ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

怖い話で眠れなくする!!コミュの困った人達シリーズ ケンタロウ

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
小学生三年生の夏休みに

爺ちゃんち…

父方の実家へ父、母、兄、私の四人

家族揃って遊びにいきました。

爺ちゃんの家は北関東にあって

東京に近い割りに

田んぼと畑しかない絵に描いた田舎なところでした。

祖父の家は祖父と祖母の二人暮らし

孫の私たちが来るのを楽しみにしてまて

そんなもんで毎日、祖父母に連れられて山の中へクワガタ捕りに行ったり

川へ釣りに行ったり泳いだり、

夜は花火大会や盆踊りに連れていってもらい

食べ物も祖父母が丹精込めて育てた米と野菜が食卓にのぼり

美味しいのなんの

子供ながら、お米のご飯の美味しさが分かりましたよ

それから大嫌いだったナスが食べられるようになりました。

楽しいお盆の田舎暮らしでしたが

明日は家に帰らなければならないという日の朝、

私が目を醒ました時

家の中は私を除いて全員がいなくなってました。

単に、寝坊した私を置いて

畑に行ってただけなんですけど


私の分のおにぎりが

ちゃぶ台の上に蝿帳がかけられて置いてあり

お味噌汁を温めなおして

朝ごはんを食べました。

ご飯を食べちゃうと

あとは何にもすることが無くなり…

夏休みの宿題は持ってきてたけど

まるで、やる気なんて起きません

それで

爺ちゃんと婆ちゃんが飼っている

白い雑種犬のケンタロウを連れて

近所を散歩することにしました。


ケンタロウは散歩できると大喜び

犬小屋につないだ鎖を外してリードを付けてあげると

尻尾をぶんぶん元気良く振って

私を引っ張るようにして家を出ていこうとします。

なんか

その態度が気に入らないので

一度、ケンタロウをつなぎ直して

家の中から持ち出したマジックでケンタロウに太い眉毛を描きました。

かなり笑える顔になり

面白すぎて涙が出ました。

眉毛を描かれた為か

念願の散歩へ出かけても

なんか大人しく私の横をとぼとぼ歩いて

ケンタロウらしくなくなってしまいました。

10分ほど歩いて

集落の外れへとやってきました。

ここから先は里山への入り口で民家はなくなります。

その最後の民家…

ブロック塀に囲まれた一軒の家が目に留まりました。

平屋の一階建

そんな古くなさそうな家なのですが

塀の中は

私の胸くらいまで伸びた雑草が茫々に生えていて

庭木も選定などだいぶされてない様子で伸び放題…

草を掻き分けながらでないと

建物までいけないほど隙間無く草で埋まってました。


誰か住んでるのか

それとも今は誰もいないのか…

う〜ん誰も住んでなさそうだけど…

その家がなぜか妙に

気になりまして

俺は草を掻き分け家まで行ってみることにしました。

ケンタロウはなんか気乗りしない様子で

力いっぱい引っ張っても

足を踏ん張り動こうとしません。

「じゃあ、ここで待ってて」

門の前に杭があるのを見つけてそこにリードを縛りつけ

私だけで行くことにしました。

本当に草茫々で

足下なんか見えません

でも、地面は大きな石とかでこぼこが無いみたいで

草を掻き分けながら転ばず進めます。

家の玄関が見えるくらいまで近づいた時

私の行く手…

玄関と私のちょうど中間くらいに

草むらの…

草の上に女の人の顔が見えました。

子供じゃなくて大人の女の人です

長い黒髪を後で

紅いリボンみたいなので髪を結わいでて

ひらひらと緒が長く垂れています。

もしかしたらここに住んでる人かもと思い

「お、おはようございます」

私はあわてて挨拶しました。

紅い濡れたような唇の端を吊り上げ

女の人はにっこりと笑いました。

怒られなかったから調子を良くして

私はお話でもしようと

女の人に向かって進みました。

すると

女の人はすーっと滑るように

草むらの上に首だけだした状態で

