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日本企業の動きコミュの130.中小企業の4社に1社は大企業より儲けている

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 長引く円高と景気低迷に加え、中国や韓国など新興国の台頭によって、日本企業はかつてないほどの苦境に追い込まれているようにみえる。

 ソニーやパナソニック、シャープといった大手企業すら青息吐息なのだから、中小企業の現状はさらに厳しいに違いない。そう考える人も少なくないだろう。だが、現実はそれほど悲観的ではないのである。
財務省が発表した「平成21年度法人企業統計調査」によれば、資本金1000万円以上1億円未満の中小企業の売上高経常利益率をみると、24.8%もの中小企業が大企業の平均値を上回っているのだ。
意外に感じるかもしれないが、私のように日ごろから中小企業の実態を調査している人間にとっては、この数字はきわめて実感に近いといえる。

 ローバル化にしても、対応できていないのはむしろ大企業のほうで、とくに東アジア諸国では日本の中小企業の台頭がめざましく、年率50%、60%といった高い成長を遂げている会社も珍しくない。
日本の一部の大手企業が不振をかこっているのは、ひとえに競争力のある現場力を活用できていないからだ。言葉を換えれば、経営トップの責任なのである。

 会社がどこで付加価値を生み出すかといえば、現場しかない。つまり、「現場こそが最大の経営資源」なのだ。中小企業の社長はたいてい、自分が先頭に立って現場で働いているので、そのことがよくわかっている。

 ところが、大企業の場合は、経営陣と現場との距離が遠い。しかも、社長には1980年代にアメリカのビジネススクールで経営を勉強したような人が多く、当時授業でやったケーススタディーに倣って、本社より先に会社の中でも最も大事な現場のリストラを行ったり、海外工場を売りとばしたりといったことをついしがちだ。これではうまくいくはずがない。

 また、日本企業の強みは技術力だが、それをもっているのも広い裾野としての中小企業だ。もっと正確にいうなら、日本の誇るコア技術が活かされているのは、部品や素材といった中間財に多く、そのような領域でも中小企業は強い。中間財は通常、長年にわたって複数の技術を擦り合わせた結果できあがっているから、そう簡単には真似ができない。

 一方、スマートフォンや液晶テレビなどエレクトロニクスの完成品というのは、中間財の「組み合わせ」でつくれてしまう。そうすると技術力よりも、いかに消費者にとって魅力的なものを提案するかという発想力や感性が大事になってくる。ところが、日本の大手企業はこの部分が弱い。だからアップルやサムスンに市場を奪われてしまうのだ。

■海外に挑戦する姿勢が必要だ

 さらに、日本の中小企業には、技術力だけでなく提案力もある。ここ数年ASEAN(東南アジア諸国連合)のローカル企業もかなり力をつけてきてはいるが、それはまだ、発注元である大手企業から渡されたやさしい設計図のものをつくることができるレベルだ。

 なぜなら、プロトタイプ(原型・新製品)の立ち上げに貢献できるくらいの実力がなければ、群雄割拠する厳しい日本市場では、生き残ってこれなかったのである。
日本国内には、貸与された図面ではなく、自ら図面を描き提案もする企業(承認図メーカー)はいくつもあるが、タイのローカル企業では1社しかない。つまり、日本と東アジアでは、技術力でまだそれくらい差があるのである。タイにしても中国にしても、ものづくりのレベルからいったら、せいぜい日本の80年代くらいだといってもいいだろう。

 だから、日本の中小企業の技術をもってすれば、東アジアへの進出は非常にやりやすいといえる。ただし、現地で雇用した人たちには5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)から教えなければならないといった、日本にはない苦労があることも忘れてはならない。

 また、国内で、大手の系列で仕事を請け負っている中小企業は、海外に進出すると系列の枠が外れる。つまり、日本国内だと、トヨタ自動車の協力企業はトヨタの仕事中心になってしまうが、東アジアに行けば、トヨタの仕事をしながら日産自動車ともホンダとも三菱自動車ともつきあえるようになる。
しかも、日本でトヨタの仕事をしていたといえば、どこの自動車会社からも信用されるから、取引先を広げるのはそれほど難しくないのだ。

