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怖い話で眠れなくする!!コミュの赤緑シリーズ 夢の記憶

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1/10
夢を見る…。

よく同じ夢を見る。
女の人が泣いている夢。
顔は分からないけど、その声や仕草で女性と分かる。年の頃は二十歳くらいか。
大人がメソメソと泣いて…みっともない。

傍に男が居る。
泣いている原因はこの男だろうと想像できる。
女に何かを言っている。
決して慰めている訳ではない。威圧的に、嘲るように、悪意を持って何かを言っている。

女も何かを言い返すが、男はまったく動じない。
むしろそれを楽しんでいるかのように見える。

見える…。見える…?
そこに居るけどそこに居ない私は、どこからこれを見ているのだろう?

やがて2人の姿が消える。…いつもここまでだ。
この先を見ることはできず、全てが闇に包まれ、大きな波が訪れ…
時を告げる音と共に、私は目を覚ます。

2/10
名前に意味はない。

私は初めからここに居る。
いつ自我に目覚めたのか?その瞬間を覚えている人間なんて居ないだろう。
私は目覚めた時からここに居て、この姿を持っていた。
一般常識といえる知識と…呪いや占い、霊に関してのたくさんの知識を持っていた。
そして鏡を見たとき、自分を美しいとも思った。
自分を完全な存在だと思った。

…でも、名前だけが無かった。

私はこの中を歩き回り、名前を探した。
そしてふと、床に落ちていた1つの名札を見つけた。
そこにはこう書かれていた。

「白谷佳澄」

これを私の名とした。

3/10
私の持つ価値観。

それが他人とは大きくかけ離れていることは、よく分かっている。
人は全て、物。その思考・感情には何の意味もない。
それが正しいとか間違っているとか、そんなことはどうでも良い。
きっとこれこそが、私の存在理由だから。

…時計の音で目が覚めたものの、今日はこれと言ってすることが思いつかない。
もう、美加や古乃羽の傍にいる必要も無くなった。
私のものにして、大切に可愛がってあげようと思ったのに…。

既に他人が愛でた物。ましてや、あの女が唾をつけてから捨てたものなんて、冗談じゃない。
壊してやろうかとも思ったが、何だか虚しくなってやめてしまった。

あぁ…今日はもういいや。
また眠ろう…。
ひょっとしたら、今日こそ夢の続きが見られるかもしれない…。

そう願い、私は再び目を閉じた。

4/10
夢を見る…。

よく同じ夢を見る。
あの日のこと。
頭から冷水を浴びたような衝撃。激しい怒りに身を震わせた日。
夫を失うことになり、結果として他の大切なものも失うことになった、あの日。

あれからもう何年も経つのに、いまだに夢に見る。
最近は物忘れも多くなったというのに、これだけは忘れらない。

「全ての罪を被る」

そう言われても、残された私たちから罪の意識が消える訳でもない。

陸は、上手く折り合いが付くようにしてくれた。
少しでも世のために働くことで償いになるだろうと、除霊を行うように提案をしてきた。
ならばと思い、私たちはそれを行っていたのだが…それで陸が命を落とすことになってしまった。

5/10
予感はしていたのだ。
陸の中には、どこかしら死を望むようなところがあったから…。

今は、舞が除霊を手伝ってくれている。
私はそこにも一抹の不安を感じてしまう。
彼女も陸と同じように、死を望んではいまいか、と。

舞が何を考えているかなんて、私には到底分からない。
そもそも彼女は、誰かに心を開くことがあるのだろうか?
家族ならあるのかも知れないが、他人にはどうなのだろう。

彼女はとても魅力的だ。女の私でもそう感じる。
陸が生きていれば、お嫁に…なんて思ってしまう。
まぁ、陸には勿体なくて釣り合わない気もするが。

舞には幸せになって欲しいと思う。
私の家族は、ことごとく不幸な道を辿った。
彼女を家族と呼ぶのはおこがましいが、幸せな道を歩んで欲しいと切に願う…。

6/10
夢を見る…。

よく同じ夢を見る。

…って、違うか。
今の私には寝る習慣が無いから、これは一般に言う「夢」ではないのだろう。
物思いに耽っていると、どこからかやってくる記憶だ。
捕らえようとすると遠ざかってしまう記憶。漠然としか捕らえられない記憶。

