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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレアリ】『恋のロンドン狂騒曲』 [2012年12月1日公開]

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●Introduction
本作は大ヒットした『ミッドナイト・イン・パリ』の前作にあたるロンドンを舞台にしたコメディ。いくつかのカップルの別れと出会いを同時進行させるスタイルは、アレンにとってはお手のもの。ただし、恋の幻想をシニカルに描いた本作は、コメディながらもオチはシビア。登場人物たちの多くは、自分やパートナーにないものを求めて、現在のカップルの関係を解消していくが、結局誰が幸せになったのかと言えば、という皮肉が効いている。珍しく情けない老人を演じるホプキンス、ダメ作家のブローリン、から回りしてしまうワッツ、そしてフレッシュな魅力たっぷりのピントなど、俳優たちの魅力もたっぷり活かされている。絶妙な小話だが、奥深さは相変わらずだ。

思いがけず人生の転機に差し掛かった男女の姿を描くラブコメディ。監督・脚本は、「ミッドナイト・イン・パリ」のウディ・アレン。出演は、「J・エドガー」のナオミ・ワッツ、「メン・イン・ブラック3」のジョシュ・ブローリン、「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンス、「私が、生きる肌」のアントニオ・バンデラス。

アルフィ(アンソニー・ホプキンス)とヘレナ(ジェマ・ジョーンズ)はおしどり夫婦だった。しかし、ある夜、ベッドで死の恐怖に襲われたアルフィが若さを取り戻そうと猛特訓に励み、ついに家を出て行ってしまう。ショックで憔悴したヘレナは睡眠薬で自殺未遂を起こし、一人娘サリー(ナオミ・ワッツ)の世話に。さらにクリスタル(ポーリン・コリンズ)という怪しい占い師の元に通い始める。サリーの夫ロイ(ジョシュ・ブローリン)は小説家だが、デビュー作以降スランプに陥っていた。子作りにも消極的なロイにサリーの苛立ちは募る。やむなくロンドン市内のアートギャラリーで働き始めたサリーは、オーナーで既婚者のグレッグ(アントニオ・バンデラス)に惹かれ、彼と歩む未来を妄想し始める。ロイは友人ヘンリーから初めて書いた小説を読んでほしいと頼まれるが、それは並外れた才能がみなぎるものだった。ロイは、向かいのアパートに引っ越してきたエキゾチックな美女ディア(フリーダ・ピント)を、窓越しに眺めることを心の慰めにするようになる。そんなある日、アルフィが自称・女優のシャーメイン(ルーシー・パンチ)という若い女性と再婚すると言い出す。実はシャーメインの正体はコールガールで、彼女を買ったアルフィが抜群のベッド・テクニックで骨抜きにされたのだった。ある雨の日、ロイはディアをランチに誘い出すことに成功し、恋人との結婚に不安を抱く彼女を口説く。仕事帰りにグレッグとオペラを鑑賞したサリーは、彼が妻と上手くいっていないことを打ち明けられる。クリスタルのインチキ予言に心酔するヘレナは、オカルト系ショップを営むジョナサン(ロジャー・アシュトン=グリフィス)と出会い、意気投合。やがて、シャーメインの浪費癖のためにアルフィは困窮し、グレッグが妻を捨てるというのはサリーの思い違いであることがわかる。また、ディアの結婚を阻止したロイは、交通事故に遭ったヘンリーの小説を自分のものにしようとして泥沼にはまり……。
[2012年12月1日公開]

コメント(1)

