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東日本大震災記録コミュの378.放射線量の単位は正確に、うっかりが大事故招く四則演算を駆使して、分かりやすい量に換算しよう

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A: 「東京電力は、流出を止めるための対策を行う一方、汚染水が流れ込んでいる2号機の取水口付近の海水を採取して放射性物質の種類や濃度などを詳しく調べていました」

 「その結果、4月2日午前11時50分に採取された水から、ヨウ素131が1cc当たり30万ベクレルと、国の基準の750万倍という極めて高い濃度で検出されました」

 B: 「東京電力は4日、東日本大震災で被災した福島第一原発の施設内にある、低レベルの放射性汚染水計1万1500トンを海へ放出すると発表した」

 「東電によると放出される汚染水の放射能は法令基準の約500倍(最大値)に当たる。全体の放射能は約1700億ベクレルで、2号機の汚染水約10リットル分に相当する。東電は環境への影響について『2号機の高レベル汚染水が流れ続けるよりは軽微』としている」

 いまAとB、実際に報道された2つの記事を引用してみました。この2つに記されている放射性物質、どちらがどれくらい危険か、瞬間的に判断がつく人が居られるでしょうか?

 私は少なくとも、最低限の確認をしないと、何も言うことができません。すべて小学生の算数で確かめられる計算ですが、ちょっと手間がかかります。でも、人の命に関わる大切な問題ですから、面倒がらずやってみましょう。

 この2つは単位が揃っていません。Aの汚染水は1cc当たり30万ベクレルとあります。1ccというのは1辺が1センチメートルの直方体の容積で、スプーン1杯にもならない量です。これを1リットル当たりに直すとすると1000倍して次のようになります。

 30万ベクレル/1cc ×1000 cc/リットル = 3億ベクレル/リットル(溶液Aのヨウ素131)

 他方Bの溶液は1万1500トンで「合計1700億ベクレル」とあり、溶液の重さが記されています。仮に液の比重が水と同じ1キログラム/リットルであると考えて(実際にはもう少し重いと思いますが)溶液Aと同じベクレル/リットル単位に直してみると、次のようになります。

 1700億ベクレル ÷ (1万1500トン×1000(トン/キログラム)×1(キログラム/リットル)= 約1万4800ベクレル/リットル(溶液Bの色々な放射能の合計値)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5816

 溶液Bはそもそも、複数の放射性物質の合計値が書かれているので、ヨウ素131を計った溶液Aとは単純に比べられません。それでも桁を揃えてみれば、次のようになります。

A: 3億ベクレル/リットル
B: 1万4800ベクレル/リットル

 全然違う値になっていることが分かります。お父さんの財布に1万4800円入っていても驚きませんが、3億円あったらびっくりです。

 放射線というと特別なことのように思いがちですが、毎朝昇る太陽の光も、宇宙から飛んでくる放射線の一種で、植物は太陽光のエネルギーで光合成して大地の恵みを作り出します。

 紫外線に当たると陽に焼けますね。地球の奥底からも、私たち人類が生まれるはるか以前から、豊富に存在するラドンという物質から「地殻ガンマ線」という極く弱い放射線が出ています。

 こうした天然の放射線量と、上の汚染水のデータを比較してみましょう。

 世界保健機構(WHO)の飲料水安全基準はヨウ素131について、100ベクレル/リットル以下の放射線であれば、赤ちゃんのミルクを溶くのに使っても問題ないとしています。

溶液A: 3億ベクレル/リットルのヨウ素131
溶液B: 1万4800ベクレル/リットルの、複数の放射性元素
赤ちゃんのミルク:100ベクレル/リットル以下のヨウ素131なら安心

 このように比べると、溶液Aは300万倍に薄めなければ安心できない高濃度の汚染水、溶液Bは汚染物質を確定しなければきちんとしたことは言えないけれど、仮に放射性物質がすべてヨウ素であったとすると100倍以上に薄めないと安心できない汚染水、AとBの汚染具合は粗く見積もっても3万倍ほど違うらしい、と察しがつきます。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5816?page=2

 報道で出てくる「ミリシーベルト」「マイクロシーベルト/毎時」といった単位を取り違えると、正確な放射線量は確認できません。あるいは物質名を確認せずに「ベクレル」「メガベクレル/平方キロ」などの数値を見て健康被害を見積もっても限界があります。

