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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレ有り】『武士の献立』試写会レビュー[日本公開:2013年12月14日]

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●Introduction
 『釣りバカ日誌』シリーズの朝原雄三が監督を務め、江戸時代に包丁侍として料理の腕を振るった武家に嫁いだ主人公の紆余(うよ)曲折を描く人間ドラマ。加賀藩に実際に存在した料理担当武士・舟木伝内と息子が残したレシピ集「料理無言抄」を題材に、当時の台所事情に迫る。気の強いヒロインを上戸彩、年下の夫を高良健吾が好演。伝統的な和食の世界はもとより、家族や夫婦の絆などを見つめる普遍的な人情劇が胸に染みる。

 春(上戸彩)は人並み外れた料理の才能と味覚を持っていたが、勝ち気過ぎてたった1年で婚家から離縁を言い渡される。加賀藩で料理方を務める舟木伝内(西田敏行)に料理の腕を見込まれた彼女は、彼のたっての願いで伝内の息子安信(高良健吾)のもとへ嫁ぐことに。だが、包丁侍の家に生まれた跡取り息子の夫は料理が大の苦手で……。
[日本公開:2013年12月14日]

コメント(1)

 夫婦役を演じる上戸、高良が生まれ持つヤングでやんちゃな雰囲気と、作品を支える「内助の功」「家族の絆」「つつましさ」といったオーソドックスな日本の道徳観。両者の妙なミスマッチが、なぜか、とぼけたおかしみを醸し出していて、そこに西田敏行が料理の大御所として絡むことで、おかしみの効果が倍増してとても楽しめました。
 主人公の春と安信の関係は、ラブコメの王道をいく展開。最初は反発しながらも、次第に惹かれていくのだけど、ちょっとしたアクシデントで、離ればなれに。でも距離を置いて伴侶だった相手のことを思うと、いかにかけがえのない存在だったかに気づいて、再ゴールインするという流れは、よくある話です。
 それでも春と安信が、本当の意味で結ばれるラストに思わず感動してしまうのは、山田洋次直系の朝原監督の技というべきでしょう。山田監督直伝の間の取り方が本作にも息づいて、作品同様に伝統の継承を感じさせる作風でした。
 
 「武士の家計簿」のように軽薄さを感じさせず、本格時代劇の重厚さの香りが漂うのも、剣の道で培った安信の侠気と義の心に一本ピシッと筋が入っていて、凛々しいこと。そしてそんな安信が巻き込まれてしまう加賀騒動の渦中には、斬り合いを交えた本格的な殺陣シーンもあり、安信が目指した武士としての道が半端なものではないことか示されます。そこをリアルに押さえているからこそ、安信が刀を包丁に変えて、料理の世界に自らが求めた武士道を見いだそうとする所作に、重みを感じさせることになったわけです。

 一方、春の内助の功も感動を呼びます。結婚してた頃、全くやる気のない夫の尻を叩いて、料理のイロハを教えようとする必死さもいいし、一番の見どころは、加賀騒動の渦中にあって改革派の決起に向かおうとする安信の刀を手打ち覚悟で隠してしまうシーンは、思わず泣けしまいました。
 春にはもう一つ気がかりなことがありました。それは、安信の思い人の存在。訳あって親友の元に嫁いでしまったしまったその思い人が、加賀騒動の果てに未亡人となったとき夫の思いを叶えるべきだと思って、自分は身を退こうとするのです。
 そんな健気なところに、思わず感情移入してしまう、理想の嫁さんでした。春が家出し、晴れてずっと思いを寄せてきた人と、思いを遂げるチャンスを掴んだ安信がどんな決断をするのかも、泣かせてくれます。ぜひご注目下さい。

 物語は、浅草の有名料理屋の娘で加賀藩主の側室に仕える春は、同藩の料理方舟木伝内が調理した料理の秘伝の隠し味を言い当て、伝内を驚かせます。春の料理の腕と知識を買った伝内は、跡継ぎの息子安信の嫁となることを懇願するものの、出戻りの春は固辞。

 一方伝内の安信は幼なじみの定之進と剣術の稽古に励むばかり。次男坊であった安信はもともと稼業をつぐつもりはなく、剣の道で身を立てていくつもりでした。それが兄の急死で、意に反して稼業の料理方をつぐはめになったのです。だから藩主らの食事をまかなう「料理侍」の修業に熱が全く入らないし、味も見た目も最悪。

 そんな安信に、伝内は春に安信の家庭教師役として料理の指導を依頼。渋々引き受けのものの、こともあろうに、安信は年上で離婚歴もある春を「古ダヌキ」呼ばわりします。 その物言いに、勝ち気な春の闘争本能が点火!堪忍袋の緒が切れた春は安信に料理勝負を挑みます。

 安信と春はことごとくぶつかり会いながら、お互いの距離を少しずつ縮めて、信頼しあう仲になっていくのでした。ふたりの何ともいえない空気がいい感じ。クライマックスの藩を威信をかけた宴で続々登場する加賀料理の膳の数々に目を奪われがちですが、描かれているの核心は夫婦愛であり、家族愛なんです。だから時代劇といっても堅苦しくなく、若い世代も気軽に楽しめますよ。

 上戸彩と高良健吾の絶妙な掛けあいも可笑しかったけれど、何と言っても伝内を演じた西田敏行が良かったです。持ち前のコミカルさに加えて料理方の重鎮として貫禄のあるところをたっぷりと見せつけてくれました。

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