『紅茶とあいつ』コミュの『紅茶とあいつ』(第17話)

『小雪今日から昼休みサッカーの練習なんだって？』



『あ…うん！そーなの！』



結局、昨日は自己紹介や、練習日程とかおおまかなことを決めて解散した。



今日から来週の水曜日本番までの昼休みはサッカーの練習になった。


昨日は…五十嵐に元カノって言われたことがやっぱりショックだった。


うん…


だけど大丈夫。


だって実際元カノなんだから！！


現実は受け止めていかないとこれからやっていけないし!!!!


それに普通に話せたことが一番嬉しかったのは変わりないし…


きっと少しずつ、きつい思いしながらも立ち直っていくんだって思うから。



それに今は球技大会頑張りたい気持ちが強いから、余計なことごちゃごちゃ考えないでただひたすら頑張ろうと思う。



『あたしも今日からバレー練習だよ☆小雪、ちゃんと運動着持ってきた？』


『うん！！もち☆体操服ちゃんと持ってきた。』


『そう！………………体操服？………まさか体操服だけ持ってきたってオチとかじゃないよね♪………まぁいくら小雪でもこんな季節にそんなドジはしないか！』



『まさかぁ…………………………………………………………そか…体操服って半袖なんだね。………………………………
いやぁ！！！！！！！！絶対寒い！！！！！無理！！！！！どうしよ。みっちゃん！！！！あたしまた馬鹿やっちゃった！！』


私はどうしてこんな馬鹿なんだろ。


しかもよりによってジャージの下は持ってきている。


一番ださいコーディネート。




『はぁ………本当あんたはポケーってしてるんだから。自分に寒む死んでエルスって言ってるようなもんよそれ…あたしジャージ一枚しか持ってないから貸せないしなぁ……。』



『だよね〜………だだ大丈夫だよ！！走り回って体あっためるし…どうせすぐ暑くなること信じて半袖半ズボンで頑張るしかないわ★ジャッゲ姿だけはいやだしね。』


※ジャージ下のみ＝ジャー下＝ジャッゲ



『よし！それでこそ小雪！あたしの認めた女！あんた名前からして冬っ子だから。寒さになんか負けんじゃないよ！根性見せろよ！！』



『おぅ！！！！！ガッテンだぁ☆★』








とは言ったものの


ピュルルルル〜



『ヒャァァァァ〜〜〜…』


やっぱり


尋常じゃないくらい



寒い。


風冷たい。


しかも恥ずかしい。




『こ…こ…小雪ちゃん大丈夫？』


『いくら小雪って名前でも、それはちょっといくらなんでも寒死んでエルスでしょ？』


本日二度目の寒死んでエルス。


みんな心配してくれている。


優しい……



『だだだ大丈夫………。寒いけど、健康にもよさそだし！』


ガタガタガタガタ

ブルブルブルブル



『いやぁん！小雪ちゃん！！！なにぃ！？ちょっと！見てるこっちが寒いわ。やめてよ！上着どうしたの？』


あ…杏奈ちゃん。


わぁ…ファー付きの可愛い上着来て、可愛いしあったかそ〜。



『忘れちゃって…アハハハハ』



『うわ！小雪！お前…寒いだろそれ！！』



あ…五十嵐。



『アハハハハ…大丈夫。すぐ動いてあったかくなれるし。』



『大丈夫じゃねぇだろ！お前って本当ぬけてるよなぁ…とりあえずお前おれの上…』


バサッ



『これ着とけ…風邪ひくだろ。』


新庄が私にジャージを渡してくれた。


『いいの？』


新庄はうなずく。



『…………ありがとぉぉぉ…』




『俺野球のときに使うトレーナーあるし。………けど…多分デかいぞ。』



あっ…確かに。あたし身長150しかないからな。



『着てみるね！』



ダボ………

ブカブカ。



『ぷ………やっぱデカイな…ごめん…でも今日は我慢して。』


新庄は子供みたいに笑った。



『アハハハハ…うぅん！ワンピースみたいだね★……布が多いからあったかいよ！嬉しい！新庄ありがと☆』



『どういたしまして。』

新庄は顔を赤くしている。


また照れてる。


新庄はやっぱり言葉も表情も全部クールなんだけど


すごく優しくしてくれて、


あたしが困ってるときにいつも助けてくれて、


お礼を言えば少し照れる。




新庄のジャージのあったかさに少しだけ私はドキドキしている。


だけどなんか落ち着く。




ボソッ


『春陽は誰にでも優しいんだから勘違いしないでね☆小雪ちゃん♪』


杏奈ちゃん…

耳元でささやかれた。


『かか勘違いって!?!?』


『ふん…なんでもなぁーい♪』


なんだろ…


なんか杏奈ちゃんが冷たかったわけじゃないんだけど、


ちょっと嫌な気持ちになった。



『こ…………小雪やったじゃん！！！』



『あ…五十嵐…うん！おかげでぬくぬく…新庄いて良かった！！！』


新庄のおかげで、五十嵐の前でも笑顔になれる。



『ハハ………そだな。………………………
よーし！じゃあみんな練習始めっぞ！！！まずはパスなんだけど、やっぱり女子はサッカーあんまりできないだろから男女ペアでやる。だから男子は女子に徹底的に教えてやって。男が10人、女8人だから一つは男ペアになるけどまぁとりあえずくじ引き〜』


