『紅茶とあいつ』コミュの『紅茶とあいつ』(第13話)

『それでは恒例の球技大会の種目についてですが今年も男子がバスケとソフト、女子がバレーとテニス、男女混合がサッカーになります。』



毎年12月は球技大会の時期。



寒絵留高校の年間イベントでも体育祭や学園祭につぐ、学校全体で取り組む大きいイベント。



クラスの結束力がより強くなることを目指して行われてるらしい。



『一人一種目です！総合優勝のためにもぜひとも得意な種目を選んでくれたまえ諸君〜！』



ザワザワザワ………



運動音痴の私にとってはちょっと気がひける。


と言いたいとこだが団体戦にはとことん燃える！


こう見えても下手でも120%でやりたい精神でこれまで生きてきた☆



『俺絶対ソフト！！〜野球部だし！！絶対勝ちてぇ。』


『俺も！あたりめぇ〜だ！！』


『俺はスケベ！！じゃなくてバスケ！』


『あたし達テニスにしよっかなぁ。そだそだ♪みんなでユニフォーム揃えたりしなぁぁい!?★可愛い短いスコートとかはいちゃう！？』


『お！！いいねいいね！じゃあ俺バスケやめてテニスコーチ』


『西口黙ってて。』


『あ!?やっぱり俺ってバスケよりスケベ!?!?』


『うざい！！』


『てかこんな真冬に短いスコートとか、サムシングエロス！！！！！なんちゃって』


『うざい！！』




ちなみにこの子はクラスのムードメーカー西口。


いい加減なクラス委員&体育委員。お調子者のおばかさん！！
だけど一番A組を盛り上げてくれてなんだかんだみんなに慕われている男の子。


それにしてもみんなからウキウキ感が伝わってくる！

この雰囲気いいな。好きだな。


さて…あたしは何にしよっかなぁ……


可愛いスコートがはけるテニスにしよーか…


『小雪！！！！！うちらはサッカーやるよ！』


『え゛！？サッカー！？』


やばい！サッカーは昔から下手くそだから避けたいと思ってたけど……





『あたしの自慢の足を活かしたいからさ！
それにあたしには運動不足の小雪を鍛える使命があるし！テニスはいかにも可愛い感じであたしの性にあわないし…あんたサッカー絶対下手でしょ？鍛えがいありそうだわ★
あ〜……英語とか数学とか勉強は苦手だけどスポーツってなるとあたしに任せろって感じ！！ひゃあ〜！！……楽しみ☆………
あ！！！おばか体育委員さぁん！！！あたしと小雪はサッカーで〜』



もうこうなったみっちゃんの勢いはとめられない…



勝手にそんな使命を授からないで…



『あたしサッカーとか昔体育の授業でもボールにさわれなかったくらいだよ…あたしにできんのかな……トホホ………
あああ"〜〜〜〜！！
てかみっちゃん！！！
サッカーって男女混合だよ！！！！！』



『へ？それがどうかした？』



『…………………そだねそだね…言った私の間違いでした！みっちゃんにはこの気持ちは分からないわね〜』




男女混合の種目がある球技大会は寒絵留高校ならではで結構珍しいんじゃないかなと思ってる。




だけど男子は女子のレベルに合わせるのがめんどくさくて、女子は男子のレベルについていけるわけがないとみんな避けたがる不人気種目なんだ。




『むしろ男子のレベルに入れるとかなおさら燃える☆』


みっちゃんにはむしろ火をつけてしまった。



みっちゃんが大声で体育委員に伝えたことで、不人気なサッカーがとりあえず二人確定したことにみんなありがたい目で見てくる。



今断れば、冷たい視線を浴びるだろう。




でもまぁ決めたことだ！！！


120%精神はもちろんだし、こうなったら頑張って練習するっきゃないな！！！



『え〜！！新庄！！！お前野球部なのにソフトしねぇの！？サッカー？』


ザワザワザワザワ


あ…何かあっちで新庄のことで騒いでる。



『うん。野球は毎日してるし誰かが人気のないサッカーしないといつまでも決まらないしね。それに俺結構サッカー好きだしたまにはいいかなと思って。』



『お前ソフト入ったら絶対強いのにもったいねぇー！駄目だ！』


西口は必死に止めている。



新庄やっぱり野球うまいんだ。


みんなも新庄にはソフトに出てほしいとざわついている。


新庄の(ソフトだけど)野球姿見てみたいな。


だけどサッカーなら一緒の種目…つまりは同じチーム…


どっちでもいいかも☆…ふふふ★


ってあたし何考えてるんだろ…！！



アハハ！バカバカ！！





『みつこみつこー！！！お願い！球技大会バレーしてくれない！？うちのクラスバレー部多くて、みつこ体育のときバレー部よりもバレーうまかったからみつこ入ったらまじ優勝狙えると思うんだよね！！！サッカーは一応してもいいって子、今確保できたから！！お願い♪』



