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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレ有り】『ラッシュ/プライドと友情』

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●Introduction
 F1レーサー、ニキ・ラウダとジェームス・ハントが壮絶なタイトル争いを繰り広げたドラマを映画化。事故で大けがを負いながらもシーズン中に復帰したラウダと、性格もドライビングスタイルも正反対なハントの死闘とライバル関係を、臨場感あふれるレースシーンと共に描く。監督は、『ビューティフル・マインド』などの名匠ロン・ハワード。陽気なハントをクリス・ヘムズワース、冷静沈着なラウダをダニエル・ブリュールが演じる。

 性格もレーススタイルも相反するF1レーサー、ニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)とジェームス・ハント(クリス・ヘムズワース)が激しい首位争いを繰り広げていた1976年。ランキング1位だったラウダはドイツ大会で大事故に遭遇し、深いけがを負う。復活は無理だと思われたがわずか6週間でレースに復帰し、日本の富士スピードウェイでのシリーズ最後のレースに臨む。
[日本公開:2014年2月7日]

コメント(1)

 本作のハイライトシーンとなる日本で初めてのF1世界選手権は、1976年10月24日に富士スピードウェイで開催されました。
 24日の決勝は夜半から激しい雨が降り続き、コース各所に水溜りや川ができるほどの豪雨に見舞われ、レース中止も噂される中で強行されたのです。御殿場名物の霧で視界も悪化していました。
 そうしたなかでのスタートシーン。スローモーションで切り取られれた映像は、まるでレースカーにシャワーを浴びせるかのような豪雨と霧を切り裂くように、各車が火花を散らしながら発進したのでした。このレースで年間王者の決着がつく、ふたりのトップレーサーの激しいライバル心にふさわしい緊迫感ある発進風景。けれどもハワード監督は、それを敢えて、真逆に静かで圧倒的な映像美に切り取ったのです。思わず全身から鳥肌がたち、映画を見る至福に包まれた表現方法でした。

 本作のメインは、F1における1976年の世界王者決定に至る、激しいライバルレーサー同士の命を削るバトルを描いた作品。その栄光とリスクを秤に掛けた命がけの勝負のシーンは、まるで当時のレースの実況を見ているかのような臨場感に包まれていました。
 まず目に飛び込んでくるのは、圧倒的なレースシーンの大迫力。30台のカメラを駆使して描かれるレースシーンは、どんなF1中継よりも刺激的。その分、命を落とす危険と隣り合わせているレーサーの恐怖感もまざまざに伝わってきます。
 そんな危険もものとしない、今どき珍しいほどアナクロな“男の世界”を描く作品です。前途したように、そのストレートな美しさは、実話ベースの物語を神話の領域にまで高めてくれたと行っても過言ではないでしょう。

 劇中でも、何度もF1レーサーの死亡率の高さが伝えられます。25人のレーサーのうち毎年2名も死んでいるというから、ストーリーテーラーを努める主人公ニキ・ラウダが自嘲気味に、こんな危険な職業を選択するのは、よほどの馬鹿か変人だというのも頷けます。でも危険だからこそ、手に入れがたいものだからこそ、あとさき顧みずプライドをかけて、ラウダを執拗に追いかけ、トップを取りに行ったジェームス・ハントの意固地な気持ちも良く伝わってくるのです。何と言っても、彼は毎年あと一歩のところで、年間王者に大手をかけながらも、ラウダに持っていかれてしまっていたのでした。何事にも派手好きで目立ちたちがりやなハントだけに、どうしてもラウダの立っている場所に己が立たずにいられないという感情がひしひし伝わってきます。
 そんなハントの思いを込めて、レースシーンでは極限まで加速する車のエンジン音が爆発し、早いカット割りでレース中のレーサーの心象を表現していきます。そこに映し出されたものは、単にレース映像を切り貼りしたという代物ではなく、トップの場所に立つ者にしか見えない景色と敗れた者が噛みしめる憧憬とが交差する、まさに“プライド”そのものが、存在感をもって表現されていたのでした。

 それにしても、ラウダとハントのふたりの天才ドライバーは、水と油というより、コインの両面のような表裏一体の存在と言えるでしょう。性格的にもその走りはコンピューターと云われた、緻密で頭脳派のラウダに比べて、ハントは自由奔放。私生活でも、独りの女性を愛し、家庭を大切にしたラウダに比べて、プレイボーイだったハント。そんなふたりが、レース後に鉢合わせでもしたら大変。ハントはラウダをネズミと蔑み、ラウダはハントのプレイボーイぶりを「人気者」といって揶揄して応戦。見ているとちょっと容姿でラウダにはコンプレックスがあったのだと思います。そんなコンプレックスが、彼をF1チャンピオンに押し上げていく原動力になったのではないでしょうか。
 逆に、ハントはモテすぎ!アイコンタクトだけで、知り合ったばかりの看護師やアテンダントと速攻のメイクラブになってしまうので、余計なところに精力使い過ぎていたのですね(^^ゞ

 レースコンデションに対してもふたりの考え方は、対極的。通常のコンデションでも事故率が2割あることから、ラウダは2割を越す天候リスクは負わないと、76年ドイツGPの開催強行に反対。しかしラウダを追い越すためなら死も厭わないとするハントは、目の前のレースしか頭に浮かばない一発屋でした。
 トップを張るラウダも以前は、命知らずの走りで、いまの地位を掴んだのでしたが、愛する人と結婚したとき、「幸福」が「自分の敵」になってしまったのでした。その気持ちよくわかるな。
   

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