ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

東日本大震災記録コミュの476.マイナスからの奮起が復興につながる

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
特別対談 サントリー佐治会長兼社長 × 伊集院静(上)

佐治 今回の大震災では、非常にたくさんの方が被害に遭われました。仙台にお住まいの伊集院先生も親族の方などが被害に遭われたそうですね。

 被災者の方に向けて「頑張れ」と励ます声をよく聞きます。ただ、今、被害の状況があまりに甚大なので、あんまり頑張れと言われても、ものすごくしんどい時とか、悲しいときにはなかなか頑張れないんじゃないですかね。

支援は「偽善」でもいい。汗が偽善を消す

伊集院 被災者の方の悲しみは全部色が違いますから。どういう声をかけるべきかはなかなか難しい。

 私は、被災地への支援は、最初は「偽善」でもいいと思っています。偽善でもいいから、ボランティアで被災地に行って瓦礫を運んでいるうちに汗をかくでしょう。その汗が偽善を消すんです。今はそれでもいいんだと思います。

 日本人は秩序を乱さないと海外のメディアは褒めますが、逆に「君たちがおかしいんだ」というのが私の考え。そんなことで褒められるよりも、我々が見て欲しいのは日本が復興するときの団結力、そこですよね。

 佐治 そういう段階になれば、初めて「頑張れ」でしょうね。(前妻の夏目雅子さんを亡くしたばかりの頃の)伊集院先生をモデルにした『いねむり先生』を読みました。その中では色川(武大)先生も、伊集院先生の悲しみや苦しみを見て、頑張れとは言わなかった。

 被災者の方に、頑張れというのは、今はあんまり適した言葉ではないかもしれません。もっと泣きなさいとか、もっと寄り添いなさいとか、もっとこっちにおいでとか、そういう言葉が必要なんだと思います。

伊集院 震災の影響で自粛ムードも広がっていますが、僕は「自粛で花見をやめるという馬鹿なことはするんじゃない」と常々言っています。花見とか紅葉狩りというのは日本の昔からの伝統。「ああ、今年も無事に花見を迎えられた」と。そのときに必ず献杯をしているんですよ。まず献杯をして、ここまでよく生きられたと。去年はあいつと桜を見たけど、今年はあいつの分まで飲もう、という儀式なんです。

 ドンチャン騒ぎは論外ですが、亡くなられた方の魂が安らぎますようにという思いを込めて、一杯やればいいんですよ。それがお酒の持っている幅。それを今、誤解している人が自粛と言っているのかもしれない。酒は故人を思い出して飲んだり、鎮魂をしたりするもの。そういう役割を包含していなかったら、酒はこんなに長く続かないですよ。

佐治 花見だけでなく、祭りにも鎮魂の意味があるでしょう。お祭りというのは祈りですからね。個人的には、自粛しないで、お祭りこそやるべきだと思うんですけどね。

伊集院 自粛をこのまま続けて、肝心の復興の源となる経済、景気が崩れてしまったら、日本はつぶれてしまう。被災をしてない人は、今はとにかく金を使うことです。普通より少し飲むとか、遊ぶとか、楽しむとか。元気な人は消費することが、ひいては日本復興の助けになるんですから。

佐治 元気でいることに感謝して、そしてその感謝の気持ちと祈りの気持ちの中で復興のためにいろいろなことをやっていく。それは決して後ろ向きではなく、むしろ前向きなはずです。

2011年5月2日(月
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110426/219647/?rank_n

スランプ脱出は時間がかかるもの

伊集院 佐治社長はかなりの読書家ですよね。

佐治 乱読ですが、常に読書はしています。経済小説もあれば、推理小説も、伊集院先生の小説も、必ず寝る前に何か読みますね。

 それから電車の中には必ず本を持っていきます。新幹線だと往復5時間ぐらいで1冊ぐらい読めますからね。必ず新入社員の入社式で本を読めと言いますよ。書に親しめと。

伊集院 社員に山口瞳氏、開高健氏がいたように、サントリーには昔から文学を応援する伝統があります。日本の中では文学と非常にかかわりが深い会社ですよね。

 社長には、私の初期の作品からお読みいただいています。その頃の作品というのは、非常に悲しい運命を持った主人公が多いんですよ。佐治さんにはそういう時はなかったんじゃないかと思っていたら、苦節とか、苦しいときのことをものすごく理解してくださっていて。

