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怖い話で眠れなくする!!コミュの困った人達シリーズ 川の上

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ある土曜日の夜

馴染みのおもちゃ屋で閉店後に、

店長と常連客数名で怖い話をしてました。

最初は稲川とか枝豆とか金造とか新耳袋的なよくある話をしてたのですが

この近辺で一番ヤバい心霊スポットはどこか…

午前0時を過ぎて

話題はそちらの方へと流れていきました。

『××川の首吊りの木』だの『××産婦人科の廃墟』『××の切り通し』『ユースホステルの13号室』

有名どころが出尽くし

かなりマイナーな有象無象なスポットが出る出る

知らねーよ!とブーイングの嵐が吹き荒れ、

だんだんネタが尽きてきた頃

おもちゃ屋の店長が

「うちのすぐ裏手にあるアパート、結構凄いことになってるの

 知ってるか?」

そんなことを言い出したんです。

私も地元なんですが初耳

常連客もほとんどが知らなかったらしく

店長がどや顔で件のアパートについて語りだしました。

築三年で入居者無し

いや、入居者はすぐに入ったのですがあっという間に引き払う人続出

二三日で出て行くなんてのもざら

さらには家財道具そのままに失踪する人間まで出て

建物自体も築三年とは思えない程の傷み様で

誰が見ても築二十年くらいの年季を感じるは

あ、管理者もコロコロと変わるし

土地の所有者がどーにかなったとか

よくある住にまつわる怖い話そのまんまな状況なんだそうです。

店長は商工会の役員をしていまして、

同時に町内でやってる自警団?夜に町内の見まわりをする長も務めてたりしまして

一般の方よりも町内の事には詳しいはずなのですが…

件のアパートがそんな状況である話は伝わっておりませんで…

ある夜、

同じ見回り当番の二人とアパートの前を通りかかった時

二階の一室…ベランダに面した引き戸が全開になっていて

カーテンが外に向かってバサバサと大きく翻っているのを見つけたそうです。

照明ひとつも点灯していない部屋が

いや、アパートの全室ひ照明が灯っていない…

階段や通路にあるはずの常夜灯も消えている…

まるで廃墟のような様相…

背中に薄ら寒いものを感じつつも

店長達は強盗にでも押し入られた可能性だってあると

もう少し近づいて様子を見てみようと

アパートの駐車場を抜けて建物へと向かいました。

一階にある部屋は四つで、

内二つは雨戸がきっちり閉まっていて、残り二つはカーテンもなく

外よりも濃い闇で満ちていて

人が住んでいるようにはとても思えなかったそうです。

二階を見上げると

やはり人がいる気配がまるでない…以前、夜警で通りかかった時には

煌々と明かりが灯り

生活感が感じられたというのに…

「お、おい!」

物思いに耽っていると

仲間の一人がいきなり店長の肩を掴んで、

ここから早く出るぞと促したそうです。

とても緊迫した声色

なにやら不吉なものを感じ、店長は仲間と先を争うようにして

敷地から出たそうです。

で、その仲間が何を見たのか…なのですが

一切、その件に関して語らないんだそうです。

あそこはヤバいから、絶対に近寄るなと言うばかりで…

それで気になって調べたら

住居者皆無のイワク絶対あるに違いないアパートだった…ということだそうです。

「お前等、心霊スポット探検とか夜な夜なやってると聞くが

 あそこだけは止めておけよ

 なにか違う気がするからな」

店長は最後に念を押して私たちに言いました。

店にいる常連客の何人かと私はそういう反社会的趣味を持っていまして

関東近県の有名心霊スポットにはほとんど顔を出している

マニアでした。

そんな私たちが、こんな身近に…そんな有料物件があるとは思いも寄りませんでした。

店長のお言葉

私達に燃料をぶち込んだも同然

ここのところ有名どころと喜び勇んで行ったらガセだったが連発してたので

全員の都合の良い日見つけて是非とも挑戦しよう!

と、店長にばれないように

仲間へアイコンタクトを送っていました。

期待でドキドキわくわくしちゃっているところに

「店長、俺が今から行ってやるよ!」

と、何を言ってるのよ店長が行くなと注意したばかりじゃん!

