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日本企業の動きコミュの97、従業員への眼差しに見る企業の死角 ホンダ、ソニーのはらむ矛盾

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 不可解さが残る記者会見。そういう場面に出会うことがしばしばある。

 ホンダとソニー。言わずと知れた、戦後日本の産業史を代表する独創型企業である。高い技術力に裏打ちされたイノベーティブな商品力によって、日本を、そして世界を魅了してきた2社だ。

 去る1月31日、ホンダは2011年10〜12月期の決算発表会見を開いた。会見の話題の中心となったのは、昨年末のタイの大洪水による被害状況および生産再開に向けた計画だった。

 タイ・アユタヤに4輪車工場を持つホンダは、日本の自動車メーカーの中では唯一、大洪水の被害を直接、受けた。2mを超える水によって工場は壊滅的な被害を受け、販売面の影響もあった。その被害総額は営業利益ベースでおよそ1100億円に達した。

歯切れの悪い春闘と増配の矛盾

 この会見の終盤、ある記者から質問が出た。

 「間もなく春闘の季節です。今期は増配も計画しているようですが、春闘に対するスタンスはいかがでしょうか?」

 これに対するホンダの池史彦・専務の回答は、

 「昨年の震災、タイの洪水での従業員の頑張りには応えたいが、単独の業績は…」

 と、歯切れの悪いものだった。

 同社の2012年3月期の連結純利益の見通しは前期比で約6割減の2150億円、単独では同42%減の500億円となっている。昨年の東日本大震災、タイの大洪水という空前の自然災害の影響を全面に受け、「類いまれなる異常値」(池専務)であることは間違いない。

 一方でホンダは今期、前期から1株当たり6円多い、60円の通期配当を予定している。これは中長期的な配当性向のバランスを考慮したものとしている。確かに、業績の絶頂期にあった2008年3月期に通期で86円の配当をしていたことを考えれば、その回復は道半ばと言えよう。

 しかし、春闘に向けた歯切れの悪い回答と、この増配にはどこか企業としての矛盾がないだろうか。ステークホルダーとして従業員よりも株主を優先した、そう受け止められてもいたしかたない。

日経ビジネス編集部  北爪 匡 2012年2月17日(金)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120214/227184/?ST=nbmag

 ここで、2月2日に決算発表および社長交代について会見したソニーを振り返りたい。同社の2012年3月期の連結純損益は約2200億円の赤字の見通し。そして、ハワード・ストリンガー社長兼CEO(最高経営責任者)が同職を後任の平井一夫副社長に譲ることになった。

 トップとしての7年間を総括したストリンガー社長は、「CEOとして責任はある」としつつも、「過去7年は紆余曲折があったが、改革と勝利を成し遂げたことに誇りを持っている」と語った。しかし、同社は今期で4期連続の最終赤字となる。記者はストリンガー社長を直接取材した経験がないため、その真意は測りかねるが、公の場で発した言葉として、違和感を抱かずにはいられない。

 ここ数年、高額の役員報酬の開示の中で、同CEOは日産自動車のカルロス・ゴーン社長と並ぶ高額報酬としてもその名が知られていた。おおむねゴーン社長が10億円弱、ストリンガーCEOが8億円強といったイメージだ。

その高額報酬は適正か

 何も、こうした高額報酬を非難しようというわけではない。むしろ、世界的に見れば、日本企業における役員報酬は相対的に低く、社内外の厳しいプレッシャーにさらされる中で、優れたリーダーシップの下に企業を成長に導いたトップが高額の報酬を得ることは当然と考える。

 実際、日産のゴーン社長は経営危機にあった同社のトップに就任後、リストラと攻めの戦略の両輪によってV字回復を成し遂げた。2008年秋のリーマンショックの影響はあったが、その後も順調に業績を伸ばしている。今期は日本の自動車メーカーとしては最高水準の利益をはじき出す見通しだ。

 ではソニーはどうか。業界全体の構造転換の波に飲まれ、海外企業の攻勢に押し負けている結果の4期連続最終赤字。ストリンガーCEOの「改革と勝利」という言葉、そして高額の報酬は、この現実とあまりにも矛盾していないだろうか。果たして、ソニーの従業員1人1人は、この事態を看過できるのだろうか。

 ホンダとソニーに焦点を当てたのは、2社の抱える矛盾に共通点があると記者は考えるためだ。

 冒頭にも書いたように、この2社はイノベーションによって世界的なブランドを構築してきた。今や産業史の伝説ともなっている、それぞれの創業者の間に親交があったことでも知られる。しかし、現在はいずれも「個性」「らしさ」を失ったと言われて久しい。

 技術開発の分野に焦点を当てた場合、特に自動車業界ではしばしば「研究開発費=人件費」と言った表現がなされる。試験設備など、人件費以外の部分があることはもちろんだが、巨額の設備投資が必要な生産部門や、IT(情報技術)による合理化が進む管理部門に比べ、研究開発部門はなお人件費の比率が高く、労働集約型だ。

 少々強引かもしれないが、簡潔に言えば、イノベーションへの投資とはすなわち人への投資だ。むろん、これは研究開発に限った話ではなく、営業でも生産でも調達でも人事や経理でも、全く同様だ。

革新の主体は従業員と経営者

 どれほど高級な設備やシステムを購入しようと、どれほど高額の配当を株主にしようと、彼らはイノベーションの主体者ではない。安かろうと高かろうと、設備やシステムを能力以上に活用し、株主からのプレッシャーを良い緊張感と受け止めて、革新を生んでいるのは社内にいる個々の従業員であり、経営者だ。しつこいようだが、経営のイノベーションを起こした経営者がいるならば、その対価として高額の報酬を得るのは当然の話となる。

 今年も産業界では春の労使交渉(春闘)が始まった。2008年秋のリーマンショック以後、春闘の大きな流れとして、交渉前からベースアップの断念、定期昇給の維持、一時金による帳尻合わせが定着している。つまりは縮小に歯止めをかけることで精一杯といったところだ。

 賃金制度の複雑化によって、単純にベアで春闘の成果を測れる時代ではなくなっているが、従業員の頑張りに賃金や福利厚生で報いるという考えそのものは変わらないはずだ。停滞、縮小ばかりで労働環境が悪化する中、従業員は次なる成長、イノベーションを描けるのだろうか。

 改めてホンダ、ソニーの2社に目を向けると、両社の創業理念の冒頭には「人間尊重」(ホンダ)、「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき」(ソニー)との金言が掲げられている。

 いたずらに賃金を上げることが、これらの言葉の実践ではないのだろうが、2社の会見から感じ取れた矛盾は、やはりこうした考えと相反する気がしてならない。従業員への眼差しに死角はないのか。2社に限らず、日本企業がイノベーションの活力を取り戻すために、改めてその原点に立ち戻ってはどうだろうか。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120214/227184/?P=3&ST=nbmag

コメント(1)

ンチャさん
「人間尊重」(ホンダ)、「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき」(ソニー)との理念が薄れてきているのでしょうか。

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