こちらを向いたまま家の方に向かって後退していきます。

草を掻き分ける様子もなくさ

なんか、

首だけ浮いてるみたいに…

首だけがすーっと

後へ引っ張られていくみたいな…

そんな首だけの人なんている訳ないよ…

その女の人はにっこり笑ってるし

それになんか

自分についておいでって誘ってるみたい…

私は

その首だけしか見えない女の人に従い

家に向かって付いていきました

門の方で

ケンタロウがワンワンと激しく吼えてるのが聞こえます。

他の犬が来たのか

退屈になったのか…

でもなんか様子が変

女の人は玄関ではなく

家の縁側へ向かっていくみたいでした。

ガラスの嵌ったサッシ戸が一箇所だけ開いていて

なんか太いホースみたいなのが出てます。

白というか肌色みたいな

両手の親指と人差し指で輪を作ったくらいの太さかな

それが

ずぅっと

女の人に向かって伸びてんの

伸びて頭の後あたりにでもくっついてるみたい

女の人は

そのホースみたいなのに従い

スルスルさがっていきます

そういえば草の丈も低くなって

首の下…服とか身体が

そろそろ見えてきてもいいのに…

結局、女の人は服とか見せないまま

すーっとサッシ戸の間を抜けて家の中へ入ってしまいました。

一瞬の躊躇

だって、お上がりなさいとも言われてないし

あれから女性は家の中に入って出てきません

中で私が入ってくるのを待っているのかも

美味しいおやつを出して待ってるのかも

誘惑に負けて、

私は靴を脱ぎ家の中へ上がると決めました。

そこへ

激しく吼えながら

草を掻き分けケンタロウがすごい勢いで走ってきました。

リードは杭に縛り付けてあったのに…

首輪抜けでもしたのでしょうか

私を押しのけ

サッシ戸の開いたところから

家の中に向かって

気でも違ったんじゃないかってくらい吼えたてました

口の端に泡まで噴いて

ワンワンってすごい勢いで

家の中に仇敵でもいるかのように…

ケンタロウのあまりの剣幕に私は呆然となってしまいました。

だって怖いんだもんケンタロウ

私がいるのなんてまるで気づいてないみたい

目を血走らせ

廊下に両足を踏ん張るように乗せ

唇がめくれあがって鋭い犬歯がむき出しにして

よだれを撒き散らして

威嚇の声をたてます。

大迫力


そしたら

家の中からさっきの女の人に伸びてたのと

同じホースみたいなのがびゅんって飛んできて

ケンタロウにぶつかりました。

なんか思ってた音と違いました…

「ゴン!」とかぶつかる音だろうと予測したんですけど

「ゴキリ」ってなんか折れるような音でした

ケンタロウがあんまり煩いから

さっきの女の人が怒ってホースを投げつけたんだろうと思ったんですけど…

違いました。

信じられないことに

ケンタロウがホースに引っ張られるみたいにして

突然、宙へ浮いたんです

そして

そのホースの先っちょ…

ケンタロウの毛に埋もれるようにして

あの女の人の

顔があったんですよ。

紅いリボンがまず見えて

それから

女の人の横顔…

口を耳の方まで大きく開いて

ケンタロウの首に喰らいついてました

ゴリゴリと噛み砕くような

嫌な音がして

ケンタロウの首からは

真っ赤な血が

びゅーびゅー噴出し

私やまわりの草に降り飛沫きました。

熱いのがパパパって顔にかかり

それがすぐに冷えていく…

緑の葉っぱに紅い雫が斑のようになっててさ

なんか物凄く怖いけど綺麗だって思ってしまいました。

なんていうかまともにモノを考えることが出来なくなってたみたい

俺が呆然と見守る中

女の人はケンタロウを咥え

宙に浮いたまま

家の奥へと消えてった。

ゴキリ…ゴリゴリ…

何かを砕くような音

クチャクチャぺチャぺチャ

チュパチュパという

湿った嫌な音が聞こえてきます

今起きたことが現実とは思えず

私は縁側の前で

しばらく呆然と立ち尽くしていました。

それからやっと

怖いのが…とんでもなく怖ろしいことが

起こったと頭が理解して

私は夢中で草を掻き分け

その家の門を飛び出し

一目散に爺ちゃんの家へ向かって逃げました。

