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日本企業の動きコミュの127.日本企業は復活できる 経営学者で『ビジョナリー カンパニー』著者のジム・コリンズ氏に聞く

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円安・株高で順調なスタートを切った2013年の日本経済。この流れは、グローバル競争の中で苦戦する日本企業の復活につながるのか。『ビジョナリーカンパニー』の著者、ジム・コリンズ氏に復活への処方箋を聞いた。

かつては絶大な国際競争力を誇った日本企業の存在感が低下しています。特に家電業界で、その傾向が顕著です。液晶テレビではシャープ、電子書籍リーダーではソニーが先駆者だったのに、市場の覇者にはなれませんでした。

 肝に銘じておかなければならない現実があります。それは、イノベーションの先駆者になれたからといって競争に勝てるわけではないということです。イノベーションは良き社会を築くうえで不可欠なのですが、データを直視すれば、先駆者が市場の覇者になる確率は非常に低いのです。

 モートン・ハンセン氏と共同で書いた最新作『ビジョナリーカンパニー4 自分の意志で偉大になる』では、不確実・カオス的な状況下で卓越した実績を出す「10X(10倍)型企業」に注目しました。荒波をくぐり抜けて10X型成功を達成する決定的要因はイノベーションではないか、と当初推察したのですが、現実は違いました。

危機に耐えるバランスシートを

 同書でも取り上げた米アップルは、故スティーブ・ジョブズが復帰した1997年以降は10X型企業ですが、常にイノベーションの先駆者だったわけではありませんでした。携帯音楽プレーヤー「iPod」を見てください。携帯音楽プレーヤーに不可欠な音声圧縮技術「MP3」では、アップルは完全に出遅れていました。後追いでありながら、デジタル音楽配信を立ち上げるなどで徐々に足場を固めていったことで最終的に勝利したのです。

2013年1月16日(水)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20130111/242095/?rank_n

97年当時のアップルは経営破綻寸前でした。復活の条件とは?

 少なくとも「死線」を避けなければなりません。死線とは、単純に言えばつぶれることです。偉大な企業を築くという旅は永遠に終わり、ゲームオーバー。それを避けるためには、危機に直面しても耐えられるほど強靭なバランスシートを築いておくことです。

 アップル同様、深刻な危機に陥りながら見事に復活した有力企業には米IBMや米ゼロックスがあります。多くの企業は死線にぶつかり、消え去ります。でも、危機を前提に事前準備を徹底しておけば、再び市場の覇者になることもできるのです。その意味で日本企業にも復活のチャンスはあります。では何をしなければならないのか。大きく3つあります。

 第1は「まず人選ありき(ファースト・フー)」。適材をバスに乗せ、適所に座らせ、「不適材」をバスから降ろす。そうすればおのずとバスの行き先は決まります。

 危機に際して「戦略を変えよう」「製品を変えよう」「ブランドを変えよう」「技術を変えよう」などと思ってはいけません。最初にバスを見るべきです。厳格な能力主義によって最高の人材をバスに乗せ、最適の席に座らせているかどうかチェックするのです。経営が傾いているとすれば、能力主義を貫いていない証拠です。

家族主義を理由に能力主義を徹底できない日本企業が伝統的に多いです。

 危機に直面している場合、二流の人材を抱え続ける贅沢は許されません。格付けで言えば最高格の「トリプルAプラス」の人材を選りすぐり、中核ポストを与えるのです。戦略や製品をどう変えたらいいか、彼らが見極めてくれます。登山に際して最高の隊員を選んで登山隊を組むのが最も重要であるのと同じです。

 第2は「残酷な現実の直視」です。バスの乗員を決め、着席させたら、次のような形で会議を開きましょう。各自が白紙1枚を手に取り、中央に上下に直線を引きます。左側に社内の問題、右側に社外の問題を列挙します。列挙する項目は冷徹な事実だけです。

 目的は、論破不可能な事実をみんなで認識することです。会議中に意見を述べたり、解決策を示したりしてはいけません。「なぜ研究開発費を増やさないのか」というのは意見ですが、「市場シェアを14ポイント失った」というのは事実です。どんなに残酷な事実からも目を背けてはいけません。

 「10年後に我々は今よりも格段に強くなっている」という確信を持つためには、目の前の現実を直視する必要があります。そうすれば、どうすれば現在の苦境から脱出できるのかが分かるはずです。