以前から見ることはあったが、あの病院に行って…あの手形を見てから、頻度が上がった。
そのお陰で、段々と内容が分かってきた。

部屋の中。小さい女の子が人形で遊んでいる。
この女の子は…私だ。これは間違いない。
お勉強をさせたり、着替えをさせたり。
お行儀が悪いと言って叱り付けたりもしている。

7/10
誰かが私を呼ぶ声がする。
でも私はまだ遊んでいたい。
遊んでいたいが…呼んでいる人の言うこともきかないといけない。

私は返事をしつつも、玩具の櫛で人形の髪をとかしている。
優しく声を掛けながら、そうやって遊んでいる。

しかしやがて、私を呼ぶ声が大きくなる。
あまりに来ないので、怒っているのかもしれない。

怒られるのは嫌だ。
普段は優しいけど、怒ると怖いもの。…は。
……
ここは思い出せない…。

仕方が無いので、私は行くことにする。
きっと夕飯の時間とか、そんなことだろう。

8/10
私は立ち上がるが、人形は連れて行けないので置いていく。

私はその子に言う。
帰ってきたらご飯にしますからね。
良い子でお留守番しているのよ?

私は行く。
その子は1人でお留守番だ。

でもその子は文句1つ言わない。良い子で待ち続ける。
黒いボタンでできた目で、おめかしをした格好のまま、私が帰って来るのを…迎えに来るのを、待ち続ける。

私は急いで戻り、その子を安心させてあげるのだ。
そしてご飯を食べさせてあげる。
その子の好きなものを食べさせてあげる。
美味しいデザートもつけて…。
寝るときも一緒に…。

9/10
そうして記憶の波が去る。

私はこうなると、いつも悲しい気分になってしまう。
初めて記憶の断片を掴んだときは、我知らず涙を流していた。

きっと、私にもそんな時代があったこと、それを思い出せないこと、
そしてもしかしたら、どこかであの子がずっと待っているかもしれない…、そう考えてしまうから。

……そんなことを思いながら、街を歩く。
1つの目的を持って。

やはり私は行かないといけない。もう一度、あの病院に。
とても嫌な場所だったけど、あそこに何かがあるのは間違いない。

もちろん以前決めたように、1人で行く気はない。
そこにあるものに縛られ、飲み込まれてしまったら、私はきっと…。
せっかく手に入れた自由を、手放すのは嫌だ。

誰か一緒に行ってくれる人は居ないかなぁ…と考えると、やはりあの人。舞と名乗っていた、あの女の人。
あの人と行ければ良いのだけど…如何せん、どこにいるやら分からない。
うーん、連絡先でも聞いておけば良かったな。ちょっと後悔だ。

でも仕方ない。他にも頼りになりそうな、私を見ることができる人は居るはずよ。
もっとも、死相が浮かんでいたらアウトだけどね。

10/10
彷徨いながら、力になってくれそうな人を探す。
…これって、幽霊がする典型的なことかな。
成仏するために願いを叶えてくれそうな人を探して、取り憑くなんて。
迷惑がられたら止めよう、うん。無理に取り憑くのは悪い霊のすることだ。

できればカッコイイ男の人で…思わず私に惚れちゃうとか。
最後には悲しい別れが待っているかも知れないけど、そんな映画みたいな展開も悪くない気がする。

そんなことを考えているうちに、私はとある駅に着いた。
あの病院の最寄り駅と言えるこの場所。ここは人の出入りが多い。
…よし、決めた。
私は近くのベンチに腰を下ろす。

ここで待とう。運命の人が現れるのを。
あの子みたいに、私も待ち続けよう。

いつか…
いつか、きっと帰るから。迎えに行くから。
それまで良い子にしていなさいね?

私の、大切な…。

コメント(2)

出演者が多くて、感情も変わりが早すぎて何が何やら分からなくなってきちゃいました冷や汗
面白いには面白いのですが、所々意味が分からないですげっそり難しいシリーズですねあせあせ(飛び散る汗)

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