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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレアリ】『劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日』[日本公開:2013年8月31日]

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●Introduction
 クリント・イーストウッドが監督と主演を務め、アカデミー賞作品賞などに輝いた西部劇をリメイク。江戸幕府最強の刺客として恐れられた男が、やむを得ぬ事情から一度は捨てた刀を手にしたことから壮絶な戦いに身を投じていく姿を描く。メガホンを取るのは、『フラガール』『悪人』の李相日。ハリウッドでも活躍が目覚ましい渡辺謙をはじめ、、柄本明、佐藤浩市らキャストには実力派が結集。彼らの妙演に加え、開拓時代の西部から明治初期の北海道への舞台移行などの改変点にも注目。

 1880年、開拓が進む江戸幕府崩壊後の北海道。人里離れた土地で子どもたちとひっそりと暮らす釜田十兵衛(渡辺謙)だが、その正体は徳川幕府の命を受けて志士たちを惨殺して回った刺客であった。幕末の京都で人斬(き)りとして名をとどろかせるも、幕府崩壊を機に各地を転々と流れ歩くようになり、五稜郭を舞台にした箱館戦争終結を境に新政府の追手をかわして失踪。それから10年あまり、十兵衛に刀を捨てさせる決意をさせた妻には先立たれ、経済的に困窮する日々を送っていた。そこから抜け出そうと、再び刀を手にする彼だが……。
[日本公開:2013年8月31日]

 先ずはテレビ版を知らない人のために、簡単に『タイムスクープハンター』を解説しておきましょう。

・・・・・(Wikipediaから抜粋)
 未来から来た「時空ジャーナリスト」が時を遡って取材する「密着ドキュメント」という設定で、さまざまな時代の日本社会を題材に、実在する史料などから知られる庶民の生き様や風俗などの一端を、いわゆるモキュメンタリーの手法を用いてリアルなドラマ仕立てで再現してみせる。

 本質的には歴史教養番組であり、一般のいわゆる時代劇などとは一線を画した作りである。史料にもとづく正確な時代考証をとくに重視し、また可能なかぎりのリアリティを追求した作風を維持している。「ジャーナリスト自身による手撮り映像」という設定でドラマは進められ、ときには取材対象人物への軽いインタビューなども交えて、表面からは見えにくい背景事情や当時の人々の思いなどについて理解できるように工夫されている。加えて、「ジャーナリスト自身が“本部”にいるアシスタントスタッフに問い合わせる」形で、さらに幅の広い関連情報が示されることもあり、これも視聴者の歴史理解を深めるのに役立っている。
・撮影用の照明機材をほとんど使用しない。日中は自然光を光源とし、夜間のシーンでは当時の照明器具のみによって撮影。
・それぞれの時代や身分に応じた日本語のリアルな再現を試みている。わかりにくい言葉遣いを用いる場合は、現代語に訳した字幕をのせることで対応している。
・ジャーナリスト役の要潤は、ごく簡単なものしか脚本を与えられておらず、撮影時においては自身でも知らない展開が目の前で次々と繰り広げられてゆくのを目の当たりにし、そこにアドリブで実況を加えるという撮影スタイル
・・・・・

コメント(1)

 ということで形を変えた本作は歴史再現ドラマなのです。
 劇場版では、30分のテレビ版で触れることのない、タイムスクープ社の内情とか記者の沢嶋の取材風景など克明に触れるので、初めて本作に触れる人でもテレビ版を見ていなくても充分理解できます。
 特に本作のポイントは、沢嶋が歴史に対する矜恃が語られることです。タイムスクープ社の歴史調査は二つの組織に別れています。「歴史上の大事件や有名人物の調査」を「第一調査部」が、「名もなき人々の営みの調査」を「第二調査部」が担当していて、沢嶋が所属するのは「第二調査部」でした。
 今回初めて調査に同行することになった細野ヒカリのような新人の研修生からみれば、「第二調査部」は地味な部署に見えてしまいます。しかし、第二調査部員としてのこだわりを持つ沢村は、歴史ミーハーなヒカリに、「大きな歴史の中で彼らに光が当たることはない。しかし彼らがいたからこそ歴史は繋がれてゆく」と語り、実際の調査活動で証明してみせるのです。

