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心斎橋 若松コミュのイージス艦衝突事故から考える自衛隊の存在意義

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浅井久仁臣の視点 イージス艦衝突事故から考える自衛隊の存在意義

自衛隊の護衛艦「あたご」が、まぐろ延縄漁船「清徳丸」と衝突した事故につい
て、これまでに分かった情報を基に考えてみたい。

事故が起きたのは午前4時7分。現場は、房総半島の南約50キロの海上である。
天候は、日の出前の暗さがあったとはいえ、視界良好で風も弱く、波もほとんどない状態であった。

清徳丸には、父子の二人が乗船、僚船数隻と連れ立って漁場に向かっていた。
一方のあたごは、マスコミではイージス艦と分類されているが、基準排水量7750トンの護衛艦で、世界最高レヴェルのレイダーとミサイルによる迎撃機能を有する最新艦である。
太平洋上における長い訓練航海を終えて横須賀港に入港目前であった。
船内には恐らくやれやれという空気が漂っていたと思われる。ちなみに、あたごの母港は、横須賀ではなく日本海側の舞鶴である。

清徳丸は、7トンの小型漁船で、写真を見ても分かるように強化プラスチック製である。
この種の船舶は、正面からの荒波や衝突を想定して縦の圧には強いが、横からの衝撃にはもろいとされる。一方のあたごは、装備を合わせれば約1万トンにもなる。
そんな巨大な鉄の塊からみれば、清徳丸はまるでプラスチックのおもちゃのようなもの。
衝突すればひとたまりもない。横腹にまともにぶつけられ、まるで刃物で立ち切られたかのように二つに裂かれた。

衝突現場は、世界でも最も多くの船が行き交う海域として知られる。
船舶を航行させる者たちにとってもっとも神経を配らなければならない海域だ。特に、巨大な軍艦を操る側は、最大の配慮が必要のはずである。

そんな場所で、気象条件も決して悪くない状況でなぜこのような事故が起きたの
か。
あたごのような、俗に言うイージス艦(正式には、イージス・システム搭載艦)
は、敵のミサイルや航空機からの攻撃に備える防空の要で、装備だけでなく、人員配置も含めて千数百億円の莫大な税金がつぎ込まれている。
あらゆる局面を想定しての危機管理体制もしっかりしていたはずである。
なのに、このような悲惨な事故を起こしたのは、あたごの側に人為ミスを含めて重大な過失があったと見るべきだ。
海上自衛隊や防衛省の対応を見ていると、情報の隠蔽が謀られている可能性が少なくないが、遺族のみならず、国民誰もが、事故の真相を知る必要がある。

このクラスの護衛艦には、最低でも前方確認に二人、後方に一人の見張りが常時
立っているはずである。
それらの見張り役の他にも操舵室には他に複数の乗員が前方を見ているものだ。

また、護衛艦には当然のことながら水上監視レイダーが装備されている。
あたごが最新式のレイダーを装備、特に100以上のミサイルや航空機を認識するフェイズドゥ・アレイ・レイダーを付けている事から水上確認も他の船舶よりも格段に優れているように思われるかもしれないが、一般艦艇と変わらない通常の水上確認レイダー装備である。

だが、そのレイダーでも清徳丸や他の船の陰はくっきりと映し出していたはずだ

そのレイダーを確認する役も、艦橋だけでなく、この種の艦船には戦闘指揮所があり、そこでレイダーの画面を見ている乗員がいなければならない。

つまり、危機管理上は、多くの目が前方に注がれていて、例え一人の乗員の確認
ミス、操船の誤りがあってもそれを補完する設備、制度が施されている。だから、机上で考えれば、このような悲惨な事故が起きるはずがないのである。

ならば、なぜこのような事故が起きたのか。
その原因については、今後の詳しい現場検証を待たなければならないが、一番考えられるのは、乗員たちの気の緩みと軍人としてのおごりである。

長い航海を終えて、若い乗員たちは陸に近づき、明かりが見えたりすれば心が躍
り、家族の、恋人の匂いまでもが感じられるものだ。
いや、若くなくとも「船乗り」というのはそういうものだ。

しかし、あたごの乗務員は単なる船乗りではない。
我々の税金を使い、国防を担う役割にある人たちだ。そのような任務の自衛官がこのような体たらくでは、自衛隊そのものの存在意義について考えざるを得ない。

