どこかで雰囲気が見覚えのある映像だと思っていたら、監督が小泉徳宏で納得。小泉監督作品で2006年公開の『タイヨウのうた』はとても好きな作品。YUIが“YUI for 雨音薫”として歌った主題歌「Good-bye days」は20万枚を売り上げたことでご存じの方も多いことでしょう。同じ音楽をテーマにした作品として、凄く共通点を感じました。
あとで触れるとおり脚本は、突っ込みどころ満載の強引な展開。それをワンカットごとに丁寧に登場人物の心情を浮き彫りにして、アラをカバーしてしまう小泉監督の演出の巧みさはかなりのものだと思います。きっと皆さんもこの作品を見ていて、わけもなくグッとくる感情がこみ上げてきたことでしょう。その秘密は、逆光を活かした撮影法や凝ったカメラワークなど巧みな撮影テクニックにあると思います。なかでも上手いのは、間の取り方。突然登場人物から、台詞を奪って、無言の間が数秒続くことも。その空けられた時間に、ヒロインはなぜ『嘘を愛しすぎてる』のか、万感の想いが込められていたような気がしました。