 タイトルは、「安土城 最後の1日」ながら、当初の沢嶋の取材目的は、本能寺の変後に揺れる京都の民衆を取材することでした。一切武将を相手にしないところに沢嶋らしさが滲みます。その中から沢嶋は、人々の救助にあたっていた織田家の武士・矢島権之助に密着することにしたのです。ところが権之助のもとに、博多の豪商・島井宗叱が立ち寄り、持参した茶器とともに博多に無事送り届けてほしいと懇願。「織田家最後のご奉公」として、という言葉に突き動かされて権之助は承諾します。密着取材中の沢嶋も同行することに。この茶器が盗難に遭ったことで、行方を捜して「安土城 最後の1日」に辿りつく流れは。なかなか脚本がねられていて、よく繋がっています。その中のエピソードで野盗の襲撃を受けた権之助らに加勢する農民たちは、シーズン5の14話に登場した・山城国・大幡村の農民たち。せっかく14話では村の守り神のお石さまを織田軍の収奪から投石だけで守り抜いたのに、劇場版では結局とられてしまったことになっていました。ちょっと残念。農民たちもお石さまを取り返すために、権之助たちに加勢して安土城に向かうことになったのです。このように、随所にテレビ版のエピソードが散りばめられていました。

 さて、タイムトラベルもので鉄則は、歴史を変えてはならないこと。タイムスクープ社も例外なく、逸脱した場合調査員に本来の史実に戻す「歴史修復作業」を命じることになります。本作の場合、島井の茶器が沢の濁流にのまれたことで、その後の日本の歴史が大きく変わってしまいます。指令を受けた沢嶋とヒカリは、戦時中の日本に飛び、学校の倉庫に保管してあった茶器を盗み出して歴史を還元しようとするのです。
 でも、調査員の衣装のまま戦時中の日本に舞い込むのは目立ち過ぎます。案の定、見つけられて逃走劇に。茶器を盗み出すシーンは、ミッション:インポッシブル並みのスリルでした。「歴史を変えてはならない」と自戒している割には、歴史を大きく変えてしまうようなリスキーな行動を沢嶋はやってしまいがちなんですね。

 もう一つ、スリルを感じさせるポイントは、タイムスクープ社を裏切った調査員の存在。歴史上の著名な品々は、当然骨董価値は相当高くつくものです。そんな金銭価値に目が眩んだ調査員が、茶器に目をつけて「フリーズガン」で沢嶋を襲ってです。本部も巻き込んで暗躍する歴史コレクター。裏切り者は誰かという謎と、タイムスクープで時空を超えて、何時何時沢嶋が襲われるかしれないという緊迫感でハラハラさせられました。間一髪という状況が繰り返えされるので、少しも飽きさせません。

 そしていよいよ安土城に辿りついた沢嶋たちと、先に到着して宝物の独り占めを狙う野盗たちとの対決シーンが見物でした。このシーンでは、野盗の頭目で権之助の元同僚だった伴山三郎兵衛と対決する殺陣のシーンが必見です。
 主役を喰らうくらい権兵衛役の時任三郎が凛々しく決めるのです。それだけでなく、昔の同僚を切らざるを得なかった悲しみもたっぷり伝えてくれました。

 さて、ラストなのに安土城は全然燃えていません。しかも、ルイス・フロイスの報告や『日本西教史』収載の当時の宣教師の記述によって放火した犯人とされる織田信雄は、まだ安土に到着していなかったのです。しかし、その歴史上の刻限は刻々と迫るのに、エンディングクレジットが。火の手が上がる安土城が燃えた原因は、結局分からずじまいかと思った瞬間、エンドロールで、沢嶋が放ったスクリーンカムロポットの映像がレポートされていくのです。1号機から順々に、城内の野盗の振る舞いや、加勢した農民たちの一寸したミスなどクローズアップされるもの決定的ではありませんでした。そして最後の5号機が映し出したものは…なぁんと…ガッカリ!

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