「お勉強はいらない」と言う人から順にリスクに遭う

 あるところで「みんなが知りたいのはこの先どうなるか、という情報で、お勉強はいらない」と言われたことがあります。

 が、ちょっと待ってください。こういう慢心は危険です。基礎をないがしろにしたまま報道の情報を聞いても、それを判断するだけの力がなければ、身を守る力にはなりません。

 信号のランプの色が「青は進め、黄色は注意、赤は止まれ」という意味だと知らなければ、せっかく信号機を見ても意味がありません。

 また、仮にそのルールを知っていても、実際に自分の身を守るために注意し、そのつど判断するのは自分たち自身しかありません。

 私はクラシックの音楽家に過ぎませんが、昔、学生時代に物理を学び、また大学に招聘されてからは原子力工学の3年生に基礎物理を教えていたことがあります。

 原子炉の内部や放射線医学の細かいことは分かりませんが、小学校の算数、中学校の理科までの前提で、自分で身を守る気さえあれば、正確に報道の内容を理解するサポートをすることはできます。そういう情報を、集中的に記してみたいと思います。

 2011年3月11日、金曜日の午後2時46分、私は都内にいて、普通に音楽の仕事をしていました。と、突然部屋全体が揺れ始めました。地震です。しかも相当大きい。これは危ないかもしれないと、とっさに私はパソコンなど手近な荷物だけ持って屋外に飛び出しました。

 ・・・揺れています。と言うか、ただごとではない揺れです。立っていられない。中学高校と地学部という理科のクラブに所属し、また大学では物理を学びましたので、いま揺れているのがどれくらいとんでもないものか、はすぐに察しがつきました。

 生まれてこの方自分が経験したことがないスケールの地震であることはすぐ分かったので、電子メールで家族に「大地震が起きた、もしかするとしばらく連絡が取れなくなるかもしれない」とメールを打ってから、大学の事務と連絡を取ったり、直ちに必要な対処を始めました。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5816?page=3

 地震の当日は余震の方が恐い気がしていたので、長らく車の中で過ごしたりしましたが、その日それから大きな余震はなく帰宅しました。

 車の中でもラジオで東北地方が津波に直撃された、といった情報は耳にしていましたが、テレビをつけてみると、だんだん大変な状況が分かってきました。

 千葉ではガスタンクが爆発した、宮城の気仙沼市は大火事になっている・・・そうした被災地の情報とともに福島第一原発、第二原発、女川原発などが津波被害に遭った模様、という情報が入ってきました。

 今回の震災まで、私は原発の問題と正面から向き合うということを、ほとんどしてきませんでした。私は大学・大学院と足掛け8年ほど理学部で物理を学びました。

 東西冷戦時代に10代を過ごした者として、物理学科時代から核兵器の問題には意識がありましたが、原発は「平和利用」ということで、それ以上特に考えることがありませんでした。

 ちなみに私は、理学部を卒業して理学系の大学院に進みましたが、修士2年次からは、子供の頃からの音楽の仕事が本格化してしまい、大学院博士課程を単位取得退学して普通に音楽家としての生活を送ることになりました。

 このあとで一時期、体を壊し、ヒマにしていても仕方がないので音楽の脳認知を基礎から考える仕事をすることにし、教養学部の大学院で自分の分野をつくり、それで博士号を取ったところ、大学に呼ばれて音楽の研究室を持つことになりました。

 私は自分の大学では建学以来初代の音楽実技教授でしたので、伝統もなければ仲間もいません。予算も自分でかき集めねばならず、ピアノ1台ないところからのスタートでした。

 大学の中では新参者ですから、一定の働きをして、気に入られないとしても、まあ役に立つ奴だ、くらいに思ってもらう必要があり、人の嫌がる仕事にも積極的に手を挙げて、いろいろな業務を進んで担当するようにしました。

 そんな仕事を通じて知り合いになったシステム創成学科の関村直人教授(原子力工学)からお誘いを受け、大学院では原子力工学に進む過程の工学部3年生必修科目で、学内非常勤講師として物理学を教えることになりました。

 (これまた、人のあまり喜ばない種類の仕事でしたが、お役に立てば、と一生懸命取り組みました)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5816?page=4