 佐治 私に限らず、若い頃は誰にでもいろいろあったと思いますよ。私にもスランプの時期はあって、不良少年みたいでした、当時はね。何となく反抗してみたり。ただそれは誰でもあることなので、それはそれでいいんじゃないかと思いますけどね。

 親が自由に育ててくれたというところはありました。あんまりああやれ、こうやれというようなタイプでもなかったですしね。父自身が理系の出身で、そもそも経営者になろうと思っていませんでしたから。内心は後継者になってほしいと思っていたのかもしれませんが、跡を継げと言われたことはなかった。あかんやつはあかんのだ、社長にはなれんよ、という感じで。教育して子供を偉くするとかいうような熱心な親じゃなかったわけですよ(笑)。

伊集院 佐治さんはゴルフの時とかに、ちょっと元気がない仲間がいると、最初に声を掛けられる。人の痛みを知らないとそういうところには、目が向かないですよね。別に教えられることじゃなくて、自分で身をもって覚えることですから。

佐治 『いねむり先生』を読んで、びっくりしましたね。伊集院先生が、これほど激しくもだえ苦しんでいたということは知りませんでした。

 当時、奥様がお亡くなりになられて、悲しみの中で色川先生に会った。そして先生の中に優しさや人間性を感じて、一緒に旅打ちに出て、ますますのめり込んでいく。それをまたその先生が受け入れてくれた。その先生自身が同じような苦しみを味わっているということでさらに共感があって。

 そして、伊集院さんが作家として大成されていくのでしょうけど、こういう方に出会えたということが大切なのですよ。人との縁には運、不運があるんでしょうね。

 伊集院 人と出会うことが一番大事なんですよね。佐治さんとはよくお会いしていますが、一方で、いい読者でもあります。だから、佐治さんにどう読まれるかと思うと、次に書くものはきちんとしなきゃいけないなと緊張する面もあります。

佐治 伊集院さんはかなりの時間をかけてスランプから脱して、それから作家になられた。スランプになっても、そうあんまり気にしないで、脱出には時間がかかるものだと思ったほうがいい。

 そのうちに「よし、スランプから脱してやろう」という思いが芽生えてから乗り越えるのであって、「もうスランプだ、ダメだな、ダメだな」と思っていると、どんどん泥沼に入っていく。ついには泥沼の中で足が抜けなくなってしまう。

伊集院 その点、サントリーはここのところ割と朗報が多いですよね。ウイスキーがえらく売れ始めて。

佐治 ウイスキーは四半世紀ずっと売れなくてね。昔はものすごく売れたわけですよ。それが25年間下がり続けて、「サントリーオールド」は、今は当時の5%ぐらいしか売れてない。それをまた復活させようというね。だから長い間、スランプでしたな。

伊集院 誰かがハイボールをジョッキで飲ませようと言ったんですよね。ジョッキで飲むと、量が行く。やっぱり勢いが出るんですよね。ビールとウイスキーの間ぐらいの感覚で飲ませたというのは、やっぱり社員の工夫だと思うんですよ。

佐治 スランプになってもいつかやってやろうと、いつかよみがえってやろうという思い。それは人間も一緒じゃないですか。スランプになっても、そこから上がってやろうという気持ちがなかったら、そのまま沈んでしまう。だから野球の選手もスランプになったら倍練習する。底からはい上がっていくわけだから、なかなか簡単に脱出できるものではないですよ。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110426/219647/?P=2&ST=spc_henkaku

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

東日本大震災記録 更新情報

東日本大震災記録のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。