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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレアリ】『許されざる者』 [日本公開:2013年9月13日]

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●Introduction
 クリント・イーストウッドが監督と主演を務め、アカデミー賞作品賞などに輝いた西部劇をリメイク。江戸幕府最強の刺客として恐れられた男が、やむを得ぬ事情から一度は捨てた刀を手にしたことから壮絶な戦いに身を投じていく姿を描く。メガホンを取るのは、『フラガール』『悪人』の李相日。ハリウッドでも活躍が目覚ましい渡辺謙をはじめ、、柄本明、佐藤浩市らキャストには実力派が結集。彼らの妙演に加え、開拓時代の西部から明治初期の北海道への舞台移行などの改変点にも注目。

 1880年、開拓が進む江戸幕府崩壊後の北海道。人里離れた土地で子どもたちとひっそりと暮らす釜田十兵衛(渡辺謙)だが、その正体は徳川幕府の命を受けて志士たちを惨殺して回った刺客であった。幕末の京都で人斬(き)りとして名をとどろかせるも、幕府崩壊を機に各地を転々と流れ歩くようになり、五稜郭を舞台にした箱館戦争終結を境に新政府の追手をかわして失踪。それから10年あまり、十兵衛に刀を捨てさせる決意をさせた妻には先立たれ、経済的に困窮する日々を送っていた。そこから抜け出そうと、再び刀を手にする彼だが……。
[日本公開:2013年9月13日]

コメント(1)

 9月2日(月)にもプレミア試写会あって、参加するので、渡辺謙のコメントなど交えて、また来週レビューアップします。今日は、取りあえず速報ということでご勘弁下さい。
 
 主人公の十兵衛は、幕末の京都で人斬りとして名をとどろかせるも、蝦夷の地へ逃走する中で、アイヌ人の奥さんを娶り、彼女の愛で人間らしさを取り戻した結果、「不殺の誓い」を自らに律したという点で、凄く「るろうに剣心」に似ています。

 大友版「るろうに剣心」でも緋村剣心の内面をエモーショナルに描写してしていきますが、それに加えて斬り合いのシーンが派手な大立ち回りなので、エンタティメントとしても楽しめるアクション映画となっています。
 ところが本作の場合、十兵衛の人斬りシーンは極端に少ないのです。せめて「るろうに剣心」の冒頭のように、幕末でいかに切りまくっていたかという十兵衛の狂気の部分を描いて欲しかったです。李監督は、逆に十兵衛の狂気を徹底的に封印。冒頭の新政府の旧幕臣狩り部隊に急襲されるシーンでも、十兵衛の強さを見せずに、何とか生抜く無様な姿をさらけ出すのです。
 十兵衛とは遺恨のありそうな蝦夷地の警察署長大石に捕まった時も、全くの無抵抗で殴られるまま。半殺しにあっても「不殺」を守り抜こうとします。だからなかなか斬り合いがない展開となって行くのでした。
 その間に見せつけられるのは、大石の横暴さ。十兵衛の敵役として、たっぷりと憎むべき理由をスクリーンに重ねていくのでした。大石が登場する度に、観客としてはフラストレーションが募っていく仕掛け。李監督は、大石への復讐心をマックスに持っていったところで、十兵衛の狂気を解きはなたかったようです。だから徹底的にじらします。
 アイヌの人達が警察に暴力的に扱われていて、それを相棒のアイヌ出身の青年の五郎が助けにいこうとしても冷静に止めに入ったりと、十兵衛は妻に立てた誓いを破ろうとはしませんでした。
 しかし、何も罪のない旧友が、大石に捕まって拷問を受けたとき、十兵衛は切れたのです。その殺気たるや、背中が凍りそうでした。
 そんな渡辺謙が鬼に変貌する演技や、大石を演じる佐藤浩市のクールな憎まれ役ぶりなど、本作はここの役者の芝居を味わう作品ではないかと思います。氷点下20度の極寒で撮影された現場で、寒さとも戦った出演陣は、並大抵の覚悟で演じることはできなかったでしょう。そして李監督の演技指導は、佐藤+渡辺の主演級の乱闘シーンでも、殴り合うテストを25回もやって、渡辺が死ぬかと思ったひびったくらい気合いのこもった現場だったようです。
 本作が日本映画の水準を越えた作品だと出演陣が口々に語っているのも、ハリウッドみたいに仕掛けがデカいからではありません。久々に黒澤映画みたいな重厚感を感じさせる原動力にあるのは、ワンカットごとに納得がいくまで監督・出演者が熱意を持って作り上げていることです。予算と期間に縛られがちな邦画作品にとって、納得がいくまでテストできる作品とは何と贅沢な作品なのでしょうか。そんな映画の醍醐味を感じさせる仕上がりだったのです。
 ただ残念なことに、音響が悪く一部台詞が聞き取りにくいシーンがありました。なので一回見たぐらいでは、十兵衛の心境の変化が掴みにくいと思います。かなり説明的なシーンを省いて観客の想像に委ねているところが多いので、集中してみていないと置いてけ堀になってしまいますから、気をつけてくださいね。
 
 出演陣としては、五郎を演じた柳楽優弥が印象的でした。若造の役で、軽いノリで十兵衛に絡むのですが、同族のアイヌ人に対してはほっとけないという熱さと少数民族の悲哀を上手く演じていたと思います。

 最後に、賞金稼ぎの旅に出る十兵衛らが馬にまたがり蝦夷の地を闊歩する姿は、西部劇そっくり。ジャパニーズ・ウェスタンといってもいいくらいの映像でした。

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