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日本企業の動きコミュの92、トヨタ源流企業の静かな挑戦 電気自動車が迫る部品会社の自己変革

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 昨年12月に開かれた東京モーターショー。華やかな完成車メーカーのブースに挟まれるように、多くの自動車部品メーカーがブースを構えていた。歯車やシリンダーなど一見すると地味ながらも、各社の技術陣が全力で開発した部品が紹介されている。そのなかで、一風変わったEV(電気自動車)が見つかった。白い車体に青を基調にしたデザインの商用車は「e-Porter(イーポーター)」と書かれている。出展者は豊田自動織機だ。

豊田自動織機は自社技術を集めてEVを独自開発した
 トヨタ自動車の源流企業として知られる同社は、トヨタからエンジン生産や車両組み立てを請け負っている。フォークリフトでは世界でトップクラスのシェアを持つ。しかし、自社でEVは生産していないはずだ。

 話を聞いたところ、「自動車の電動化をにらみ、電動パワーユニットを自社で開発した」と担当者は説明する。電動フォークリフト事業でモーターや電気制御などの技術は豊富に蓄積している。ならば、この技術をEVに転用できないかと考えて、モーターやインバーターを一体化した「EV用パワートレインユニット」という製品を開発した。これを車両に積み込みバッテリーとつなげれば、EVが完成するという簡便性が売り物だ。

 この新製品をアピールするには、どうすればいいか。ふと社内を見回すと車両組み立て事業を通じ、自動車の生産ノウハウを持っている。ならば自動車を作ってしまおう、と考えて生まれたのがイーポーターだった。フレームを自社で設計し、駆動装置を組み込んだプラットフォームを手作業で作り上げたという。よく見ると塗装の厚みにムラがあるのも「手作りですから」(同社)と言われれば納得できる。

 駆動装置をコンパクトにまとめたことで広い車内空間を実現し、ドアの開口部を大きく広げて荷物の積み下ろしなど使い勝手を向上させた。もちろん低騒音で排ガスが出ないため、工場内での物流作業に適している。この新型車を発売する予定は現時点ではないが、心臓部であるパワーユニットは、外販していく考えだ。

 ガソリン車がEVになると、どうなるか。ガソリンが電池に、エンジンがモーターに置き換わる。技術の結晶であるエンジンが不要になると、自動車メーカーが築き上げてきた技術的な優位性は、大きく低下する。1月30日号の日経ビジネスの特集記事、「走り出すEV産業」で紹介したように、世界各地でEVベンチャーが誕生しているのも、自動車産業への参入障壁が一気に低くなったことを示している。

 それでもEVという製品がある自動車メーカーに対して、エンジンの部品やガソリンタンク、燃料やオイルのチューブを作っている部品メーカーはさらに深刻だ。何しろ作っているものが、使われなくなってしまうのだ。ホンダの伊東孝紳社長は「部品メーカーが抱いている危機感は相当なもの」だと指摘する。

2012年2月3日(金
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120131/226689/?ST=nbmag

 では、部品メーカーは、どう動けばいいのか。その答えの1つは、豊田自動織機のような新分野への挑戦だろう。社内に持っているノウハウを持ち寄ることで、1社でEVを開発できることを示した。ほかにも充電装置の開発など、EV化の波に乗り遅れまいと懸命に動いている。産業構造の変革期においては、トヨタの源流企業でさえ、安穏とはしていられない。

 CVT(無段変速機)大手のジャトコ。世界最高水準の変速比幅を持つCVTを開発するなど、CVT技術をけん引する企業だが、EV化によって変速機の市場がどう変わるかを、真剣に考え始めている。

 エンジンの動力を効率的にタイヤに伝え、性能を向上させるのが変速機の役割だ。ガソリンエンジンは低回転時の力が弱いため、変速機で力を増幅させることでスムーズに発進できる。しかし、モーターは特性として低回転時でも大きな力を得ることができる。回転数の制御もエンジンに比べて容易なため、大半のEVは変速機を搭載していない。回転数を下げるための減速機を搭載している程度だ。

 ジャトコの親会社は日産自動車。三菱自動車も株主だ。日産は「リーフ」、三菱自は「アイ・ミーブ」というEVを量産して販売拡大を急いでいる。どちらも変速機は搭載していない。

 では、EV社会ではCVTの出番は無いのか。こうした問いに対し、ジャトコ関係者は「将来はEVにも変速機が必要になる」と話す。モーターにも効率の良い回転数がある。低速時の力が強い半面、高速回転時の加速は苦手で、「電費」と呼ぶエネルギー効率が低下する。高速道路で追い越しをかけるなどの使い方をすると、バッテリーの消耗が早くなり、航続距離が短くなってしまう。

ジャトコ、EV時代のCVT開発

 こうした欠点を補うのがCVTなどの変速機だ。CVTを搭載することで効率の良いモーターの回転数を維持しながら速度を変更できるようになり、なおかつ減速時に回収できるエネルギーの量を増やせるという。こうした研究の結果、「EVでもエネルギーを的確に伝えて、制御するという技術は欠かせない」(ジャトコ)と判断し、EVの性能を高め、コスト負担も小さいEV用変速機の研究に着手したという。

 クルマの電動化と言う変革期に直面し、ジャトコは自社製品の将来性を見極め、その技術を進化させる道を選んだ。豊田自動織機は新たな事業領域へと挑戦する道を選んでいる。共通するのは、自分の会社が持っていた技術という財産を、来るべき新産業に活用しようと工夫している点だ。一から新技術を立ち上げるのではなく、徐々に進化させることで、強みを生かしつつ新たな時代を生き抜こうとしている。

 破綻に追い込まれた米イーストマン・コダックと対比されるのが、富士フイルムだ。デジタル化の波に乗り損ねたコダックに対し、富士フイルムは銀塩フィルムで蓄積した化学などの技術を応用し、液晶材料や医療機器、化粧品などの事業を立ち上げた。産業構造の変化に応じ会社の形を変えたかどうかが、両社の命運を分けた。

 次々と生まれてくる新製品が、既存製品を駆逐して、付随する産業構造をいや応なく変えていく。カメラや自動車だけでなく、ブラウン管テレビに対する液晶テレビや、日本式の携帯電話とスマートフォンなど、こうした変革は至るところで起きている。競争する市場が変われば、昨日の王者が明日は敗者に転落することは、さして珍しい出来事ではない。

 日本の基幹産業である自動車にも、電動化という大きな変化は目前に迫っている。自動車産業への参入障壁が崩れ去るなかで、完成車メーカーも部品会社を守るだけの余裕はなくなるだろう。変革期の経営者には市場の変化を予測し、会社が進むべき方向を指し示す力量が求められる。コダックになるか、それとも富士フイルムになるのかが決まるのは、それほど遠い将来ではない。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120131/226689/?P=2&ST=nbmag

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