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怖い話で眠れなくする!!コミュの赤緑シリーズ それぞれの武器?

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本部長室の前に着き、気持ちを落ち着ける。
フフフ、会いに来てやったぜ?本部長様よ…。

コンコン、と扉をノックする。
思い切ってノックせずに入ってみたい気持ちもあったが、それは止めておいた。

声「…はい、どうぞ」
…よし、居た。

俺「失礼します」
扉を開けて、中に入る。
つい、「失礼します」などと言ってしまった。もっと、堂々としなければ…そう、堂々としても良いはずだ。

声「あら…お久しぶり」

本部長はデスクに座ったまま、俺に声を掛けてくる。
久しぶりに部下が――いや、"元"部下が戻ったのだから、立って出迎えろと言いたくなる。

俺「えぇ…戻りましたよ、本部長」
俺は胸を張って答える。
"元"上司である、この女…本部長、高城沙織に。

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高城「お茶くらいなら出してあげるから、座っていて」
彼女はそう言うと、偉そうなデスクを離れ、続き部屋のようになっている給湯スペースに歩いていく。

…相変わらずだ。

この人…いや、この女は、相手が誰であれ、自分でお茶を淹れる。
お茶汲みが好きだとか言っていた記憶があるが、本当は、ここにいる他の人間を信用していないだけだろう。
変な薬を盛られると、警戒しているのだろうか?
そんなだと、逆に一服盛りたくなる。

…まぁ、どうでもいいか。
そんな事より…っと。
応接セットの贅沢な椅子に掛けながら、俺は彼女の姿を見る。

これもまた、相変わらず…たまらないモノがあるな。
美人である事、胸が大きい事には勿論申し分はないが、俺は何より…あの脚だ。
短めのスカートから伸びやかに、惜しげもなく覗いているあの脚は、いつ見ても最高だ。
俺は素足派だが、網のストッキングもいいな。
今まで何人の男を魅了してきたか知らないが、今日こそあれを俺のモノに…

そう思いながら、無遠慮に視線を送り続ける。
相手はきっと気付いているだろうが、関係ない。
向こうだって、こちらに見せるつもりなんだろう?なら、堂々と見てやるさ。

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高城「…私は別に構わないけど」
お茶を運んできながら、彼女が言う。
高城「街中でそんな風にしていたら、あなた、捕まるわよ?」

…?
あぁ、視線の話か。
俺「いやいや…本部長だけですよ。こんな風に見ちゃうのは」
高城「あら、そう」
テーブルにお茶を置き、本部長が俺の正面に座る。
…残念ながら、足は斜めに上品に揃えている。気にせず真っ直ぐ、楽に座ればいいものを。

そして一口お茶を飲んでから、質問をしてくる。
高城「で…?私に何か用があるの?」

何か用?ときたか。
俺「いやぁ、おかげさまで出世できたんでね…お礼の挨拶に、と」
高城「…」
俺「お世話になりました、ってね」
そう言って軽く頭を下げる。

高城「それはわざわざどうも。藤木…支部長さん」

支部長。…やっと、そう言ってくれる奴が居た。
そうさ。俺はただのヒラから、一気に支部長にまで昇進したのだ。

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俺「いやぁ、まだ呼ばれ慣れないけど、良いものだなぁ」

高城「…そう。良かったわね」
何の感情も込めず、本部長が言う。
きっと、気に入らないのだろう。俺が、異例の昇進をしたことに。

高城「それで、用事は終わり?」
俺「ん…」
高城「用が済んだら、悪いけど帰って貰えないかしら。私、そろそろ帰りたいの」

こいつ…

俺「あぁ…それじゃ、これから一緒にお食事でもどうです?」
高城「食事?」
俺「はい。お世話になったお礼に、奢らせて下さいよ」

本当は俺の昇進祝いでもして欲しいところだが、まぁ、それは良いだろう。
でも、ちょっとくらい何かサービスしてくれるだろ…?

高城「残念だけど、お断りするわ。…私、この後用事があるの」
俺「…そうですか」
あっさりと断られる。用事があるだと?本当か?

俺「じゃあ、また後日に――」
高城「ダメね」
俺「…え?」

高城「私、あなたから誘われた日は、きっといつも用事があるわ」

……
この女…!