 第3は「銃撃に続いて、大砲発射」をすることです。銃撃とは、何が実際に有効なのか検証する実験のことです。私が経営が芳しくない企業の社長なら、まず「これまでに撃った多数の銃弾のうち目標に命中したのはどれか」と自問します。

「試し撃ち」で潜在力を発掘

 命中した銃弾には、すなわち潜在力があるということです。その段階で銃弾を大砲へ切り替えます。例えば1980年代の米インテル。長年主力だった半導体メモリー事業が競争力を失い、もはや利益を生み出せないという冷徹な現実を直視しなければなりませんでした。

 幸いにもインテルは銃弾を放ち、マイクロプロセッサー(超小型演算処理装置)が有望であるとの実験を終えており、そこで歴史的な決断をしました。レガシー事業であるメモリー事業から完全撤退し、マイクロプロセッサー事業へ資源を集中配分したのです。巨大な大砲を発射したわけです。

 銃撃なしにいきなり大砲を発射するのは禁じ手です。それは『ビジョナリーカンパニー3 衰退の五原則』で示した第4段階「救世主にすがる」こと、つまり、無謀な賭けに出るのと同じです。まずは十分に銃弾を撃つ――。これが10X型企業の特徴です。

10X型企業を取り上げた『ビジョナリーカンパニー4』では、「運の利益率(ROL)」に1つの章を割いています。世界同時多発テロやリーマンショックが起きるなど、世界はますます不確実で、カオス的になっています。運の役割が重要になっているのですか。

 運を研究したのは、私が非常に好奇心旺盛な性分だからです。

だから、好奇心旺盛な「おさるのジョージ」の人形をオフィス内に置いているのですか。

 その通りです(笑)。私が知る限り、運がどんな役割を果たしているのかについて本格的に分析した研究事例が過去になかったので、私自身も答えを知りたくて仕方がなかったのです。

 『ビジョナリーカンパニー4』では、予測不可能・制御不能な荒波が急ピッチで押し寄せ、大惨事を引き起こす世界を前提にしています。そこから、「運はどんな役割を果たすのか」という疑問が出てきます。ひょっとしたら10X型成功のすべては、運で説明できてしまうかもしれないですから。

 一方で私はかねて、「成功の大半は運で説明できる」という見方に疑問を感じていました。私が研究対象に選んだリーダーを見ると、運で成功を勝ち取ったとは到底思えなかったのです。そこで、データを集めて本格的な分析を始めたのです。

「運の利益率」を最大化せよ

 モートンと私は、運の定義から始めました。運はあくまでイベント(出来事)で、オーラではありません。「あの人には幸運のオーラが漂っている」と言えば、運には何か神秘的な要素があるように聞こえますが、違います。

 次の基準を満たせば「運イベント」と定義できます。当該事例が(1)制御不能(あなたが引き起こしたのではない)で、(2)良い悪いにかかわらず潜在的に重大な影響をもたらし、(3)予測不可能な要素を含む――の3つです。

 運イベントは頻繁に発生します。『ビジョナリーカンパニー4』で選んだ14社に限っても、主要な運イベントは230件に達しました。この結果分かったのは、10X型企業は幸運に恵まれて卓越した実績を出したわけではないということです。むしろ不運を跳ね返し、偉大になれたのです。

「自分は不幸だ」と嘆き、諦める必要はないと。

 その通り。幸運か不運かにかかわらず、運イベントは必ず起きます。重要なのは、運イベントに遭遇した時にどう対応するかです。目指すべきは運から最大の成果を引き出すこと、つまり「ROLの最大化」です。これは運そのものとは全く別の問題です。

 自分が野球のマイナーリーグでプレーする投手だとしましょう。ある日、青天の霹靂で、ヤンキースタジアムで1回だけメジャーリーグに登板する機会を与えられます。ここでノーヒットノーランを達成したら、投手としてのキャリアが一変するのは間違いなしでしょう。1回だけのメジャーリーグ登板という運イベントから最大のリターンを引き出す。つまり「ROLの最大化」です。

 運イベント自体は制御不能で予測不可能ですが、ROLは自分の意思で最大化できます。運イベントに遭遇した場合を想定し、日頃から十分に準備するのです。10X型リーダーも自分の運を最大に生かしています。