現場のだらしなさは、自衛隊の中枢機能にも蔓延している。
制服(軍人)組、私服組を問わず、危機意識の欠如は昔から言われ続けていが、今回もいっこうに改まっていないことが露呈された。

事故が起きたのが、午前4時7分。それから陸(おか)に連絡が入るまでに16分を
要している。
この場合の陸とは、寄港予定の横須賀にある海上保安本部又は護衛艦隊司令部を指す。
第一報がどちらに入ったかは、今のところはっきりしないが、私は海上保安本部ではないかとみている。だが、ここではそれはたいした問題ではない。

報道などでは、連絡の遅れは、要救助者の捜索に当たっていたためという説明も
あったが、冗談ではない。
乗員は一人だったわけではないのだ。救助活動は当然必要だが、同時進行で即刻陸に連絡を入れなければならないのは誰でも分かること。
なのに、連絡を入れたのが、16分後の4時33分であった。

そこから情報は二手に分かれた。
一つは、自衛艦隊司令部(横須賀)→統合幕僚監部オペレーションルーム(東京)→内部部局(本省運用支援課)と連絡されている。
もう一つは、海上幕僚監部オペレーションルーム(東京)→海上幕僚長のラインだ。

こうして制服組最高責任者である海上幕僚長の耳に入ったのが、48分後の午前4時
33分であった。ここで「内規違反」と思われることが起きている。
それは、二つのオペレーションルームが、防衛大臣に直接(秘書官を通すことを含めて)報告をしていないことだ。

さらに、不可解なことは続く。海上幕僚長も報告を受けて何をしていたのか。
すぐに防衛大臣を叩き起すことはしていない。
また、運用支援課の中でも約40分間情報が留まり、5時38分になってようやく防衛大臣に連絡が届いた。

石破防衛大臣は、メディアに対して「リアルタイムとは言わないが、(事故発生
から)10分以内には(私に)伝わらなければならない」と不満を漏らしているが
、その石破さんとて首相官邸に連絡を入れるまでに17分を要している。

そうして、重大事故発生の情報が福田首相にようやく届けられた。事故発生から
およそ2時間後のことだ。

こんなに時間がかかったのは、日本の官僚システムを考えると、あくまでも想像
だが、組織の中で、情報伝達に関わる担当者一人ひとり(例:課長補佐→課長→
部長補佐→部長)の決済を取っていたからではないだろうか。いわゆる「飛び越
し決済」をする機転(勇気?)が誰もきかなかった可能性が高い。

自衛隊や防衛省は、他の省庁と違い、危機管理の専門家集団であるはずだ。
なのに、不手際は繰り返される。これまでにも雫石事故(1971年。全日空機を標的に訓練していたジェット戦闘機が空中衝突)やなだしお事故(1988年。潜水艦「なだしお」と釣り船が衝突)というあってはならない過ちを犯しておきながら、また国籍不明船追尾などの緊急時に的確な対応が出来ずに恥をかいて、その度に危機管理の欠陥が問われて来たのに、本質的にはなんら進歩していないのだ。
10年一日のごとくいつまで経ってもお宅っぽい訓練に明け暮れ、非常時対応すらできない自衛隊に私たちは何を期待するのか。

以前から私は「自衛隊解体論」を主張している。莫大な費用をかけて過剰防衛す
る前に我々は英知を絞って周辺諸国と緊張関係を作らない方策を考えるなど、選
択肢はたくさんあるからだ。また、百歩譲って軍隊を持つにしても、こんな役に
立たないどころか、雫石事故に代表される国民を軽視して場合によっては、敵に
回すようなばかげたことをする自衛隊に国防を果たして任せていいものか、私は
疑問に思う。
今回の事故でも、昨夜になってあたご側が漁船灯を事故の12分前に確認していたことが明らかになったが、これでは、「俺たちは国防を預かる軍艦だ。
漁船が遠慮するのが当然だ」という、まるで江戸時代の大名行列のような「そこのけ」感覚が乗員にあったのではないかと疑いたくなる。

われわれ日本人は防衛論議をあえて避ける傾向にあるが、自分たちの国の軍隊は
、予算規模で見れば、世界の中でも際立った存在で、周辺諸国にとってはもはや
「どうでもいい」存在ではなくなっている。今回の事件を機に、今一度、日本に
とってこんな軍隊を保有しているのが果たしてわれわれのためになるのか、また
次の世代に必要なのか、一人ひとりが考える必要があるように思う。

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