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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレアリ『ストロベリーナイト』 [2013年1月26日公開]

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●Introduction
 誉田哲也の“姫川玲子シリーズ”を竹内結子主演で映像化したドラマの映画版が登場。本作は原作の「インビジブルレイン」のストーリーを軸に、ドラマシリーズでは見られなかった姫川玲子の新たな一面を描き出す。ほとんどのシーンが雨の中で進んでいくのも本作の大きな特徴だ。大きな傘や窓にしたたる雨の雫が、登場人物たちの心情を無言で表現している。リアルに描かれた捜査会議の模様や警察内部の対立なども面白い。竹内結子、西島秀俊、遠藤憲一らドラマでおなじみのメンバーに加え、事件の鍵を握る存在として大沢たかお、染谷将太らが印象的な演技を見せる。監督は『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』の佐藤祐市。

 誉田哲也の人気ミステリー小説『姫川玲子シリーズ』を原作にしたテレビドラマの劇場版。警視庁捜査一課で活躍する才色兼備の女刑事・姫川玲子が、ヤクザを狙った連続殺人事件に挑む。出演は「はやぶさ/HAYABUSA」の竹内結子、「CUT」の西島秀俊、「終の信託」の大沢たかお。監督は「キサラギ」の佐藤祐市。

雨の夜、中野東署管内で男の死体が見つかり、警視庁捜査一課・姫川玲子(竹内結子)のもとに、入院中の上司・今泉(高嶋政宏)から連絡が入る。被害者は29歳の小林充(金子ノブアキ)という男性。龍崎組傘下“仁勇会”の下部組織“六龍会”の構成員だった。体中の多数の刺し傷、縦に切り裂かれた左目という犯行方法が、5日前に起きた三鷹の殺人事件、3日前の業平橋の殺人事件と一致。連続殺人事件と見た警察は、姫川班の管轄である中野東署に合同特別捜査本部を設置。三鷹、業平橋との合同捜査となる。姫川班の他、玲子のライバル・日下(遠藤憲一)、組対四課、昇任で異動したはずの井岡(生瀬勝久)など捜査員たちが次々と会議室に集まる。各事件の被害者がすべて広域指定暴力団・龍崎組の構成員だったため、事件は内部抗争の可能性が高いとされた。会議終了後、玲子は偶然“小林充を殺したのは柳井健斗(染谷将太)”という不審なタレコミを受ける。3つの事件は果たして連続殺人事件なのか?玲子の頭を疑問がよぎるが、管理官の橋爪(渡辺いっけい)からは、“捜査線上に柳井健斗の名前が出てきても一切触れるな”という命令が下る。納得できない玲子は、姫川班と井岡を部下の菊田(西島秀俊)に託し、単独捜査を開始。菊田は石倉(宇梶剛志)、葉山(小出恵介)、湯田(丸山隆平)ら姫川班のメンバーとともに玲子の単独行動をサポートする。やがて玲子が辿り着いたのは、柳井健斗の家族を襲った9年前の悲しい事件。数日後、玲子は柳井の知り合いで成稜不動産の営業部長を名乗るマキタ(大沢たかお)という男に出会う。だが、その正体は龍崎組若頭補佐・極清会会長の牧田勲。連続殺人事件の渦中の人物だった。この出会いが玲子の人生を大きく変えてゆくことになる。一方、複雑に絡まった一連の事件は、警察の威信を揺るがし、捜査は思いがけない方向へ……。辿り着いた真実の先に玲子が見たものとは……?
[2013年1月26日公開]

コメント(1)

 さすが「キサラギ」の佐藤祐市監督なだけに、テレビドラマの映画化にあたり違いを出そうと拘っていました。例えば結構残酷でリアルな殺害シーンと死体の描写だったり、全編の殆どが雨の設定を武器にした、カラフルな傘の動きから、その場面の登場人物の気持ちを代弁させたり、映画ならではの叙情ある絵作りを作り込んでいたのです。
 さらに捜査会議で露呈する警察内部の矛盾、内部対立の描き方は、『アウトレイジ』に迫る緊迫したぶつかり合いを見せてくれました。
 そうしたこだわりにより、テレビドラマにありがちな薄っぺらさは払拭できていると思います。