 それに、日本は、消費者の求める品質、競合他社の多さの点において、世界で一番厳しいマーケットだ。そこで何十年も実績を挙げ続けることは容易ではないと世界中の人が知っている。それゆえ日本の中小企業となら取引をしたいという海外企業も少なくないのである。

 日本の中小企業には、海外に進出してグローバル化の恩恵を十二分に受けているところがいくつもある一方で、いまだに国内にとどまったままという会社も数多く見受けられる。
 その理由に、社内の国際人材不足を挙げるところが多いが、はっきりいって本末転倒だ。なぜなら、国際人材とは、海外に派遣され、そこで経験を積むことでしか育たないからである。
 たとえば、国際化のために英語力が必要だと、社員にTOEICの勉強をさせるような企業が最近は増えている。しかしながら、そうして英語力をつけても、タイやベトナムの工場で現地の従業員を指導するときに使うのはタイ語やベトナム語。大事なのは、知らないところに飛び込む勇気だ。

 もちろん、異国の地で日本人とは違う文化で育った人を教育したり、自分の責任で意思決定をしたりするのは、言語の壁が低くなってもなお楽なことではない。しかしながら、そういうことを実際に経験している社員が増えることで、その会社は徐々に国際市場に対応できるようになっていくのである。
 といっても、すべての中小企業が海外に進出しなければいけないということではない。日本には世界第3位となる大きな市場があるので、国内だけで勝負するという経営戦略だって十分に成り立つ。しかし、もしそうするとしても、一度は海外に挑戦する姿勢が必要だ。

 なにしろASEANには5億人の巨大マーケットがあるのである。しかも、日本企業というだけで、そこではあらかじめ信用が付加されるのだ。食わず嫌いではあまりにもったいない。仮に国内市場に集中するにしても、アジアや世界の現状を見てからにすべきだろう。
 最後に、国内国外にかかわらず、中小企業が成功するために注意しなければならない点を挙げておこう。

■軸足は、日本に置いておくこと

 まず、大企業の要求に左右されないような独自の「価格決定権」をもつということだ。
たとえば、建設機械などはアメリカのキャタピラー社が価格を支配しているので、値崩れが起こりにくい。ところが、日本はこの価格形成力がきわめて弱いのである。価格決定権を握るには、自社製品のブランドが必要だが、これは完成品だけでなく、中間財でも可能だ。
 このブランド化ができていないと、価格競争に巻き込まれることは避けられない。そうなったら消耗戦だから、仮に市場の勝者となったとしても、労多くして功少なしという結果に終わる可能性大だ。
 では、ブランド化するにはどうすればいいのか。ひと言でいうなら、コストダウンでは太刀打ちできないような価値を製品やサービスにもたせればいいのである。さらに、他社が簡単に真似できないよう、キーとなる部分をブラックボックスにしておくといいだろう。

 それから、ほかに代替できない独自の価値を生み出すために、思い切った投資をする。これが、事業部制をとり、かつ四半期ごとに利益を確定しなければならない大手企業だと、こういう未来を見据えた大型投資は難しい。社長の決断でリスクがとれる中小企業にこそ、イノベーションのチャンスはあるのである。
ともあれ、海外に進出する場合も、本社やマザー工場の軸足は、日本に置いておくことが重要である。
過酷な日本市場で日々切磋琢磨し、鍛えられて獲得した高いレベルの技術やサービスを武器に海外に行くから、現地で優位に立てるのだ。ところが、日本で勝てなくなったからといって海外に出ていっても、日本で通用しない技術やサービスではしょせん長続きしない。

 日本の中小企業が評価されるのは、あくまで今も第一線で戦っているトーナメントプロだからなのだ。現役を引退したレッスンプロが楽に勝てるような市場は、世界のどこに行ってもないのである。

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福井県立大学 地域経済研究所所長 中沢孝夫
1944年生まれ。高校卒業後、郵便局を経て全逓中央本部に勤務。93年立教大学法学部を卒業、2000年に兵庫県立大学教授に就任。08年に福井県立大学経済学部教授、09年より現職。著書に『グローバル化と中小企業』(筑摩書房)など多数。
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(福井県立大学 地域経済研究所所長 中沢孝夫 構成=山口雅之 撮影=永井 浩)

プレジデントオンライン2013年02月12日16時15分
http://news.livedoor.com/article/detail/7402899/

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