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東日本大震災記録コミュの546.元シャープ「ミスター・ソーラー」が第2の挑戦 面積効率が2倍「集光型太陽光発電システム」

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2011年6月、スマートソーラーインターナショナルが、単位面積当たりの発電量が既存の結晶シリコン太陽光発電システムに比べて約2倍となる新型の太陽光発電システムの生産、販売を本格的に開始する。

 同社は、長年にわたり、シャープでソーラーシステム事業本部長を務めた富田孝司氏が、2009年8月に設立したベンチャー企業だ。海外展開も積極的に進めていく方針で、2014年には年間100億円、2015年には200億円の売り上げを目指す。

 「原子力発電の代替エネルギーとして、ここで一気に、太陽光発電システムの普及を加速させたい。これは私の責務でもある」。

 こう語るのは、太陽光発電業界で「ミスター・ソーラー」との異名を持つ男、富田孝司氏だ。

 長年、シャープでソーラーシステム事業本部長を務め、同社の太陽光発電システムの売上高世界一を7年間にわたって維持した実績を持つ。

 彼は、2009年8月、東京大学エッジキャピタルからの出資援助を受け、スマートソーラーインターナショナルというベンチャー企業を設立。現在、代表取締役として、高変換効率で低コスト、大規模展開が可能な、新型の太陽光発電システムの開発に全精力を注いでいる。

 2011年1月には、宮城県大崎市にある中堅化学メーカー、ラサ工業の三本木工場内に、同太陽光発電システムの生産拠点を開設した。そして、この6月、いよいよ本格的に生産と販売に乗り出す。海外展開も積極的に進めていく方針で、2014年には年間100億円、2015年には200億円の売り上げを目指している。

太陽電池にも資源外交リスク

 「当初、本格的な生産、販売は10月からの予定だったが、福島原発事故の関係もあり、前倒しで推進することにした。また、偶然にも東日本大震災のあった3月11日に、経済産業省から電気事業者による再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入が発表された。これを追い風に、本システムの普及に尽力していく」。富田氏はこう語る。

 現在、富田氏は、東京大学先端科学技術研究センター超高効率太陽電池分野の特任教授も務めており、今回、富田氏が生産、販売を開始する新型の太陽光発電システムは、先端科学技術研究センターとの共同研究によるものだ。最大の特徴は、単位面積当たりの発電量が、既存の結晶シリコン太陽光発電システムに比べて約2倍と多く、世界最高水準である。

 日本国内の発電能力は、2009年の段階で、281ギガワット(ギガは10の9乗)となっている。しかし、2020年には、301ギガワットの発電能力が必要になると予想されている。このままいけば、2020年には、20ギガワット分が不足する計算だ。東日本大震災に伴う電力不足が懸念される中、この状況は今後さらに深刻化していく可能性がある。

 「仮に、発電能力の不足分を、すべて既存の結晶シリコン太陽光発電システムでまかなうとすると、160ギガ〜180ギガワットの発電能力が必要となる。一方、現在、国内の太陽電池メーカーの全生産能力はたった2ギガワットしかない。これを10年後に、80倍や90倍にするのは、現実的ではない」。富田氏はこう説明する。

 また、仮に、既存の結晶シリコン太陽光発電システムの国内における生産能力が、今の100倍になったとしても、今度は別の問題が浮上する。太陽電池パネルの材料となる高純度シリコンや透明電極の材料となるインジウムなどのレアメタルに関する資源外交リスクだ。

2011年5月25日(水)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110523/220069/?rt=nocnt

 現在、太陽電池パネルに使われている高純度シリコンの調達は、珪石の発掘から精製までほぼ100%海外に依存している。そして、その9割以上を中国に頼っているのが現状だ。今後、世界的な需要が拡大すれば、中国からの輸出制限や価格高騰といったリスクは、一層高まることになるだろう。

 「このような状況を回避するには、エネルギー変換効率の向上と発電量の増大が不可欠で、そのための革新技術を是が非でも開発しなければならないと考えた」と富田氏はいう。

太陽の動きに合わせて反射鏡を動かす

 そこで、富田氏は、先端科学技術研究センターと共同で、変換効率の向上と発電量の増大を目標に、新型の太陽光発電システムの研究開発に取り組むことにした。そして、今回、実用化させたのが、「追尾集光型太陽光発電システム」である。

 同システムの技術的なポイントは3つだ。追尾集光技術、冷却技術、そして、セルの多層化技術である。セルとは、数センチ角の太陽電池の板のことで、これを数十枚並べたものをモジュールと呼ぶ。