 けれども作品の企画レベルで再検討した場合、どうもフジテレビの刑事ドラマは警察による隠蔽工作というネタがワンパターンになっているキライがあると思います。本作でもし姫川が事件は「現場で落ちている」といって、単独捜査に乗り込んでいったら、もうこれは例の超有名刑事ドラマの焼き直しであることが明確になったことでしょう。ただ姫川の置かれた立場はもっと過酷で、事件の全てを隠蔽しようとする上層部の圧力は凄まじく、姫川の信頼する直属の上司すら、それに逆らえないという状況なのです。周りに迷惑をかけられないと、捜査会議にも出ないで単独でホンボシを追う菊川は、どんな刑事ドラマよりも孤独な立場に追い込まれていたのです。

 本作のテーマは、家族を理不尽に殺されたもの同志が、こころの傷を分かち合う絆が、事件を起こし、ヤクザと刑事が立場の違いを超えて繋いでしまうところにあったはずです。
 これがテレビ朝日作品だったら、もっと登場人物たちの、心の傷にスポットをあてて止むに止まれぬ感情をえぐり出したことでしょう。でもフジテレビの方針は、あくまで警察の隠蔽工作のほうに重点が置かれてしまい、心の傷のインパクトが弱くなってしまったと感じました。

 だから孤独な操作を続ける姫川に接近する龍崎組幹部であり、捜査の過程で有力な容疑者となってゆく牧田と肉体関係まで発展してまう流れが唐突に感じられてしまったのです。
 牧田と密会していることは、捜査会議で対立する組対四課のスタッフもすぐ掴んでしまい、菊川を追及しようとします。
 捜査会議を無断で欠席して、マルタイと密会していたとなると、『相棒』なら確実に監査官のお出ましとなり、査問が始まることでしょう。しかし本作は最後まで姫川は現場に残れるのでした。

 上層部の隠蔽工作の判断にも、無理があると思います。9年前の捜査ミスをもみ消すために次々に起こる連続犯殺人事件を龍崎組内部の抗争事件として処理しようとします。そのために泳がされてしまう犯人のために、犯罪が拡大してしまったのに、それでも隠蔽の上に隠蔽を重ねようとするのです。そんな異常な判断に、中間管理職の刑事たちは必死で耐えようとし、姫川の動きの封じ込めにかかるのです。しかしものには限度があり、現に殺人が連鎖して発生している状況であれば、まともな刑事魂を持っているベテランなら、ホンボシを隠蔽できるはずがありません。逆に上層部に反旗を翻して姫川に協力してしまうのが自然な流れでしょう。それを耐えてしまうところが疑問なのですね。
 
 姫川と牧田が初めて出会うシーンでの、一本の傘の貸し借りにも、お互いの複雑な気持ちが込められているなど、一つ一つの場面の動きに丁寧な理由付けが為されているのが観客にも伝わってきます。そんな佐藤監督の奮闘も、企画段階で原作をどう切り詰めるかというプロデューサーの大枠の方針が打ち消してしまっているように思えてなりません。『相棒』や『臨場』が真犯人を単に断罪するのでなく、その犯行動機に深い余韻を持たせています。そんな余韻が感じられないのは、ワンパターンな背景を選択したフジテレビの問題ではないでしょうか。

 それにしても、本作で男勝りの捜査官姫川は魅力的なキャラで、竹内結子は好演していると思います。ラスト近くの雨に濡れるイメージショットで、姫川の心境の変化をほのめかすエモーショナルな演技は、こころにグッときました。
 ただやっぱり竹内結子はどんな作品でも清純派を貫いてしまうのですね。やっぱりあの濡れ場は、フルヌードで大沢たかおと絡んで欲しかったです。激しい絡みであるほどに、姫川と牧田が共に背負ってきた傷の深さが、もっと強く印象づけられたことでしょう。

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