きました。

 世界銀行のリポートによりますと、2005年の1月から2008年の6月までの間に、トウモロコシ価格はほぼ3倍に、小麦価格は127%アップし、バイオ燃料の普及が主因となって食料品価格が70〜75%上昇したと結論づけています*13。

 この食糧と燃料の問題を解決するのが、第2世代バイオ燃料です。第2世代バイオ燃料は、食糧とバッティングしない麦藁、スイッチグラスや木材の切りくずなど、いわゆるセルロース系のバイオマスを原料とします。

 様々な研究機関や企業が、第2世代のバイオマスおよび燃料変換技術を開発・実証していますが、いまだに大型施設の商業化には至っていません。

 また、最近注目を集めて開発されているのが、藻類を原料としたバイオ燃料です。藻類は発育サイクルが他の植物に比べて早く生産性が高いことから、敷地面積当たりの燃料生産量が大幅にアップすることが期待されています。

代替ガソリンの本命、バイオブタノール


 米エクソンモービルは、藻類から年間1エーカー(4047平方メートル)当たり2000ガロン(1ガロンは約3.8リットル)以上のバイオ燃料の生産が可能としており、他のバイオマスに比べて、その生産性・収穫率の高さが際立っています。

 また、藻類を含むセルロース系バイオマスからバイオブタノールを作る技術も開発されています。

 バイオブタノールはエネルギー密度が85%あり、バイオエタノールより約30%高く、より高い燃焼効率を得られると同時に、既存のパイプラインなどの供給設備をそのまま使えるといった利点があります*14。

 これらの特性から、バイオブタノールは将来のガソリン代替の本命との見方もあります。

 米国では、これら第2世代を含むバイオ燃料促進のため、2007年に米国議会によって2022年までに360億ガロンのバイオ燃料導入という目標が策定されました。

あと10年でバイオ燃料を3倍に増やせるのか

 この目標を達成する具体的ルールを定めたのが Environmental Protection Agency(EPA)の Renewable Fuel Standard(RFS 2)プログラムです。

 RFS 2プログラムは、リファイナリーなど燃料供給者に一定量のバイオ燃料供給を各年ベースで義務づけており、2022年までに360億ガロンのバイオ燃料のうちセルロース系バイオ燃料の供給量を160億ガロンにするとしています。

 2010年2月、バラク・オバマ大統領がRFS 2プログラムを発表した際に強調したのは、この目標を達成することによって、1億3800万トンのCO2削減効果に加え、グリーンジョブの創造と3億2800万バレルの石油消費削減による海外原油依存(約60%の原油輸入、うち中東原油は約20%)の抑制効果でした。

 しかし、現在年間120億ガロンしかバイオ燃料を製造しておらず、しかも、その大半がコーン系バイオエタノールなのが現状です。

セルロース系バイオ燃料シェア45%は可能か?

 この点を考えると、あと10年強という短期間で全体生産量を3倍に拡大し、現在ほとんど生産されていないセルロース系バイオ燃料を一気に160億ガロンに増やすRFS 2の目標は、必要とされる量のバイオマスの調達や変換技術の成熟度の観点から、非現実的とする市場関係者が大勢を占めています。

 現在、この第2世代バイオ燃料の開発・生産に当たっては、様々な種類のバイオマス原料と種々異なった燃料変換プロセス技術の組み合わせが試みられています。

 エクソンモービル・BP・シェルをはじめとしたオイルメジャーからベンチャー企業まで、ひしめき合って競争しています。このバイオ燃料ビジネスの魅力の1つは、その市場規模の大きさです。

 バイオ燃料が主なターゲットとするガソリン・ディーゼルなどの輸送用燃料市場は、年間35億3200万トンある世界の石油需要の60%以上を占めているのです(図19)。


 市場規模の大きさは、裏を返せば、バイオ燃料の普及に重要なのは、コストもさることながら、ある程度のスケールでの生産を可能にするバイオマスおよび燃料変換技術を含むバイオ燃料技術の開発なのです。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4431?page=7

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