生きた心地しませんでした

走ってかく汗と違う…冷たいのがダラダラと背中を流れて

涙で前が曇って見えないし

手とか足とかガチガチで

それを無理矢理振り回して

死に物狂いで走りました

女の人が私を追ってくるんじゃないか

ケンタロウみたいに食いつかれて

家の中へ引きずり込まれるんじゃないか

息も絶え絶え

人の姿が途絶えた集落の主要道を駆け抜け

やっとのことで爺ちゃんの家にたどり着くと

家には爺ちゃん婆ちゃん、

それに父と母と兄も揃ってて

暢気にお茶を飲んでました。

ゼエハアゼエハア

声にならぬ声でみんなの名前を叫ぶと

何事かと言う風に一同はこちらを向きました。

あらあら何やってるのあなたは?みたいな態度がやけにむかつきました

私は靴も脱がずに家の中へあがりこみ

そりゃもう必死で

集落の外れにある家で起きたことを皆に語って聞かせ

ケンタロウを助けてと懇願しました。

さっきまでの暢気っぷりから

爺ちゃん婆ちゃん、それと父の顔色が激変しました。

あの時の三人がした形相は今でも覚えているよ。

怯えと驚きと汚物をみるようなそれがないまぜとなった

なんとも言えない凄い表情でした。

爺ちゃんと父が

体力の限界になった私を

掻っ攫うかのように

引っつかんで家の一番奥の部屋に押し込み

襖までぴっちり閉められました。

「まだいねえでえじょうぶだ」

とか…襖の向こうから声が聞こえました。

それから爺ちゃんと婆ちゃんのなんか怒鳴りあうみたいな声…

「注連縄はどうした!?」

「誰が戸を開けた!?」

「うちの大事な孫が!」

それから何かわけが分からない単語が飛び交う激しい言葉の応酬

「ツナビでもってトジコメねとなんめ」

そのなぞの言葉を最後に家の中は静まり返りました。

そして、

私達家族はその日の内に祖父母の家を離れ帰る事になりました。

昼にもならないうちに帰り支度を父と母がテキパキと始めて

その間

私は一人、奥の部屋にいることを命じられました

帰るとなって家から出るとき

私は藁で編んだロープみたいなのに白い紙で稲妻みたいなのを象ったのが

ところどころ付いたので身体を縛られ

さらに靴じゃなくって

やっぱり藁で作った草履みたいなのを履かされて

父の車まで家族に囲まれるようにして

連れて行かれました。

犯罪者が連行されるみたいな…

家に着くまで絶対に外したり脱いだりするなと

爺ちゃん婆ちゃんにきつく言われました

私が乗り込むと

挨拶もそこそこに父は車を出しました。

見送りの爺ちゃん婆ちゃんは表情を強張らせたまま…

手を振ることすらしないでじっと

去っていく私の乗る車を見つめてました。


帰りの道中

兄は大人達から私の監視役をおおせつかったらしく

藁のロープと草履を取らないように

ずっと寝ずに私を抱きかかえるように傍についてました。

途中はどこも寄らず

普通ならどこかで晩飯を食べていくはずなのに

本当にどこへも寄る事なく

誰も口を開かず

父はハンドルを握りながら

時折、舌打ちをし

「なんでこんなことに…」

母は窓の外をじっと見つめるばかり…

ときおり嗚咽みたいなのを漏らしたりしてます

兄も無言…

私も無言…

家に着くまで

そんな重苦しい車内でした





あの日以来、

私達家族は祖父母の家に行くこと止めました。

年末年始やお盆などご先祖様の供養も無し

祖父母が我が家を訪れることもなくなりました。

それは今でも続いてます。

完璧な絶縁状態です

あの家について

あの女の人について

父だけは真相を知っているらしいのですが

教えてくれません

コメント(5)

ケンタロウかわいそすぎ
こいつが死ねばよかったのに
八尺様のアレンジ風ですね。ろくろ首かぁ・・・。

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

怖い話で眠れなくする!! 更新情報

怖い話で眠れなくする!!のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。