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東日本大震災記録コミュの347.放射線は人体にどう影響するか、放射線による健康被害とは何か

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 「現段階では、福島を含め一般市民の健康への影響はゼロといっていい」。東京大学医学部付属病院放射線科の中川恵一准教授はこう言い切る。

 福島原発が事故を起こして以来、関東・東北地方で、空気中の放射線(環境放射線)レベルの高い状態が続いている(右図)。福島、茨城のみならず、東京でも3月15日の10時台には、毎時0・809マイクロシーベルトという数値(最大値)を観測。「通常の20倍以上もの環境放射線量」と報道され、多くの人々が不安感を覚えた。

 これだけ見れば、確かに数値は高い。が、こう考えてみるとどうだろう。ありえないことだが、毎時0・809を観測したエリアで、屋外に24時間立っていたとして受ける環境放射線量は1日19・4マイクロシーベルト。年間では7086マイクロシーベルトとなるが、これはCTスキャンを1回行った際に受ける放射線量とほぼ同等だ。福島原発から北に約20キロメートルの南相馬市では、18日18時に7・29マイクロシーベルトという数値を観測したが、その水準が続いているわけではない。

 「被曝は普段から全員している。山に登っても被曝量は増える。細かい数値を気にしても意味がない」(中川准教授)。人間は、地球上で生活しているかぎり、宇宙や大地から発せられる放射線を避けられない。こうした自然から受ける放射線は、世界平均で年間2400マイクロシーベルト。その4倍くらいの数値を観測する地域も多くあるが、その地域の住民に健康被害が出ているという報告はない。

 では、健康に影響を及ぼす放射線量とはどのくらいなのか。それを考えるために、放射線や放射性物質が、なぜ私たちの体に影響を及ぼすのかということから理解しておきたい。

http://www.toyokeizai.net/life/living/detail/AC/e1fd2de63a620224af47b36794ca511a/

切断されたDNAはほとんど修復される

 人の体が放射線に被曝したり、放射線を出す放射性物質を取り込むと、そのエネルギーはすぐに細胞や器官・組織に吸収され、細胞を構成する分子の化学的結合を切断する。

 重要なのは、DNAの化学結合も切断してしまうことだ。DNAには、親細胞が娘細胞に正確に伝えるべき生命の基本情報が書き込まれている。DNAが損傷を受ければ、誤った情報を娘細胞に伝えることになり、細胞が正しく機能しなくなる。

 ほとんどの場合、DNAは損傷しても自ら修復することができる。ただ、一度に高い線量の放射線を受けてしまうと、その修復機能が追いつかない。損傷の量が多ければ、細胞死を引き起こし、臓器や器官の不全や機能低下が生じる。

 高い線量の放射線を受け、多くの細胞死が起こると、数時間から数週間で、髪が抜ける、血液細胞が減少して感染症にかかりやすくなる、子供が産めなくなる、などの症状が出てくる(「確定的影響」と呼ぶ)。

 これらの影響の特徴は、被曝線量がある値を超えて初めて出てくるということだ。その値を「しきい値」という。逆に、しきい値以下の被曝なら何も影響は出ない。

 放射線医学総合研究所・放射線防護研究センターの島田義也氏はこう説明する。「さまざまな症状のうち、最も低いしきい値は男性の一時的不妊で、その数値は10万マイクロシーベルト。10万マイクロシーベルトを超えないかぎり、急性の臨床症状を心配する必要はない」。

http://www.toyokeizai.net/life/living/detail/AC/e1fd2de63a620224af47b36794ca511a/page/2/

 このしきい値は、一度にこの線量の放射線を受けた場合を想定したもの。仮に、一生かけて10万マイクロシーベルトの放射線に被曝したとしても問題はない。一生80年として1年当たり1250マイクロシーベルト。1カ月当たり104マイクロシーベルトの放射線に被曝し続けたとしても、影響は出ないはずだ。損傷した細胞は次々と修復されるうえ、放射性物質は時間の経過に伴い、放射線レベルが低下していくからだ。

放射線で発がんリスク、低線量ではまだ不明

 低い線量の放射線なら、被曝しても損傷したDNAは正しく修復されるので問題はない。が、ほんのわずかな確率で、間違って修復されてしまうことがある。正しい情報が伝えられず、細胞に突然変異を引き起こす。そこで懸念されるのが、発がんだ。

