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日本企業の動きコミュの63.社会・生活を豊かにするICTサービスの向上

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スマートフォンは、この1年間で爆発的な成長を遂げた。NTTドコモだけでも今年度の販売計画を30万台から250万台程度に上方修正、来年度は600万台くらいになるだろう。アメリカの調査会社によれば、10年の10月から12月の間、世界のスマートフォン出荷台数はパソコンを上回った。

このようなパラダイムシフトが世界規模で起きている。通信と放送、固定と携帯はもちろん、あらゆる分野で、いろいろなサービスの融合が進んでいる。そして、グーグルやアップルのように、コンテンツ(情報内容)、アプリケーション(ソフト)と端末がセットとなった、垂直統合の新しいビジネスモデルが次々と出てきている。

利用面から見ると、利用者参加型、双方向型のソーシャルメディアの力が非常に大きくなった。フェイスブックなどが、今回の中東・アフリカの民主化に大きな影響力を及ぼし、政権を倒すまでの力を持ってきている。「ネットは銃より強し」というのが今の実感ではないかと思う。

また、インターネット経由でソフトウェアやサービスを提供する「クラウド・コンピューティング」が、世界的な規模で進展し、われわれは無意識のうちに利用している。「所有」から「利用」へ、という流れが加速している。そして、情報機器だけではなく、ゲームやデジタルカメラをはじめ、さまざまなものがネットワークにつながるようになってきた。場所を選ばず、無線、有線の区別なく、一番使いやすいネットワークに接続できる環境が整ってきた。

昨年1年間「光の道」という議論があったが、ブロードバンドというのは、光はもちろんだがCATVなどもあるし、無線もある。海外では、固定系よりもモバイルを中心に進んでいるというのが実態だ。固定系の契約数は、若干減り始めて世界で12億といわれる。一方モバイルは、今年50億を超したと見られている。モバイル中心、あるいはモバイルと固定の融合が流れといえる。

インフラ整備と利活用の促進が、ブロードバンドの普及拡大のための「車の両輪」だ。日本におけるブロードバンドの環境は、世界で最も進んでいると私は思っており、一般的なADSLを含めたブロードバンドの世帯カバー率はほぼ100%になっているといっても過言ではない。一方、利活用については、日本はまだまだ遅れている。特に医療、教育、電子行政など公的分野が遅れており、早急な取り組みが必要だ。

ICTの利活用により、私たちの暮らしや社会はどのように変化し、どういう方向に向かっていくのか。個人と企業、そして社会的課題の3つの観点で見ていきたい。

個人では、音楽や映像、書籍など様々なコンテンツが電子化され、瞬時に取得できるようになってきた。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が発展し、新しいコミュニティーが次々と生まれ、個人で情報を発信して、新たな人々のつながりを形成できる。子供の登下校や田舎の両親を見守るサービスも出てきたし、宅内の家電がネットにつながり、外からコントロールしたり、施錠管理をしたりすることも可能だ。今後もさらに進んでいくと思っている。

次に、企業においては、従来ICTは効率化や生産性向上のツールと言われていたが、今や経営自体にかかわるようになってきた。マーケットや財務、在庫にかかわる情報がネットワーク上に蓄積され、それらを素早く加工、分析して経営に活かすようになり、まさに経営を左右するような状況だ。また、高品質なテレビ会議など、距離・時間・空間といったものを越えたコミュニケーションの場もますます進化する。在宅勤務やサテライトオフィスなど、育児中の方、高齢者、体の不自由な方が活躍できる機会も増える。

公的分野での利活用促進が急務だ。韓国では、電子行政が進んでいて、異なる行政機関が国民から同じ情報を取ってはならないことを法律化していたり、利用者にインセンティブが働く仕組みもある。申請しなくても手当を自動的に通知するなどの利用者目線に立った「プッシュ型サービス」が提供されている。日本はもっと見習わなければならない。もちろん、個人情報を自分で管理、コントロールできる仕組みも考えなければならないが、共通番号などを導入し、行政サービスの向上と効率化を図っていく必要がある。

医療、介護分野についても同様だ。電子医療記録や個人健康記録、電子カルテを、病院内や病院間でネットワークによって連携を取れば、地域医療の質的な向上が図れる。これまでも遠隔医療相談や地域医療連携に取り組んできたが、来年度からは本格的に病院間連携サービスの実証実験を行いたい。

今私が最も心配しているのは教育だ。先生が教えやすく、生徒が楽しく学ぶことができるという観点から、我々は教育分野では「教育スクウェア×ICT」というプロジェクトを立ち上げた。全国4自治体8小学校、間もなく中学校も加わり、実証実験を開始する。具体的には、まずICTによって先生の校務を軽減して教育に時間を割いていただく。そして、動画等を活用した教材を使って、分かりやすく、生徒に興味を持ってもらえる授業を実施する。さらに、学校内はもちろん、学校と家庭、学校間もネットワークで結び、生徒の理解度に合わせた家庭学習や、オーストラリアの学校と英語の交流授業も計画している。国内外のパートナー企業や学識経験者に参加していただき、ICTならではの新しい教育、指導法の仕組みをトータルで模索していく。

そして、ICTは環境問題でも重要な役割を果たす。映像サービスをはじめインターネット利用が拡大し、幾何級数的に情報のトラフィック(情報量)が増え、ネットワーク設備が増えるのでCO2排出量がどんどん増えていく。設備自体の消費電力をできるだけ削減するとともに、ICTを使うことで、例えば移動を減らしたり家電の電力消費を自動的に調整できるようになるなど、社会全体のCO2削減に大きく貢献する。

ここで、セキュリティー面の問題にも触れておく必要がある。国家レベルではサイバーテロ、機密情報漏えいなど、企業団体レベルでは情報漏えいやサーバー攻撃、個人レベルでは、ウイルスや、ネット上でカード情報を盗むフィッシング詐欺などの問題がある。事業者もフィルタリング(閲覧制限)やウイルス対策ソフトの提供などの対策を実施しているが、最も大事なのは個人の取り組みだ。ネット上にはいろいろな情報が溢れており、すべてうのみにして行動すれば、間違いを起こすことにもなりかねない。

今やGDP成長の約3分1を占めるICT産業は、経済成長の牽引役になると同時に、社会・生活を豊かにし、社会的課題の解決に貢献できることは間違いない。これらを実現するためにも、私たちは、溢れる情報を取捨選択するなど、安全面にも留意できるリテラシー(活用力)を身につけることが重要だ。

ICTは一つの手段であり、上手く利用してイノベーションを進めていくのは、私たち個々人だ。
ICTが発達すればするほど、私たち自身の「考える力」、「判断する力」がますます重要になってくる。

http://www.yomiuri.co.jp/ictforum/miura3.htm

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