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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレ有り】『アメリカン・ハッスル』[日本公開:2014年1月31日]

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●Introduction
 1970年代後半のアメリカを揺るがした政治家などの収賄スキャンダル、アブスキャム事件を題材にしたサスペンスドラマ。自由と引き換えに、FBIが仕掛ける悪徳政治家検挙を狙ったおとり捜査に協力させられる詐欺師たちの姿を、スリリングに映し出していく。メガホンを取るのは、『世界にひとつのプレイブック』などのデヴィッド・O・ラッセル。『ザ・ファイター』などのクリスチャン・ベイルを筆頭に、ブラッドリー・クーパー、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンスら、実力派スターが結集してクセのある登場人物たちを熱演する。

 詐欺師アーヴィン(クリスチャン・ベイル)と、その相棒で愛人のシドニー(エイミー・アダムス)。彼らはFBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)に逮捕されるが、無罪放免を条件におとり捜査への協力を持ち掛けられる。それは、架空のアラブ人富豪をダシに、カジノ利権に群がる政治家やマフィアを一網打尽にするというもの。アーヴィンとシドニーは、標的のカーマイン市長(ジェレミー・レナー)に近づくが、二人の仲を嫉妬(しっと)するアーヴィンの妻ロザリン(ジェニファー・ローレンス)がおとり捜査の邪魔をする。
[日本公開:2014年1月31日]

コメント(2)

 主要4名の出演者全員がアカデミー賞にノミネートされるなど、確かに名作に域に達している作品ではあると思います。クリスチャン・ベイルなんて、最初のハゲを隠すシーンなんて、誰だか分からない変貌ぶり。ベイルは役作りのため10キロも太るなど、ハリウッド俳優の役に賭ける意気込みの凄さをいたく感じました。
 でもね、同じ騙すにしても『グランド・イリュージョン』のような爽快さが感じられなかったです。騙す相手が巨悪で、卑怯な相手ならいざしも、標的となる市長は、清廉潔白な好人物。この人に濡れ衣を着せて、繋がっているマフィア共々、汚職事件で捕まえてしまうFBIのやり方に納得できませんでした。ただ救いは、無二の親友となっていた市長を騙したことに主人公が罪悪感を感じて、免罪のためある仕掛を予定外に加えたこと。アブスキャム作戦という実話に基づいているから、結末は変えようがないのだけれど、人を最後まで疑わなかったあの市長はなんとか救って欲しかったです。

 この作品はメインのスキームとなる希代の詐欺師とFBIが司法取引してタッグを組み、犯罪者に囮捜査を仕掛けるという奇想天外な話以上に、登場する人間が面白い!
 主人公のアーヴィンは、一九分けの髪に、ポテポテのおなか。アーヴィンの相棒で愛人となるシドニーは、胸元が大胆に開いた峰不二子タッチのセクシーさ。絵に描いたような悪妻ぶりの妻ロザリン、FBI捜査官のリッチーは自分で毎日パーマにかかるほどカーリーヘアにこだわる見栄っ張り。標的となるカーマイン市長は、紳士靴をさかさまにかぶったようなリーゼントヘアが印象的など、ベイルだけでなく、出演者のビジュアルの変わりようが、強烈な個性を生み出していて、ひとりひとりがスピンアウトして映画の主人公となるくらい個性が濃いのです。身につけている70年代ファッションも、キャラに合わせてさりげなくダサさを身に纏わさせているところもニクいです。