自分のことは高い棚に置いて憤りたくなるセリフを吐いた空気読めないお方がいました。

ラジコンを趣味とする土建業のおっちゃんでした。

筋骨逞しくちょっと腹が出ている日焼けで真っ黒な五十がらみの…

「××さん、いや本当にあそこはヤヴァいって!」

店長は言いだしっぺだから、おっちゃんが行こうとするのを必死で止めます。

しかし

行くなというのはやる気満々な方には『行け!行け!』と言っているようなものですよ

自分たちがそうなんですから

おっちゃんだって同じに違いないです。

そういうことで

風の谷のナウシカに登場したオオババ様のセリフ

「こうなっては誰にも止められないんじゃよ」

そのままに

おっちゃんはおもちゃ屋を出て一人、

アパートへ向かって行ってしまいました。




たった一人、店から出て行っただけなのに

店内が妙に広く、肌寒く感じました。

心霊スポット探検という趣味を持つ私たちが

なぜ、ついていかなかったかと申しますと

店長からの情報だけでは足りない…とてもGOサインを出すことが

出来なかったからです。

探検には下調べが必要です。

できればその場所にある図書館で郷土史や風土記など読んでおきたいですし

郷土博物館があればなお良し

それが無理で過去の来歴とか知ることはできなくても

地図を見れば過去にどんな変遷があったかの予想は立てられます。

おっちゃんの帰りを待つ間

私たちは店長からさらに細かい情報を得ようと試み

それから、店長が持っている地図…アウトドアが趣味だから毎年

最新年度版の地図を買っている店長にあるだけ持ってきてもらうように頼みました。

店長の奥さんも

階下で何か異変が起きてると察して二階の住居から下りてきました。

奥さんが全員にコーヒーを淹れてくれて

店長が持ってきた埃臭い地図…私はいちばん古いのを手に取り

この辺のページを探しめくっていきます。

まだ、アパートが建つ前の…

「ヤバい!マジでまずいぞあのアパート!!」

同じく別の地図を見ていた心霊スポット探検の仲間が突然、叫びました。

私も調度、

その場所を見つけ…

「旧河道の真上にアパートが建ってる!!」

あそこがどれだけ危険なものか気がつきました。

おもちゃ屋の裏、

商店街の外れに河が流れていたんです。

古い地図には蛇行する河道の面影がしっかりと残されてました。

開発されず、ずっとアシやらヨシやらが生えるに任せて放置されてきた土地…

近年になって急に建物や道が出来て…

まるで人の記憶から消えるのを待っていた…かのように…

私の言葉を聞いて

心霊スポット探検仲間全員が思わず腰を椅子から上げてしまう…

それくらいまずい事態でした。

都会はともかく田舎で川を閉じて埋め立てるような真似はしません。

川に蓋をすることもタブーとされています。

人は古来より川に神性を見出し、竜や蛇、蛟に見立て…

道教呪術儀礼が大和朝廷に伝来して日本各地に広まり、在地の川神信仰と習合して以来

畏れ敬ってきました。

人や土地に恵みをもたらし、時としては牙を剥き命を奪う荒神

古代人は川に生贄や供物を捧げてきたと言います。

川に橋を架ける時に、流されたり壊れたりしないよう人柱を立てた…というのは

それほど古い話ではありません。

二千年以上かけて地域に棲む人間の思いが作り上げた神性

その存続を小なるものによって覆滅された怒りが

旧河道とは知らずに建てたアパートに向けられたとしたら…

「おっちゃんがあぶない!」

あぶない…

危ないからと言って

おいそれと助けに行けるものではありません。

恨みを持って人が死んでなる幽霊なんかとモノが違います。

川神信仰や河伯の存在を語り継がれてきた土地の産です

三つ子の魂…

ひたすら夜明けを待つ…長い夜がはじまりました。

誰もおっちゃんが店に無事で帰ってくるなんて思いません…

朝になればアパートに

おっちゃんがいるかどうか確かめにだけは行ける

そんな感じ

だから心霊スポットは下調べが一番重要なんだよね

全員、一睡もせず

ついに朝を迎えました。

朝日が東の空に顔を出したのを確認し

店内にいた男全員でアパートに向かいました。

歩いて行っても五分とかからないところにそれはありました。

なんで、ずっと私はアパートの存在に気がつかなかったのだろう

築三年とは思えない廃れっぷり

手分けして部屋をさがしていこうと言う事になり

私は一階から…

一階は全て施錠がしてあり中に入るのは無理でした。

おっちゃんは二階端の部屋で倒れているのを発見されました。

意識がまったくない状態

顔自体が倍くらいに膨れ

特に両目のまぶたが

あんぱんでも乗せてるみたいに腫れあがっていて

それから、左腕の骨が折れていました。

あと…悲しいことに小便がズボンを穿いたまま垂れ流しになってました。

匂いからすると大の方も確実に…

とりあえず部屋から出そうと

室内に置き去りにされてあった毛布やらを使って

担架代わりにして

おっちゃんを乗せて運びました



おっちゃんはかなりの間

意識不明で入院してました。

意識が戻ってからも

顔の腫れも引かず、左腕は骨折が直ってもほとんど動かない状態

どちらも医者の見立てでも

奇怪至極の原因不明で…

最後は祈祷師や霊能者を頼ることになりました。


それで

入院中に

おっちゃんはアパートで何を見たのか、体験したのか

私達が尋ねたら

ただ、おっちゃんはその時の事を思い出してしまったのか

唯一動く右腕で自分を抱きかかえるようにしてブルブル震えだしてしまいました。

涙までながして…

それ以上はとてもつっこめませんでした

十年…祈祷師の見立てでは

おっちゃんは顔の腫れが引くのにそれくらい掛かるんだそうです。

左腕はまた別、さらに十年二十年必要とするとか。

アパートで食らった怨念がかなりのものだそうで

全てを落し終えるのは難しいらしいです。

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