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日本企業の動きコミュの139.海にプカプカ浮かぶ風力発電所、ただいま建設中 誰もが二の足を踏む巨大プロジェクトを即決で引き受けた

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 福島県沖に世界初の浮体式洋上ウインドファームを作る――。東日本大震災から半年がたった2011年9月ころ、初めてこの巨大プロジェクトの構想を聞きました。正直なところ、最初の印象は「そんなことできるの?」「やる人いるの?」というものでした。
 日本は再生可能エネルギーについては後進国です。世界では、発電コストが安価な風車は再エネの中心。ところが日本に建っている風車の本数は少ないし、当時は着床式の洋上風力もほぼ皆無でした。
 それなのに一足飛びに、技術的にできるかどうかもわからない浮体式を福島県沖に建てるといいます。政府主導で原子力発電所事故後にふって湧いた巨大プロジェクトに、風車業界は及び腰でした。
 ですが、この巨大プロジェクトは、いままさに、現実のものとして進行しています。なぜでしょうか。丸紅の名物プロジェクトマネージャーが「俺がやってやる」と手を上げたからです。
 その人こそ、この連載の主人公である丸紅国内電力プロジェクト部の福田知史部長です。福田部長にお話をうかがいながら、巨大プロジェクトの進捗を追いかけます。連載第1回は、プロジェクトの始動秘話をお届けします。

 やっとここまで来ました。この巨大な風車の迫力、伝わるでしょうか?

 この風車は、福島県沖に建設する浮体式洋上ウインドファームに持っていく実機です。巨大な浮体の上に、これまた巨大な風車を載せてあります。全長122メートル、羽根(ブレード)の直径80メートルの大きさです。ここは、三井造船の市原事業所。日立製作所が開発したばかりの浮体用風車を運び込み、ここで三井造船の浮体にドッキングさせたのです。

 いよいよ6月28日には福島沖を目指して出発する予定です。約1キロメートルにもなる船団を組み、4日間かけて浮体式風車を引っ張っていきます。東京湾をこの風車が横断する様は、おそらくものすごくダイナミックな光景になるはずです。

(取材/構成:日経ビジネス編集部・山根小雪) 2013年6月26日(水)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130624/250110/?rt=nocnt

世界初のビッグプロジェクト

 このプロジェクトは、福島県東部の双葉郡から沖約20キロメートルのところに、プカプカと浮かぶ風車を建て、発電した電力を同じ双葉郡にある東京電力・広野火力発電所まで海底ケーブルで送ろうというものです。日本は海岸線から離れると、すぐに水深が深くなるので、海底に風車を固定するタイプの「着床式洋上風力」の適地はあまり多くありません。しかも、海岸線から近いエリアは漁業も盛んです。

 そうはいっても、日本は島国。海の上を活用しない手はありません。海岸線から遠く離れた海上に発電所を作る、浮体式洋上風力は日本にぴったりの方式なのです。

 今回のプロジェクトは、今夏に2メガワット(1メガは100万)の浮体式の風車を1基、来夏には7メガワットのものを2基建てる予定です。最終的には、3基のプカプカと浮かぶ風車と、これまたプカプカと浮かぶ変電施設をケーブルでつなぎます。

 ここまでは政府の実証研究事業で、日本有数の企業が集まったコンソーシアムで実施します。丸紅はプロジェクトリーダー。メンバーには、東京大学、三菱商事、三菱重工、ジャパンマリンユナイテッド、三井造船、新日鉄住金、日立製作所、古河電気工業、清水建設、みずほ情報総研が名を連ねます。

 浮体式洋上風力は、世界で複数のプロジェクトが進行していますが、いずれも風車は1基だけ。しかも、変電設備は陸上にあります。ただし、たくさんの風車を海上に浮かべた大規模な浮体式洋上風力発電所を作るには、海上の変電設備は不可欠です。

 今回のプロジェクトには、商用の浮体式洋上風力をやろうとしたときに必要な要素が、ぎっしりと詰まっています。浮体の変電設備を持ち、複数の風車を建て、ウインドファームとして運用するのは、世界初。しかも、誰もやったことのないビッグプロジェクトを、これまでの何倍ものスピードでやろうとしています。規模や期間など、どの側面から見ても、これだけのビッグプロジェクトはなかなかありません。

 少し僕の話をさせてください。僕は25年ほど、海外での電力事業に携わってきました。丸紅に入社してから大半の時間を、フィリピンやジャマイカなどの電力事業に費やしてきたのです。

 商社の電力事業は大半がIPP(独立系発電事業者)です。海外に発電所を建設して、地元の電力会社に中長期にわたり売電するというビジネスモデルは、安定して着実に収益を上げることができます。ただ、成長性には限りがある。もう少し、踏み込んで電力事業をやれないか。そう考えた丸紅は、ジャマイカで電力会社の運営に参入したのです。2007年のことです。

 丸紅が買収した電力会社は、ジャマイカで唯一の電力会社でした。発電所だけでなく、送電網や配電網まで独占的に運用しており、家庭や企業へ電力を販売していました。言ってみれば、東京電力のような地域独占の電力会社のミニ版です。

 僕はその電力会社の会長を務めていました。日本からジャマイカに1人で乗り込んで、ジャマイカ人に囲まれて、日々の業務はもちろん、組合交渉までやりました。従業員との労働争議などの時には、屈強の黒人従業員たちに取り囲まれてブーイングをされたり……。大変なことも多かったですが、やりがいがありました。

 どんなにブーイングされても、安易に折れることはしません。彼らを説得しきることが、事業を進めるのに欠かせないことでした。

 2011年4月に日本へ戻ることが決まり、「これまでずっと海外で事業を行ってきたので、残りの会社人生は日本に貢献することをやりたい」と考えていました。いざ戻ってきたのは、東日本大震災の翌月でした。

「俺がやるしかない」とひらめいた

 今回のプロジェクトについて、初めて話を聞いたのは2011年9月のことです。資源エネルギー庁に呼ばれて、話を聞きにいったのが最初です。「福島県沖に浮体式洋上風力発電所を作り、福島県に風力発電産業を集積し、復興につなげたい」という話を聞いたとき、「それなら僕がやりたい」と思ったんです。

 その日のうちに返事をしましたよ。丸紅がやります、と。

 上司である当時の部門長は、僕以上にアグレッシブな人。しかも、風力発電事業のテコ入れに奔走していました。2011年末に英国の洋上風力発電会社、シージャックスを買収したのもそのためです。今回のプロジェクトに怖気づいて断ろうものなら、かえって怒られてしまう(笑)。だから即答できたんです。

 今でもまだ「浮体式なんて無理だ。技術的な蓄積もないのに、こんな短期間でウインドファームを建てるなんて」と、懐疑的な声があるのも事実です。

 でも、絶対に成功させますから見ていてください。9月には試運転を見事に成功させます。

 プロジェクトを引き受けると決めてから約1年半。嵐のような日々が続いています。真っ先に僕が始めたのは、漁業者との協議でした。海は漁業者の仕事場です。彼らの協力と理解なしに、このプロジェクトの成功はありません。僕の時間の大半は漁業者との折衝に注ぎ込むことから始まったのです。この件については、次回以降にお話したいと思います。

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