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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレアリ】『インポッシブル』[日本公開:2013年6月14日]

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●Introduction
 ナオミ・ワッツとユアン・マクレガーが主演を務め、スマトラ島沖地震後に発生した津波に遭遇した一家の実話を基に描く感動の人間ドラマ。突如襲った災害により一時は離散してしまうも、諦めることなく生き抜いた家族の絆を描き出す。監督を務めるのはデビュー作『永遠のこどもたち』も好評だったスペインの新鋭フアン・アントニオ・バヨナ。危機的状況の中、サバイバルする人々の姿をパワフルな映像と胸打つ物語でつづるバヨナ監督の手腕にうなる。

 2004年末、マリア(ナオミ・ワッツ)とヘンリー(ユアン・マクレガー)は、3人の息子と共にタイにやって来る。トロピカルムードあふれる南国で休暇を過ごすはずだったが、クリスマスの次の日、彼らは未曾有の天災に巻き込まれる。一瞬にして津波にのみ込まれ、散り散りになった家族はそれぞれの無事を祈りつつ再会への第一歩を踏み出す。
[日本公開:2013年6月14日]

コメント(2)

 余りの津波シーンのリアルさに気分が悪くなって、試写会場では途中退場するほどの凄まじさでした。津波そのものも凄いのですが、被災した後の生存者に追い打ちをかけるかのようなサバイバルの描写がいたたまれなくなってくるのです。
 それもそのはずで、CGを使わずミニチュアセットと人物の合成で、本物らしい迫力あるシーンを描きだしたのです。音もなく、水のうねる感じと物がぶつかってくる感じが津波にのみ込まれたときの臨場感を醸し出していて、バヨナ監督の優れた演出力を感じさせてくれました。

 しかし、この作品はパニック映画ではありません。巨大津波にのみ込まれてしまい、生き別れになった家族が、お互いの生存を信じて諦めず、最後の最後まで再会への希望を持ち続けるというヒューマンドラマなのです。その絆の深さに感動しました。
 主人公家族がいかに家族愛に包まれているか、バヨナ監督は震災前のバカンスを楽しんで入る状況から念入りに描いて行きます。そして、生き別れた妻マリアと長男を捜すべく、断腸の思いで残された子供たちを安全な場所に疎開させてまで、ひとりで探索に当たろうとする夫ヘンリーの姿に、家族に対する想いが色濃く滲み出ていました。
 一方、深手を負って入院したマリアに付き添った長男ルーカスが、なにも知らされず病室を移動させられた母親を捜す真剣さも胸が痛くなるほどの思いでした。ここで感動を熱くするのは、離ればなれになった家族がきっと再会できることの信念です。絶対に再会するまで諦めないという想いがヒシヒシと伝わってきました。そんな家族の思いとは裏腹に、バヨナ監督は徹底して再会をじらしまくります。
 偶然入院先の病院にたどりついたヘンリーだけど、入院名簿にマリアの名前が見当たらずすごすごと引き上げようとするすぐそばでは、母親に水を飲ませようと給水の順番を待つルーカスがいるではありませんか。しかも、外では避難所を目指す次男坊たちを乗せたトラックが、丁度病院前で立ち往生していたのです。至近距離で家族が揃っているのに会えないもどかしさ、待ち受けるのは再会の感動か、離別の悲しみか、思いっきり貯めて貯めて爆発させるバヨナ監督の仕掛けに脱帽しました。

 また、本作はルーカスが他人を思いやることに気付く成長の物語でもあります。震災前の段階では、幼い弟たちの面倒を見ようとしないジコチュウ気味の性格だったのです。
 それが震災を経験し、たったひとりの肉親となった母親を命懸けで守ろうとする中で、大きく変わっていったのでした。マリアが入院した病院のなかで、当初は自分の母親のことで一杯だったのに、ちょっとしたきっかけで入院中の患者の家族の消息を調べて引き合わせようとする活動を自発的に始めます。そこには、同じ不幸を味わったもの同志が助け合っていこうとする自然な感情と、誰かの役に立つことが自分の幸せに感じる生き甲斐が滲み出ておりました。ルーカスの活躍で多くの家族が再会できるシーンもなかなか感動的です。

 演技面では、病に伏せるマリアの絶望と恐怖、そして怪我や病の苦しみの中で、微かに家族と会える希望を滲ませるナオミ・ワッツが凄かったですね。

 ところで一度は公開中止となった本作。公開が復活した背景には、東日本の被災地の方への思いが込められていると思います。被災地の方がご覧になっても、多くは当時を思い出して気分を悪くされてしまわれることでしょう。それでも本作はその厳しい現実をリアルに描くことだけでなく、その逆境を乗り越えていった家族の物語を実話に即して描くことで、希望を持つことに繋がればと意図しているのではないでしょうか。
 もとより被災地以外のものとして、安直な励ましの言葉や同情では被災地の方々の家族や家屋を失った悲しみはぬぐえるものではないでしょう。けれども本作をご覧になって、自分たちと同じような経験をした人がいることを知り、自分たちの悲しみを心から解ってくれる人物が世界中にいることをかんじてもらえれば、幾分その悲しみも和らぐのではないかと思います。

 本作は、自分が同じ立場に立たされた時、同じように行動できるだろうかと思わず感情移入してしまう作品でした。実話だけに、どんな状況になってもあきらめず、心を強く持って行動する家族全員の行動が素晴らしいと感じられました。辛くて自分だけのことを考えたい被災状態でも、ルーカスのように他人を思いやれるのところは見習いたいものですね。

●【参考】バヨナ監督処女作品『永遠のこどもたち』試写会レビュー。
http://blogs.yahoo.co.jp/go_sinzan/27892491.html
 ヨーロッパでスピリチャルムービーとして大ヒットした本作ですが、超常現象モノとしありがちな演出とは一線をおき、愛するものを失った喪失感を最高に美しく描いていて成功していると思います。

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