 旧来原子力工学科では理学系で教えるような物性物理の科目は少なかったようで、それを補強するように、というのが私への依頼でしたが、初回に学生たちに聞いて見ると、物性物理以前にもっとシンプルな「質点の量子力学」とか、その道具である数学の準備が不足していることが分かりました。

 そこで、高校3年程度から始めて、基礎的な内容をすっ飛ばさずに原子力に進む学生の基礎科目として教えました。

 さて、地震の翌日である3月12日、すでに福島の原発事故が報道され始めていました。

 ツイッターでも不安そうな声をたくさん見ましたので「身近な線量計を複数見てみることです」とアドバイスして、私も各地の役所や、東京都内で個人の方が設定しているガイガーカウンターなど、インターネット上で見ることができる線量計に目星をつけて、これらの値の変化に常に注意することを勧めました。

 家でテレビを見ていたら、先ほどお話しした同僚の関村先生が福島原発の状況を解説していました。

 生放送の中、几帳面な関村先生は正確に言葉を選んで話しておられるのですが、学部3年生を教えた経験からも、多分多くの人がきちんと理解しないだろうな、と思われる表現がいくつか目についたので、そういう言葉をツイッター上で補う、ということを始めたのが、私がこの記事を書くに至る根本的なきっかけになりました。

線量と線量率

 3月12日から13日ごろにかけて、原発事故の報道をテレビで見ているうち、だんだん話が怪しくなってきました。

 ようやく報道でも「線量計」というような言葉が聞こえてくるようになりましたが、その値や、特に単位の次元がしばしば間違っているのです。

 ある局では、解説委員が「ミリシーベルト」と「ミリシーベルト毎時」という、全く異なる放射線の「量」を混乱して喋り、結果的に誤った「解説」をしているのに気がつきました。

 これはいけない、と一方で局の友人に連絡を取り、他方ツイッター上で、生放送で乱発されるおかしな表現を、そのつど直す、ということをし始めました。この時は結局3日間でかれこれ60時間ほど、この種のことに労力を使いました。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5816?page=5

 この時、「解説委員」が間違えたポイントをおさらいしてみましょう。

 「1ミリシーベルト」と「1ミリシーベルト/毎時」の違いは、放射線量という目に見えにくいもので考えるから分かりにくいので、仮に地上の距離で考えるなら、「1キロメートル」と「1キロメートル/毎時」の違いと同じものと思って頂いて構いません。

 「1キロメートル」というのは距離を表す量ですが「1キロメートル/毎時」というのは「時速1キロ」というスピードを表します。

 距離というのは、「東京から千葉の銚子まではちょうど100キロメートル離れている」というように使う言葉ですね。これに対してスピードという言葉は、「首都高速道路の制限速度が時速80キロなのに、時速120キロで走ったらスピード違反で捕まった」というような使い方をします。

 時速と距離の関係は、スピードに走った時間数をかけてやればよく、「平均時速100キロで東京から名古屋まで走ったら、だいたい3時間半で到着したよ。東京と名古屋は大体350キロ離れているんだね」、なんて具合になるわけですね。これと全く同じことが放射線量についても言えます。

 「福島第一原発内で採取された水が1000ミリシーベルト/毎時という高い放射能の値を示した」という時、この値は「仮に1時間それを浴び続けていると、総被曝量が1000ミリシーベルトになってしまう線量率だよ」ということを示しています。

 これに対して、「一般人が1年間を通じて浴びてもよい許容被曝線量は1ミリシーベルト、職業人はその50倍の50ミリシーベルトです」などと言う時の「被曝量」は「1年間かけて浴びてもよい放射線の総量」という意味です。

 いわば東京と銚子とか福島、仙台までの距離と言うのと同じく、速度に時間を掛け算したように、線量率に時間を掛けた次元になっています。

 この両者を混乱するということは「東京と福島は220キロ離れている」というのと「東京と福島の間を時速220キロで走った」というのをごちゃ混ぜにするくらい、初歩的なミスですが手ひどい内容の混乱です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5816?page=6

 東京と福島の距離は今回のような有史以来の大地震でもたいした変化はありませんが、東京―福島間を時速220キロメートルで高速走行したら、警察がやってきて一発免許停止になってしまいます。