あたしとなる人可哀想だなぁ…申し訳ない。

『1番の人！！！』

『げ！お前とペアとかまじ勘弁。』


『あ…あたし3番…』

『あ！俺もだ！よろしくね。』

みんな順に決まっていく。



あたしは…

『5番だ…すみませーん！5番の人誰ですか?』



『あ…あのぼ僕が5番であるので………僕とペアでありますね………。』


見ると、C組の黒ぶち丸眼鏡で体の細い、いかにも運動はしないけど頭がとてもよさそうな男の子だった。


あ…昨日自己紹介で……名前なんだったかな…


『あの！よろしくね！あたしめちゃめちゃ下手だから迷惑かけると思うけど、名前は堤下小雪って言います。えっと…ごめんなさい。名前なんだったかな??』



『丸山田です。よろしくお願いいたします。しかし…私サッカーなどしたことありませんので困りましたね…堤下さんに教えてあげるどころか僕が教えてもらいかねない。いやぁ大変困りました。できたら男性が良かった…………って別に堤下さんを嫌と言ってるわけでなく……僕はサッカーよりも作家を目指している者………って今のはダジャレじゃなくたまたまでありまして………ブツブツ…』



別にあたしはいいのに、丸山田君はとっても困ってる。


あたしが下手なばっかりに……


うまくやってけるかな…




『春陽！？え〜！！春陽と俺がペアじゃん！？』

五十嵐が叫んだ。

『あ…本当だ』



『え！？よりによって男子ペアが代表お前ら二人!?二人ともサッカー部並みにうまいんだからお前ら組んだらもったいねぇよ。』


男子はみんな反対している。


そんだけ二人ってうまいんだなぁ〜


部活サッカーじゃないのに。



『まぁ〜…春陽とやって見たかったけど！！仕方ねぇ…どっかのペアと代わるしかないな！！！春陽見た感じどこと代わったがよさそうって思う…？』




『……代わったがよさそうっていうか…淳……俺のわがままとか言ってもいい？』


『あ〜………うん！』


『俺こいつとする。てかする約束してたから堤下とやっていい？』


へ…


『あた…………あたし？』


あんな約束………


覚えてくれてたんだ。


『なななんで小雪！？！？こいつに教えんの大変だろ！？！？！？』


五十嵐は驚いている。

そんなにあたしとのペアってなりたくないものなのか………トホホ。


『約束してたのもあるけど、こいつ頑張るって言ってて、俺が教えたい…うまくしてやりたい…って思うから。』


新庄…


こんな風に私を気にかけてくれる。


あんなちょっとの約束も忘れないで、


自分が教えたいって言ってくれている。



『はい！！！ぜひそうして下さると僕も助かります！！！！五十嵐君がペアだとさらに頼もしい！！！！僕はサッカーなど昔体育で少ししかしたことなく、ボールをペンッて蹴るよりボールペンを握ってきた人生…って今のはたまたまダジャレになりましたが……なぜなら僕は小さい頃から作家になりたくて…………ブツブツ………』



『お……ぉぅ……そうか......二人もそう言うなら別に。
小雪も春陽としてぇか？』


真剣な顔で五十嵐は私を見た。


え………


…あたしがしたいと言ったら五十嵐はどう思うのかな。



少しは何か思ってくれるのかな…



だめだ。


こんなこと考えちゃだめ。


教えてくれると言ってくれてる新庄にも失礼！！


余計な感情ははさまないでただあたしの正直な気持ちを言うんだ。



『こここんなあたしなんかに教えてくれるって新庄が言ってくれて嬉しいから、あたしも一生懸命努力してこたえたいって思う。あたし新庄とやりたい！！！』


五十嵐の真剣な顔が


ちょっとして


ニコッと笑顔になった。


『そか。じゃあペアは交代！！丸山田ー！俺とペアで後悔すんなよ。』


『はい！！！もちろんです。僕はコロンブスやマゼラン、ヴァスコ=ダ=ガマのような偉大な人としか航海するつもりはありません。しかもあなたは五十嵐………君との航海では通常の五十倍の嵐を巻き起こし船は破壊し………ブツブツ……』


『・・・・・・・・・』


『あああたしボール取ってくるね！！五十嵐達の分も。』

バタバタバタバタ。


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小雪は倉庫に向かって走って行った。




『なんか…わりぃな。丸山田???ちょっと変わってるな。淳…本当良かったの？』


『丸山田と俺小学校から一緒………意外に仲良し…………それにあんなはっきりやりたいって言われちゃ仕方ねぇし………。』


五十嵐は小雪が走って行く方をみた。


『淳……………』

『……………あ！まじ全然いいから。』


『お前いい奴だな……。ありがとう。』


『なぁ………………春陽さ…………』


『うん？』


『やっぱなんでもねぇ〜』


『………絶対あるだろ。』


『また今度にするわ。』


『そか…』


五十嵐と新庄は沈黙で小雪がボールを持ってくるのを待った。


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五十嵐


ありがとう。


私ようやく実感してきたみたい。


あなたがスッパリ距離をとってくれるから


私は五十嵐にもう好きなそぶりなんて少しも見せちゃいけないと意識できる。


ちゃんと邪魔な感情は抑えられる。



新庄と一緒にやりたい


五十嵐にひきとめてほしい


二つの感情が私にあって…


新庄と一緒にやりたいっていう正直な気持ちはぶつけたけど、



五十嵐にひきとめてほしい正直な気持ちは抑える。


こうすることは全部


あなたを諦めるため。


前に進むため。



…つづく