『え〜けどあたし小雪にサッカー教える使命があるし…』



『そこをなんとか！お願い！！！みつこしかいない！みつこがバレー優勝そして総合優勝に導く期待のキラキラ星！光子なだけに！』


みっちゃんの目がキラーンと変わった。



たかちんさすが、みっちゃんののせ方分かってる…




『…………ぬぁ゛ー！！だけどあたしには小雪を鍛える使命が…』



『みっちゃんあたしはいいから！！そんな使命勝手にみっちゃん決めただけだし！気にせずバレーにしなぁ☆』

『うん！する！！！ごめん』

即答。



まぁみっちゃんらしい反応。




『あ！！！』

みっちゃんが大声で叫びクラスみんなみっちゃんに注目する。


『そーだ！
新庄ー！！！！あんた小雪にサッカー教えてくんない？あたしバレーになって教えれなくなってさぁ。あたしが勝手に小雪巻きこんじゃったから…私には使命を誰かに託す権利が…
なんとなくあんたが小雪うまくしてくれそうだからあんたに使命託す。』

・・・・・・・・・


えーーーーーー！！！


『みっちゃん何言っ………』


『別にいいよ。』


え………



『うちの小雪どんくさいけど根性はあるからしっかり育ててよ。』


みっちゃんは私のほうをみてこっそりウィンクする。


なぜそんなことを？？？？？？？



『……自信はないけど。てことで立石から使命託されたから俺サッカー決定でいいかな？それにソフトはメンバー結構みた感じ強そうだし、どうせならサッカーも勝ちたいからそっち頑張りたい。』



『はい。光子様と春陽君には僕はかないません。』


体育委員のクラス一うるさくておふざけ担当の西口も納得し、全部の種目のメンバーが決まった。



新庄とサッカーの練習！？！？

そんな迷惑かけれないよ。


どうしよ…


新庄もみんなの前だしあー言うしかなかった状況だったから、めんどいって思ってるだろな…申し訳ない。


トン。

『ん?…………あ…新…』


『明日から昼休みは本番まで練習な。』

ドキッ



『………本当にいいの!?』


『だって勝ちてーもん。俺こう見えても結構負けず嫌い。』


新庄のクールな雰囲気からは意外な反応だ。


『私運動音痴でみんなにも迷惑かけるかもだし、新庄にも面倒かけることになってごめんね！』


『女子はみんな下手だし気にすんな。』


新庄はニッコリ笑ってくれた。



あたし今きっと顔赤い。



『てかあんたいるとなんか楽しそうだし、それもあってサッカーにしたとこあるし。』


ドキッ


え…………?

それって私がいたから…


ん゛…………?


『ああ！！…それってあたしのどんくさい姿みたさに選んだってことぉー!?』



『………………………まぁ、それでいいよ』


『新庄みてろよ！あたし頑張っちゃうんだから！一週間でうまくなるから！』


新庄はまたいつもみたいに優しくクールに笑っている。



『だけどどうせならサッカーメンバー来れる奴みんなでした方がチームワークよくなるよな。』


『チームワーク!?新庄の口からそんな言葉でるなんてビックリ！！…』


新庄は顔を赤らめて、


『うるせぇ…勝ちてーの！！』


『アハハ♪』




二人だけの練習じゃなくなったのは、


ちょびっと残念だと思ってる。



だけど

負けず嫌いな新庄…


球技大会に本気な新庄…


チームワークを大切だという新庄…


意外だったから、

ちょびっと可愛いと思ってしまった。



球技大会ますます楽しみになってきた。



『あ！！みんな席ついて！！…全員種目決まったね。

一つ言い忘れてたんだけど……』




この時まで…私はただがむしゃらに球技大会に取り組めるんだと思っていた。


私に神様のいたずらがあるなんて思いもしなかったんだ。



……つづく