ジョブズ復帰後のアップルは10X型の成功を遂げましたが、2011年にジョブズは死去しました。これも運イベントでしょうか。

 ジョブズはガンを患い、経営者としてのピークとも言える50代で亡くなっています。ガンは3基準を満たす運イベントです。ガンを発生させたのはジョブズではありません。カリスマ創業者の死は会社に重大な影響を及ぼします。2000年時点で「十数年後にジョブズがガンで死ぬ」とは誰も予期できませんでした。アップルにとって、1997年のジョブズ復帰が大きな「幸運イベント」だとすれば、2011年のジョブズ死去は大きな「不運イベント」です。

 大きな不運イベントに見舞われてそこから高リターンを出せるかどうか、アップルは試されています。経営陣がジョブズから次世代に代わり、アップルがどう進化するのか見ものです。

 カリスマ創業者の死後も卓越さを維持した企業はあります。米ウォルト・ディズニーは創業者ウォルト・ディズニーの死後も偉大であり続けたし、米ウォルマート・ストアーズは創業者サム・ウォルトンの死後も強力でした。不運に遭遇しながら高いリターンを出した事例は少なくないのです。

あなた個人にとって重要な運イベントは何でしたか。

 故ピーター・ドラッカー氏からの電話は文字通り青天の霹靂でした。私の人生で最も大きなリターンを達成できた運イベントの1つでもあります。

 1994年12月のことです。ジェリー・ポラス氏と書いた『ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則』を出版したばかりで、売れるかどうか分からない状況でした。一方、米スタンフォード大学経営大学院で起業論とベンチャー企業論を教えるのをやめ、独立しようと考えている最中でした。当時の私は37歳。不安におびえ、どうしたらいいか悩んでいたまさにその時、留守番電話にドイツ語なまりのメッセージが残っていたのです。

ドラッカーの薫陶で最大利益

 「ピーター・ドラッカーです。コリンズさん、一度ぜひお会いし、意見交換できればと思っています」

 ドラッカー氏の自宅で丸1日過ごしました。いろいろ質問され、助言を受けました。当時のメモは今も手元にあります。これまでに何度もメモを読み返し、それを基に重要な決断をしてきました。私にとってはドラッカー氏と1日を過ごしたのが運イベントで、そこから最大限を引き出したのです。

 ドラッカー氏宅では、こんな質問もされました。「君は永続するマネジメント思想を作りたいのか? それとも、永続するコンサルティング会社を作りたいのか?」。

 前者であると答えると、「ならば会社経営に時間を割いてはダメ。知的創造活動に集中できなくなる」と言われました。だから今でも研究ラボは小所帯を維持していますし、創造的な仕事に50%以上の時間を割くように自分自身の時間管理もしています。かつてはストップウオッチを常時携帯していたほどです。

21世紀の経営モデルはどのようなものでしょうか。

 ドラッカー氏は組織を構成単位とする社会について語りましたが、その点で彼は正しかったといえます。私自身もよく分かっていないので、間違っているかもしれませんが、21世紀はネットワークを構成単位とする社会が中心になるかもしれません。

 既に今日の世界では、「コネクティビティー(相互接続性)」がキーワードになりつつあります。ソーシャルメディアやその背後にあるインターネットの膨張を見れば、それは明らかです。

 組織であれば「マネージする(管理する)」ことが重要なのですが、ネットワークであれば「リードする(指導する)」ことがポイントになると思います。

 組織と違い、ネットワーク内ではあなたは他人に対して何の権限も持っておらず、管理ができないからです。権限がなければ、自らがリーダーシップを発揮するしかありませんからね。

次の研究テーマは決まっているのですか。

 過去25年間にわたり、偉大な企業の条件を探究するプロジェクトに専念してきました。それをまとめたのが『ビジョナリーカンパニー』シリーズであり、このシリーズは全4作で完結です。『ビジョナリーカンパニー5』は、ありません。

 私は好奇心を大切にしていますから、現在、様々な分野に興味を持っています。例えば「若いリーダー」に大変関心があります。日本であれ米国であれ、偉大な社会を築くには卓越した若いリーダーが必要です。そんなリーダーをどう育てたらいいのか。

 ただ、若いリーダーという分野に関心があるとは言っても、研究テーマとしては何も決まっていません。私は通常、研究テーマは自分からは選びません。逆に研究テーマが私に食らいついてきて、私の頭から離れなくなるという感じなのです。

  「不確実・カオス的状況下でも躍進する企業が存在するのはなぜか」という研究テーマも、「疑問に答えてくれるまで、苦しくなっても手を離さないぞ」と言いながら、私に飛びついてきました。その結果が最新作の『ビジョナリーカンパニー4』だったのです。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20130111/242095/?P=6&nextArw

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