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俺「…何だか、随分と嫌われているみたいですねぇ」
高城「嫌われていないと思う?」
そう言って彼女は立ち上がり、自分のデスクに行く。

俺「一気に出世したのが気に入らないのですかねぇ?」
高城「…」
俺「うちじゃ、本部長も支部長も、同じ"ランク"ですからねぇ」
イヤミを込めて言いながら、デスクに向かうその脚を目で追う。

本当に、たまらない身体をしてやがる。
今夜何とか誘って、と思ったのに。そのために、わざわざ来たというのに…。

高城「ランクがどう、とかは気にしないけど――」
やがて脚がデスクに隠れ、見えなくなってしまう。
見られても構わないんじゃないのか?クソ…。
誘わせないと言うなら、もっと見せてくれたって良いだろうに。

高城「そのやり方が、気に入らないわね」
俺「…あぁ、それかい」

高城「人を殺して出世だなんて、ね」

俺「…フン」

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俺「俺は、上の人間の指示に従っただけだぜ?」
高城「上の人間ね…。まったく、何を考えているのだか」
理解できないといった感じで、ため息混じりで呟く。

俺「それが気に入らない、って事は…上に対する反抗と思っていいのかな?」
やや挑戦的に言ってみる。
たとえ彼女だって、上に悪く思われる事は好ましい事ではない筈だ。
…が。

高城「別に、どう取られも構わないわ」
俺「…へぇ」
高城「私はあなたと違って、ただのイエスマンじゃないの」

……
クソ、年下のクセに…。本当に、生意気な女だ。

俺「俺はな、自分の実力で出世したんだよ。それが暴力だった、ってだけの話でな」
高城「野蛮ねぇ」
俺「あんただって…その身体を使って出世したんだろ?上の人間には、随分と可愛がってもらっているんだろうなぁ」
この女がその若さで――確か28だ――本部長にまで出世した秘密として、一部で噂になっていることだ。
誰でも考えそうな安っぽい噂だが、あながち間違ってはいないと、俺は信じている。
…なぜなら、俺がもしこの女の上司だったら、絶対に放っておかないからだ。

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高城「品の無い話ねぇ…」
当然本人も、周りにそう思っている人間がいる事は知っているだろう。
…が、彼女は歯牙にもかけず、噂を完全に無視している。

高城「まぁ、どうでもいいけど」
そう言いながら、彼女はデスクの上を整理し始める。
高城「あなたとは相容れない仲だって、よく分かったでしょ?」
俺「……」
高城「まだ何か、ある?」

しまった…。
少しでも近付いて、いつかモノにしてやろうと思っていたのに、逆に決別してしまった。
何をしに来たんだ、俺は…。

高城「用事が済んだのなら、もう良いわね?」

…いっそのこと、押し倒してやろうかと思ったが、止めておいた。
こいつは、上の――そう、「一番上の人間」に気に入られている。
もしそれに手を出そうものなら、俺は終わりだろう。…あらゆる意味で。

俺「あぁ…帰るよ。またな」

"また"と言ったことに対して何かあるかと思ったが、何も反応はなかった。

腹立たしいが、仕方ない。
俺はそのまま部屋を出ると、真っ直ぐに出口に向かい、本部を後にした。

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――
帰り支度を終え、残っている事務員に声を掛けてから外に出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。

駐車場で私を待ち続けていた愛車に乗り、キーを回し…少し考える。

あの男…藤木徹。
半年前までは私の部下だったけど、上から直接仕事を与えられ、その結果、支部長となった。
…まったくの、異例の人事。
私を通さずに上から直接仕事がいった、というのもおかしな話だったし、
一気に支部長にまで――うちの組織で言うと、係長や課長、部長を飛び越えて、その上までになるなんて、異例中の異例だ。

…確かに、仕事の内容は異常なものだった。
人を1人殺すこと――しかも、同じ会の人間である桐谷達夫を――なんていう内容だ。

後になってから、私は桐谷の口を永遠に閉ざす必要があったことを、説明された。
その話から、私を通さなかった理由と、なぜ藤木を使ったか、という事も悟った。

勿論、納得はできなかったけど…。

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藤木は某県の支部長になった訳だけど、それは肩書きだけで、支部にも行かずに毎日ぶらぶらしているとは聞いていた。
そうして色々と遊びまわって…それに飽きたのか、それとも何かの頃合いだと思ったのか、今日になって突然、本部に戻ってきた。

目的は…どうやら、この私だったみたいだ。
以前からそういう目で見られていることは知っていたけど、
私と同じ地位を手に入れたからって、何とかなるとでも思った…?
まったく、バカな男。…あの人とは大違い。

私はルームミラーの角度を変え、そこに映る顔をじっと見つめる。

…少し目つきがキツイところはあるけど、自分の顔に自信はある。
そしてそれ以上に、このスタイルにも自信を持っている。
これこそが、私の武器だから。

人からジロジロ見られることは、それ程気にならないし、それが好色の目であっても構わない。
自分で意図を持ってそうしているのだから、文句は言わない。

でも…頭の悪い男の相手は、したくない。
今、自分がどんな立場にいるのかを理解していない、そんな男なんて…論外よ。

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