 追尾集光技術とは、その名の通り、太陽光を追尾し集光する技術のことだ。

 現在、住宅などの屋根に設置されている固定式の太陽電池パネルの場合、太陽の位置によって光の入射量が大きく変動する。そのため、特に、光の入射量の少ない朝と夕方は発電量が大幅に減少してしまうのだ。

 そこで、富田氏は、太陽の動きに合わせて反射鏡を動かして、太陽電池パネルに常に多くの太陽光が当たるようにした。また、反射鏡を使うので、モジュールは必ずしもパネル状である必要がない。そこで集光効率が高い棒状にした。

 その結果、従来の固定式の結晶シリコン太陽電池パネルに比べて、5〜10倍の太陽光を当てられるようになり、発電量も約25%向上した。しかも、シリコンなど材料の使用量を4分の1〜10分の1に抑えることができた。これにより、製造コストや資源リスクの低減が可能となった。

 また、追尾集光システムに関しては2種類開発した。パラボリック集光型とフレネル集光型だ。

 パラボリック集光型の場合、大型の設備を作ろうとすると風圧に耐える機構が必要となる。そのため、設備が大掛かりになり、その分、設置費用もかさむ。一方、フレネル集光型は構造が複雑になるが、反射鏡と反射鏡の間を風が通るので、強風が吹くビルの屋上などにも設置しやすい。

 さて、太陽光の入射量が10倍になれば、発電量も10倍になりそうなものだが、そう単純にはいかない。なぜなら、結晶シリコンは熱に弱く、太陽熱によるセルの温度上昇に伴い、エネルギー変換効率は、約40度をピークに、急速に低下してしまうからだ。

 そこで、富田氏が新たに開発したのが、2つ目のポイントである冷却技術だ。

 仕組みは簡単だ。まず、チューブ状の容器に棒状の太陽電池モジュールと冷媒を入れて、両端を閉じる。太陽熱によって太陽電池モジュールの温度が上昇すると、チューブ内の冷媒が太陽電池モジュールから熱を奪って気化する。その気化熱によって、太陽電池モジュールが冷やされるのだ。

 一方、気化した冷媒は、別の場所に移るようになっている。そこで冷媒は熱を放出して液体に戻る。その結果、冷媒の体積が減り、空気圧が下がる。これがポンプの役割を果たし、冷媒が自動的に循環する。これにより太陽電池モジュールの過熱を防ぎ、エネルギー変換効率の低下を防ぐことに成功した。

3種類の波長帯を1枚で変換する

 さらに、エネルギー変換効率を高めるため、富田氏は、先端科学技術研究センターと共同で、3つ目のポイントとなるセルの多層化技術を開発した。

 現在、一般的な結晶シリコン太陽電池のエネルギー変換効率は15%程度しかなく、変換効率の向上が重要課題となっている。その主な要因は、シリコンだけでは太陽光の広い波長域にわたって存在している光エネルギーのうちのごく一部しか使うことができないことにある。

 そこで、富田氏らは、短い波長、中くらいの波長、長い波長を吸収する半導体でできたそれぞれのセルを組み合わせて多層化できるようにした。その結果、幅広い波長域の光を電気に変換できるようになり、エネルギー変換効率を、約20%にまで高めることに成功した。

 実は、これまでも多くの研究者が多層化に取り組んできた。しかし、半導体結晶は元素の種類によって原子間の距離が異なるため、積層するのが難しく、量産化が進んでいない。

 「それに対し、我々は、従来とは全く異なる方法で積層した。この技術を使えば、色々な種類のセルを自由に組み合わせて多層化し、さまざまな光の波長域から電気を取り出すことができる。セルの組み合わせによっては50〜60%の変換効率を実現することも可能だ」と富田氏は説明する。

「サンベルト」中心に売り込み

 これら3つの技術を導入することで、富田氏は、既存の結晶シリコン太陽光発電システム全体に比べ、単位面積当たり約2倍の発電量と低コスト化を果たしたのだ。

 富田氏は、当面、同システムを、シャープ時代に自らが開拓し育てた一般住宅市場ではなく、チェーン展開するコンビニエンスストアなどの小売販売店や飲食店、企業の工場や倉庫、大学などの教育研究機関に販売していく予定だ。

 「このシステムは大規模展開に適した仕様になっている。発電量の多さを武器に、東日本大震災に伴う電力不足分をできる限り補っていきたい」と富田氏は意気込む。

 また、2014年には、本格的な海外展開を図っていく計画だ。高温に強い同システムの強みを生かし、インドやバングラディッシュ、サウジアラビアなど、日射量が多い「サンベルト」と呼ばれる地域を中心に売り込み、自らで発電事業を手がけることも計画している。「2018年に世界最大の太陽光発電事業者になること」。これが富田氏の目標である。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110523/220069/?P=3

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