 放射線被曝と発がんの関連性については、広島、長崎の原爆被曝者に対して行われたフォロー調査の結果で説明できる。そこで明らかになったのは、がんは被曝後の潜伏期を経て発病するということだ。

 白血病では、被曝後2〜3年で発生率が増加し始め、6〜7年でピークとなり、その後減少する。一方、固形がん(胃、肺、大腸など血液以外のがん)は被曝後数年〜数十年から発生率が上がり始め、年齢とともに増加し続ける。

 また、がんについては、前述の確定的影響と異なり、しきい値がなく、少量の被曝でも確率的にゼロにはならないと仮定されている。そのため、放射線防護の観点から「確率的影響」と呼ばれている。

 「ただし、本当にしきい値がないのか、どんなに少量の被曝でも発がんは起こりうるのか、ということについて、科学的に明らかにされているわけではない」と、大阪府立大学先端科学イノベーションセンター・放射線研究センターの児玉靖司教授は言う。原爆被曝者の調査で、放射線による発がんリスクが統計学的に有意に高いといえるのは、10万マイクロシーベルト以上の被曝線量においてだ。それ以下の線量については、慎重を期した仮定にすぎない。「10万マイクロシーベルト以下について統計学的有意差を示すには、さらに数万人を対象とする調査が必要だが、現実的に不可能」と児玉教授は説明する。

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 なお、国際放射線防護委員会(ICRP)は、10万マイクロシーベルトの被曝で発がん頻度は0・4〜0・5%増えるとしているが、その数字をどう見るか。言うまでもなく、日本人の死因トップはがんで、今や2人に1人ががんにかかる時代だ。「その確率がほんの0・5%上がるとしても、たばこをやめたり生活習慣を改善することで、がんのリスクをキャンセルできる」(島田氏)。

飲食物から体内摂取、健康への影響はあるか

 1986年、旧ソ連(現ウクライナ)で起こったチェルノブイリ原発の事故で、放射性物質に汚染された地域の住民は約500万人(→参考記事:チェルノブイリの放射能汚染はどのくらいの地域に及んでいるのか)。その人々に見られた明らかな健康被害は、子供の甲状腺がんだった。科学的根拠に基づいた事実はこれだけだ。

 甲状腺は、ヨウ素を取り込んで甲状腺ホルモンを合成し、分泌する器官。子供ほど感受性が高く、放射性ヨウ素を過剰に取り込んでしまったことが原因と思われる。ただし、「ロシア内陸部はもともと栄養素としてヨウ素が不足している地域。海藻などからヨウ素を摂取する習慣のある日本でも同じことになるかは明確でない」(児玉教授)。

 原発事故をきっかけに、よく耳にするようになった「ヨウ素131」はヨウ素の放射性同位体、「セシウム137」や「セシウム134」は、セシウムの放射性同位体だ。ヨウ素131は、放射線を発しないヨウ素と同様、体に入ると甲状腺に集まり、セシウム137やセシウム134は、同族元素であるナトリウムやカリウムに性質が似ているため、筋肉に集まりやすい。こうした物質を吸い込んだり、食物に付着したまま経口摂取すると、体内で放射線を発し、細胞を損傷させ、健康被害を起こすおそれがあるというわけだ。

 ただし、それはあくまでも、長期間にわたって摂取し続けた場合の可能性の話。前述したとおり、細胞が多少損傷したとしても修復できるし、ヨウ素131は体の中に入って8日間、セシウム137は70〜100日間で放射能レベルが半減する。

 今回出荷を制限された野菜や牛乳や、水道水などから検出された放射性物質の測定値は、食品衛生法で定められた暫定基準値を上回ってはいるものの、すぐに健康被害を起こす数値ではない。それでも、国がなるべく摂取しないよう要請しているのは、今後長期にわたって摂取した場合の健康被害の可能性を勘案したからとされている。

(週刊東洋経済2011年4月2日号)
http://www.toyokeizai.net/life/living/detail/AC/e1fd2de63a620224af47b36794ca511a/page/4/

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