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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレアリ】『人類資金』[日本公開:2013年10月19日]

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●Introduction
 『亡国のイージス』『大鹿村騒動記』などの阪本順治が監督を務め、原作の福井晴敏と共に脚本も担当したサスペンス。いまだ、その存在が議論されている旧日本軍の秘密資金、M資金をめぐる陰謀と戦いに巻き込まれていく男の姿を活写する。佐藤浩市、香取慎吾、森山未來をはじめユ・ジテやヴィンセント・ギャロら、海外からのキャスト陣を含む豪華な顔ぶれが結集。彼らが見せる演技合戦はもちろん、壮大で緻密な展開のストーリーも見もの。

 終戦後、ひそかに回収されたというM資金と呼ばれる旧日本軍の秘密資金。それをネタにした詐欺を行い続けてきた真舟(佐藤浩市)は、石(森山未來)という青年から彼が所属する日本国際文化振興会なる財団の人間に会うよう迫られる。だが、財団のビルに足を踏み入れた瞬間、高遠(観月ありさ)が率いる防衛省秘密組織の一団に襲撃される。石の助けを借りて逃げ出した真舟は、そのまま本庄(岸部一徳)という男に引き合わされ、50億円の報酬と引き換えに某投資ファンドが管理する10兆円ものM資金の奪取を持ち掛けられる。
[日本公開:2013年10月19日]

コメント(2)

 『人類資金』の元ネタであるM資金とは、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が占領下の日本で接収した財産などを基に、現在も極秘に運用されていると噂される秘密資金です。M資金の存在が公的に確認された事は一度もないが、その話を用いた詐欺の手口(M資金詐欺)が存在し、著名な企業や実業家がこの詐欺に遭い、自殺者まで出したことで一般人の間でも有名になりました。

 本作は、M資金誕生の秘密を明かすかのような導入部から、次第にその資金が発展途上国に使われることで、国際格差や経済協力、発展途上国をどう救済するかという方向へ話が流れていき、まるで経済ネタのような展開をみせる作品でした。投資にまつわる専門的なシーンの連続。加えて尺が不足気味なのか、飛び気味な進行。それでも力技でぐいぐい押しまくる坂元監督の演出では、注意してみないと、観客は置いてきぼりにされそうになってしまいます。繰り返し見るか、1回見ただけで納得するためには、原作を読了してから見に行ったほうがいいでしょう。

 なぜそんな展開になるのかというと、以前『闇の子供たち』で発展途上国の貧困と子供たちの虐待を扱った阪本監督の、子供たちの未来のために世界を変えたいという理想論が強く影響しているものと思います。
 主人公の真舟と行動を共にする発展途上国・カペラ共和国の代表が国連で演説するシーンは、森山未來の熱演によって大変感動的なシーンではありました。けれども語っている内容とは、資本主義による富の集中を批判し、経済援助よりも人々の真心が発展途上国の救済と発展に繋がるという主張は、ちょっと現実味がなく説経じみて聞こえるのが残念です。邦画作品が国連でロケするなんて、すごいことではあるのですけどね。

 その根底には、この原作が執筆された時期が、ちょうどリーマンショックにさしか買っていたことが影響したようです。執筆をした福井晴敏がいうには、個人の欲望を満たすことが目的の資本主義は、このままだと必ず行き詰まるから、欲望の充足(つまりは「効用」という概念)を超える人間性を元にした新たな社会システムを展望したかったようなのです。
 トークショウで聞く限りは、福井の目指す世直しのビジョンは、まだ煮詰まっていない気がします。もちろん資本主義に倫理的な価値を加えていくという改革が求められていることは理解できます。これからの企業にとっても価格とか、宣伝力以上に、世の中に社会貢献しているという企業イメージが商品の重要なファクターになって行くことでしょう。 けれども福井自身がまだどう変えていければいいのか漠然としたまま、精神論に結論を持っていったので、青臭く感じるようになってしまったのです。
 あまりネタバレしたくないのですが、カペラを発展される具体的な方法として、なんと国民の大半にPDA(ポケットパソコン)を配るのです。写真の存在すら知らない国民に写真で記憶を残す方法を提供することはそれなりに意義あることですが、そんな人類資金が余っているのなら、なんでもっと学校とか教材とか、人材を育成するための資金に使わないのか疑問でした。原作『人類資金』で福井はくどいように、人には天賦の才能が潜在しているから、その才能を引き出すことが世の中の発展に繋がることを懇々と述べているのです。
 そういうわけで、本作は『闇の子供たち』で提起された発展途上国の課題をに対する「答え」を明示する作品でした。
 キャスト的には、重厚な作品のなかで、真舟を演じる佐藤浩市が意外なところで爆笑ギャグを放ちますからお楽しみに。また、『亡国のイージス』とはちがって派手にドンパチする爆破シーンが皆無なのです。その代わりに監督が用意したのが、仲代達矢が激怒するシーン。その迫力たるや爆破シーンに匹敵するものがありました。
 一番疑問に感じたキャストが、詐欺師の腕を見込んで、真舟にM資金の詐取を指令する謎の人物Mを演じた香取慎吾。抑制が効いた芝居の中から滲み出てくるものが、ちゃんとあるものの、M資金にカランだ大掛かりなファンドを動かしている黒幕としては、貫禄不足です。香川照之あたりに演じさせればぐっと画面がしまったのではないでしょうか。他には、ひょっこりオダギリジョーが登場してくるのも意外です。なにげに豪華キャストなんです。そういえば、豊川悦司も漲る殺気で怖かったのですが、何分とある機関のトラブル処理係。出番が真舟たちを追い詰める、あれだけなんて贅沢すぎますぅぅぅ〜。

 そもそもカット割りの少めでアート志向の強い阪本監督が本作のような娯楽アクション映画にあっていないことが問題ではないでしょうか。例えば大友監督が本作を手掛ければ、細かいカット割りと絶妙な伏線のリンクで、グイグイとラストに向けてM資金ら踊らされる人間たちの狂乱に引き込まれていったことでしょう。

 最後に、エンドロール終了後にも、カペラでの石油開発事業に絡む仕手戦の顛末が語られる映像が出ますので、お席を立たないでください。

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