 物語の舞台は、1979年のニューヨーク。
 プラザ・ホテル。アーヴィンは、クリーニング店を経営しながら裏で偽取引や贋作の美術品を商売にする詐欺師で、今まで一度も失敗したことがないということが自慢でした。 そんな彼が仕事中に知り合った元ストリップダンサーのシドニーとパーティーで知り合ってひかれあい、詐欺のパートナーにします。息が合うふたりは、仕事でも私生活でも絶好調。でも銀行からの融資をエサに手数料をだましとる詐欺を行っていたある日、引っかけた男にシドニーが逮捕されてしまいます。その男こそ、FBIの捜査官リッチーでした。野心家のリッチーは、シドニーの釈放と引き換えに、アーヴィンにおとり捜査への協力を持ちかけます。逃げることもできたけれど、妻ロザリンの連れ子を溺愛していたアーヴィンは、「息子」と離れたくない一心で、リーチからの司法取引に応じることにしたのです。
 そして場面は、冒頭にも登場したプラザ・ホテルへ。そこでは、アーヴィンの仕掛でカーマイン市長に、FBIが用意した200万ドルを、賄賂の金として受け取らせようとする、おとり捜査が成功しようとしていました。カーマイン市長はアーヴィンが勧めるままにカジノ建設を取り入れて、街おこしに繋げようと必死だったのです。200万ドルは、そのプロジェクトに欠かせないスポンサー候補のアラブの王族を、アトランテックシティまで招待して、出資の合意を取り付けるための必要経費。でも問題は、資金を受け取って歓待の実務を担う州のカジノ管理委員会の面々がマフィアだったことです。FBIの狙いは、マフィアとそれに繋がる議員や市長に、収賄をでっち上げて一網打尽にすること。アラブの王族までもが、何とメキシコ人を仕立ててマフィアたちを騙してしまう強引さは、マフィアよりもFBIの捜査方法に阿漕さを感じました。メキシコ人がアラブ語を話せないことがバレそうになって切りぬけるシーンは、思いもよらぬ展開で面白かったです。

 うまく行きかけた囮捜査だったのにぶちこわすのは、妻ロザリンのちょっかいから。アーヴィンとはケンカばかりだったのに、市長のパーティに夫が参加すると聞いて、舞台裏の囮捜査のことも知らずに同伴を強要するのです。詐偽でいつも完璧を期すアーヴィンの泣き所は、「息子」の存在。「息子」の親権をエサにされては、足手まといとなることが分かっていても、渋々同伴を認めてしまったのでした。
 でも、パーティにはシドニーもアシスタントとして参加しています。会場で鉢合わせしたロザリンとシドニーの強烈な「女の戦い」ぶりが凄かったです。この火花が、囮捜査を危うくさせていきます。
 妻の座を主張する割には、男癖が直らないロザリンは、会場にいたカジノ管理委員の男をマフィアだと知らずに親密になります。そして管理委員の男はロザリンから聞き出した話で、囮捜査に気づいてしまうのです。
 マフィアに呼び出されてた、アーヴィンは絶体絶命の危機をどう乗り越え、友人のカーマイン市長をどのように救いの手を差しのべるのか。そして、リーチに待ち受けるでっち上げ捜査の報いとは?ぜひ、結末は劇場でご覧ください。

出色のサウンドトラック70年代のヒット曲も満載。
 本能の塊のようなロザリンを演じるジェニファー・ローレンスの情緒不安定でやり場のない気持ちを抱える主婦になりきりぶりがリアルで秀逸。シドニーを演じるエイミー・アダムスとの女優ふたりによるグラマラスな存在感に圧倒されました。

 またラッセル監督の1作目から美術監督を担当しているジュディ・ベッカーが個性ある建物をロケ地に選び、撮影監督のリヌス・サンドグレンが1970年代らしいカラーリングを彩ります。そこから浮かび上がるルックは、古めかしさを感じさせる暖色系です。
 リッチーとシドニーがディスコに出かける夜の場面では、道すがらはバックを柔らかくぼかし、ディスコ内はストロボライトを激しく点滅させます。大型アメ車全盛の時代の雰囲気がよく出ていました。
 いかにも詐欺師が活躍しそうな、あの時代ならではのはったりのきいたムードにも気持ちよく酔える作品としてお勧めしておきます。 

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