 ウディ・アレン監督が、先に公開された「ミッドナイト・イン・パリ」の前にロンドンで撮った恋愛喜劇。恋に身を焦がす登場人物たちの何気ない日常を描いていて、あまり映画を見ない人でも、身構えずに見られます。但し、そこはアレン監督作品。注意深く見ていけば、皮肉たっぷりの人生模様が浮かんでくるのです。
 話のテーマの表向きは、人はいくつになっても恋なくして生きられないというものです。描かれる4組の恋は違って見えますが、結局は現実逃避から生まれた幻想でしか過ぎないし、夢からさめると厳しい現実が待ちうけていること。アレン流にコミカルに味付けされていても、強烈な毒気を盛り込んでいたのです。そこには、人の不幸をのぞき見ると可笑しいものだという禁断の心理が隠されていたのです。恋の幻想に狂わされてしまう当人たちにとっては真剣に奮戦するほどに、それをのぞき見る観客からすれば、滑稽としか写らないのですね。でも、当人たちは、まるで蜘蛛の糸にしがみつく亡者の如く、恋が生み出す幻想のなかに、のめり込んでいくわけです。
 人の不幸をネタに楽しんでしまう点で、アレン監督と観客は“共犯者”のような悦楽を感じてしまう作品でした。アレン監督の人間の愚かさやおかしさを肯定も批判もしない達観した眼差しは、意地の悪い神様か、はたまたおちゃめな悪魔のようでもありました。

 始まりは、40年連れ添ったアルフィとヘレナ夫妻の突然の離婚から。その理由はやがて訪れるであろう死への不安にアルフィが取り憑かれてしまったため。アルフィは、若さを取り戻すため、家を出てしまうのです。

 アルフィは小綺麗なマンションを借り、ジムに通って体を鍛え、スポーツカーに乗り廻します。そして驚くことに、娘より若くてケバケバしい女性と再婚してしまうのです。でもこの結婚、実はたまたま部屋に呼んだコールガールを金にあかして口説き落としたものでした。しかし次第に金銭面で追い詰められて、おまけに再婚した妻の浮気も発覚してしまいます。

 そんなアルフィと別れたヘレナは、離婚のショックから一時は、精神薬に依存するものの効果が出ず、クリスタルのお告げと称する怪しい占い師に心酔し、精神世界に傾倒していきます。やがてオカルト系の本などを扱う店を営む男と過去世の話で意気投合、結婚を意識するものの、その男にも問題が…。

 一方、ヘレナが頼りにしている娘サリーは、は夫と不仲。勤め先の画廊のオーナーといい感じになったと早合点して期待に胸を膨らませるものの、妄想でしか過ぎなかったのです。サリーの夫で売れない小説家ロイもまた、向かいのアパートのエキゾチックな美女に心をときめかします。何度かの偶然が重なり、この美女の結婚を思いとどまらさせ自分のものにしたものの、問題は交通事故で死の床にいる友人の未発表の小説を自分のものにしたこと。事も有ろうに、てっきり死んでしまうものと思っていたら、意識が回復したことで、次第に追い詰められていくことになります。

 人は誰もがよりよい人生を夢見て、選択を繰り返します。けれども、一見幸運を引き当てたようでも、禍福は糾える縄の如く、皮肉な事態を引き起こしかねないものなのですね。劇中に登場する4組のカップルは、それぞれ離婚を機会に、今度こそ幸せになれると思ったことでしょう。そうはさせじと、次々トラブルを仕掛けるアレン監督は、なんと意地悪ジジイなことなんでしょうね(^^ゞ

 気になるのは、精神世界の扱い。ヘレナがしきりに過去世の話ばかりに夢中になっていく姿を捉えて、ナレーションでは精神薬に依存するよりかは、クリスタルのお告げに耳を傾けるほうが本人にとって救いとなるかもと皮肉たっぷりに語られるところに、カチンときました。ただ劇中のヘレンのように、神秘的なことに依存して、主体的に考えられなくなるのも問題ですね。自らの正しい心の探究という強い自助努力の精神があった上での、占いや精神世界の言葉を参考にする程度に止めておくことが大切ではないでしょうか。

 まぁ今回は主演をアレン自身から、ホプキンスを迎えたことで、アルフィの現実離れした浪費生活にリアルティが感じられるようになりました。ケバケバしい女をパートナーにしても、老いを感じさせないダンディさがかっこいいんです。いつもは恐怖劇の主人公となり、怖い顔を浮かんでくるのがお決まりのホプキンス。でもたまには若い女を侍らせて、にやけている姿を見るのも、映画ファンなら面白いと思いますよ(^。^)

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