ミリ・マイクロ・ナノ

 報道で目についたもう1つのミスは「ミリ」「マイクロ」「ナノ」など数量の桁を表す単位の混乱です。これについても確認しておきましょう。

 先ほどの車のスピードと同様、目に見える「長さ」でお話しするとよさそうです。

 1メートルという単位は子供の背丈くらいで私たちに身近な長さです。この100分の1が1センチメートルで、私たちの日常生活で身近な長さの尺度はセンチメートル単位のものが多いと思います。ジーンズの腰まわりなど洋服のスリーサイズはセンチメートルで測りますね。

 私たちがよく使う三角定規や30センチ定規などで、長さのメモリの最低単位は、この1センチメートルを10等分した1ミリメートルになっていることが少なくありません。

 普段私たちが使うノートや教科書の厚さは大体数ミリで、何センチもある電話帳のような本は辞書など例外的なものになるでしょう。

 この1ミリメートルとは、先ほどの1メートルの1000分の1の長さ、という意味を持ちます。

 さて、西洋では数字が3桁変わると1段ギアチェンジします。よく10,000円(1万円)とか130,000,000人(1億3000万人)などと数字を書く時、3桁ごとに「,」をつけますよね?

 「ミリ」はもとの単位より3桁小さい値、この「ミリ」の1000分の1は「マイクロ」、そのまた1000分の1が「ナノ」というケタになります。

 この単位を身につけるうえで、印象に残るよう、被曝量を例に考えることにしましょう。ポイントは簡単です。

 「通算1シーベルト(1Sv)を短期間に被曝すると、健康にかなりの影響が出るのが心配だ」

 まずこれを基本に考えることにします。もっと具体的なケースはあとで検討しますが、まずは大雑把にここから入りましょう。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5816?page=7

 1シーベルトというのは「ミリシーベルト」単位で考えれば1000ミリシーベルトになります。「原子炉の中の水から1000ミリシーベルト/毎時の放射線量が検出された」というのは、その水の近くで1時間仕事をしていると、かなり健康に影響が出ることが心配になる、という情報を示しています。

 この種の情報はさらにもう1つ面倒な条件があります。「原子炉の中の水から1cc当たり1000ミリシーベルト/毎時の・・・」などとなっていることがあるのに注意しましょう。

 これは、その水が1cc、つまり1辺1センチメートルの立方体程度、ティースプーンに1杯ほどでも1時間当たり1000ミリシーベルト、つまり健康に影響の出得る値の放射能が検出された、という内容を伝えています。

 スプーン1杯の放射能汚染水のそばに1時間いると、総被曝量が1ミリシーベルトになってしまいます。

 ガソリンの値段は通常、1リットル当たりで表示されます。震災のあとは値段が上がってレギュラーガソリン・リットル当たり150円ほどの値段になっています。

 値段は上がりましたが、決して1cc当たり、つまりスプーン1杯で150円(1リットル当たりなら15万円:高価なシャンパンでも普通はこんな値段はしないでしょう)などという価格ではありません。

 逆に言うと、そういう数値の違いを曖昧にしていると、情報をしっかりと理解することができません。

 もし汚染水が2ccあったら放射能の値は2倍になります。1リットルなら1000倍です。こうした分量や数値の桁などに注意せず「1ミリシーベルトだから危険だ/いや安全だ」などと議論しても、全く意味がありません。

 もしその同じ1ミリシーベルト/毎時・ccの線量の水が1リットルあれば、1シーベルト/毎時・リットルの放射能が出ていることになります。そのそばに1時間いれば、私たちはたった1時間で1シーベルトもの量、放射線被曝してしまうことになります。

 第2次世界大戦末期、広島や長崎に投下された原爆を作っていた科学者チームの中にも被曝して亡くなった科学者がいます。ある科学者は総計5シーベルトほどの放射能を短時間に浴びて2週間で亡くなったそうです。

 また広島原爆の爆心地の線量は100シーベルト/毎時ほどの放射線量率であったと推定されているそうです。

 1000ミリシーベルト、つまり1シーベルトという値が報道に登場してきたら、それは相当に危険な状態を示していると考えられるので「毎時」なのか積算量なのか、あるいは「毎年」なのか、また水1cc当たりなのか、空気中の線量なのか、など、単位を正確に確認する習慣をつけることをお勧めします。ちょうどガソリンの値段をリットル単位で考えることが習慣づいているように。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5816?page=8

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