演奏家のための身体操作コミュコミュのある日の横笛レッスンより。

管理人の日記の内容ですが、ここでも紹介させていただきます

最近、将来楽しみな個人レッスンの生徒さんがいます。

彼女は、和太鼓奏者・藤慶哉さんに太鼓のを学びアシスタントとして指導もしている和太鼓奏者で横笛も担当しています。
笛は、これまで僕が雅楽・越天楽の手解きをした以外は、ほぼ独学で習得したのですが、天性のグルーヴと歌心を持ってました。

で、今年から本格的にレッスンを受け持つことになったのです。

まず、レパートリー曲を演奏してもらい、指導の方向性のプランを考えました。
体癖なども見ながら、彼女に適合したフォームなどを割り出して行きました。
人によって、重心位置、左右の足の位置、肘の位置、身体意識のポイントなど適性なところが違います。
少しずつ割り出しながら音を出しながら良い感覚を掴んでもらいました。
最初のレッスンで、かなり音の響きも増し、グルーヴも大きくなってきました。

２回目のレッスン。
指を矯正した方が良いのかどうか悩みました。
指が笛に対して斜めになっていて指先で押えていました。

日本の横笛は雅楽・能楽が元になっているので、指は笛に対して垂直、指の腹で押えます。歌舞伎の管方は篠笛を使いますが能管も使うこともありほぼ同じ指使いです（江戸式はよく知りません、上方ではほぼそうです）。

彼女は今のままでも、けっこう演奏できるし本番も迫っている、また体壁からもそうなりやすい傾向。ということもあり、矯正したほうが良いかどうか、ちょっと悩みました。

「どうする？今矯正すると迫ってる本番は間に合わないかも知れないし、演奏がガタガタになるかも知れない。
でも、このままでは、これからの上積みにすぐ限界が来るからね。
矯正するなら本番終わってからにしようか？」

♯♭などの半音を指先での塞ぎかたでコントロールしようとしても　とても安定しません。
棒のように伸ばした指を穴に当てる角度で調整すると安定感が増しコントロールしやすい。またポルタメント・微分音も自在になってくるのです。
打ち指などのキレも伸ばした指だからこそ。

とりあえず、試しに、管に垂直に指を伸ばして演奏してもらいました。
さすが、若いだけあって、また素直な性格や体質なので、
「なんだ、できたね～！」
なによりも、音が明るく響き、伸びやかになったことに、本人もびっくり、顔色まで明るくなったのです。
こんな体感を味わってしまったなら、もう後には戻りたくないでしょう。
攻めの姿勢でいくこと決定

たかが指先ですが、これで全身のバランスが変わるんです。
指をシュッと伸ばすと、胸郭も開きやすい。
自然と背筋も伸び腰の収まりも良くなる。
指は肋骨・肋軟骨、骨盤、頭蓋内にも足にも連動しているのです。

で、伸ばした指は、指で動かそうとしたら動きにくい。
指を上げるのではない、掌を開く。指は手首近くから分離してるのです。

ちなみに、僕の運指の特徴は、実際のフレーズの速さと見た目の指の動きにギャップがあるようです。
掌内部から運指し手首も連動して動いてるから実際には充分指穴を大きく早く開閉しているのですが、それゆえに音を聴けば超高速フレーズの場合も指を見るとパキパキ感もピクピク感もなく、ノッタリしてます（笑）

形状や奏法上、指を伸ばせない、伸ばしてはいけない楽器もあるでしょうが、それでも、指先は曲げていても掌の中心を開くだけで、音が良い方向に変わることもあるかも知れません。
そういえば、ピアニストの辻井伸行さんの動画を見ると、フレーズや表現によって基本通り指先で弾いたり、オルガン奏者のように指を伸ばして指の腹で弾いたりしてるようです。

ボーカリスト、シンガーも、マイクの持ち方ひとつで声の響き方が変わる可能性は多いにあるかと思うし実際にそんな例も見ました。

ともかく、かの横笛の生徒さんには、身体を良い楽器にすることとともに、即興力もアップしてもらおうと、思っています（即興といっても、とりあえずはインド音楽やモダンジャズ等をするわけではないので小難しい理論は後回しで・・・）
その点、バルーンメソッドや、コア連動メソッドは音が響くだけでなく、即興・反応能力のアップも期待できるんです