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映画レビューアーフォーラムコミュの【ネタバレ有り】『おおかみこどもの雨と雪』[2012年7月21日公開]

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●Introduction
 いま世界で最も注目を集めるアニメーション映画監督、細田守。『時をかける少女』『サマーウォーズ』と一作ごとに鮮烈な印象を与えてきた細田監督の長編4作目となる本作は、前2作の“青春”“結婚”の先にある、“親子”“母と子”がテーマ。19歳の主人公・花の“おおかみおとこ”との出会いから、恋愛、結婚、出産、子育て。そして、その子供たち≪おおかみこども≫の成長と自立までの13年間を描く、「母と子」の一大巨編である。脚本は、自身も一児の母である『八日目の蝉』の奥寺佐渡子。キャラクターデザインは、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズでも人気の貞本義行。アニメーション企画・制作には、これまで細田作品のプロデューサーであった齋藤優一郎が、細田監督と共に新たにスタジオ地図を設立し、細田監督作品の礎となる。『時をかける少女』『サマーウォーズ』から続く、まさに鉄壁のスタッフ構成が実現した。(作品資料より)

「時をかける少女」「サマーウォーズ」とで普遍的なテーマを疾走感溢れる瑞々しい感覚で描き、国内外から高い評価を集めている細田守監督の第3作目劇場長編アニメーション。本作では、数奇な運命をたどる母と、おおかみと人間という二つの顔を持つおおかみこどもたちとの絆を描く。本作に向けて新しく制作会社スタジオ地図が立ち上げられた。前2作に続き「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの貞本義行がキャラクターデザインを、「八日目の蝉」の奥寺佐渡子が脚本を担当(本作では細田守監督も脚本に参加)。「ツレがうつになりまして。」の宮崎あおいがたくましい母を、「桜田門外の変」の大沢たかおがおおかみこどもたちの父の声を演じている。

人間の姿をしていながらもおおかみおとこという正体を持つ男(声:大沢たかお)と出会った大学生の花(声:宮崎あおい)。二人は惹かれあい、やがて子どもを授かる。姉の雪と弟の雨は、人間とおおかみのふたつ…
[2012年7月21日公開]

コメント(1)

 なんといっても『八日目の蝉』の奥寺佐渡子の脚本であるだけに、母子の情感はたっぷり。一児の母でもあるあるだけに、子育ての大変さが滲み出ていました。きっといま同じように子育て中の若いお母さんには、「そうそう!」って、とても共感を抱かれることでしょう。 ただラストの盛り上げ方が今ひとつという気がしました。姉の雪の初恋。そして弟の雨の自立。それぞれおおかみの子供でるという宿命を背負って、自分の生きる道を開こうとする姿には共感は持てるのですが、もう少し時間切れ気味なラストに余裕を見せて、一波乱を描いて欲しかったです。

 映像的には、バーチャル空間のリアルティを描ききった『サマーウォーズ』のときよりもさらに進化。実写に近い3D描写を取り入れています。花と子供たちが散歩するシーンや雨が「先生」とともに森を駆け巡るところは、スピーディな情景移動と相まって、観客もスクリーンのなかで森を駆け巡っているような錯覚に襲われてしまう映像でした。

 さて、知り合って好きになった男性は、なんとおおかみ男だったというあり得ない設定の本作。その奇天烈さを、花夫婦の暮らしぶりに密着し、丹念に日常生活の悲喜こもごもを描くことで、次第に違和感をなくしていくところが、細田監督の演出の上手いところだと感じました。
 なかでも、『カールじいさんの空飛ぶ家』の冒頭を彷彿させる無音シーンは感動的。花と夫との慎ましい暮らしぶり、貧しいけれど笑顔の絶えない幸福そうな花の表情に、思わず目頭が熱くなりました。

 その後生まれてきたふたりの雨と雪の子供たち。だだのこねかたはさすがに毎日子育てに奮闘している脚本家の実感がこもっていました。しかもおおかみパワーが加わって、すさまし暴れようなんですね(^^ゞ
 子供たちが病気になったとき、小児科に連れて行くべき、動物病院に連れて行くべきか迷ってしまう花の困惑ぶりが可笑しかったです。

 夫の死亡はやや唐突だけれど、オオカミの姿のままで死んでいった夫がゴミとして回収されるところに居合わせても、遺体として主張できない花の悲しみはよく伝わってきました。その死の理由にも、ちょっとホロリとさせられます。

 それでもめげずにふたりの子育てに取り組んでいく、花の気丈さが本作のいいところ。決して暗くならないのですね。そして、家族の秘密を守り、将来子供たちがおおかみとして生きることを選択した場合を考えた花は、長野県の山深い山村に引っ越すのです。

 引っ越し後は、アルプスの山々や緑深い森など自然の描写がリアルで素敵です。また人との関わりあいを避けて都会から引っ越してきたはずなのに、山村の人々は、遠くから足を運んで、畑仕事のアドバイスなど花の自活を助けてくれるです。そんな田舎ならではの人々の助け合って生きる人情にもほだされました。

 やがて物語は、雨と雪の成長と共に、おおかみであるべきか、人間として生きるか。姉弟それぞれの生きる道の選択を迫ります。
 雪は、学校生活がとても気に入り、友だちもできて、普通の小学生として周囲に溶け込んでいきました。なかでも、転校生の少年とは、淡い恋の予感が。どうも雪は、人間として普通に生きることを望んでいるようです。そんな雪が、少年に自分の正体を打ち明けるシーンの描写とても印象的でした。
 一方弟の雨は、森の主の年老いたキツネを「先生」とよび、学校にも行かずに、毎日
森に出向き「先生」に付き従って、森の掟を学びます。
 10歳になった雨。人間としてはまだ子供ですが、おおかみとしては充分に自活しうる年頃を迎えていました。「先生」が死んで、森は新たな主が求められていました。嵐の日にとうとう雨は巣立ちを決意します。
 それを察知した花は、嵐の中を必死で雨を探して、遭難してしまうのです。花はどうなってしまうのか、ラストは劇場でご覧ください。

 出演陣では、花の吹替えを担当した宮崎あおいが抜群に花の明るさや愛の深さを表現していてよかったです。夫役の大沢たかおも、渋めの声で世間から隠棲して生きてきたおおかみ男らしさを上手く表現していました。

 ところで、この夏、定番のシブリ作品がないというのが一番の異変ですね。代わりに登場したのが、この細田守監督作品。日本テレビが全面的にバックアップするからには、ヒット間違いなしでしょう。『コクリコ坂から』では老害さえ感じたジブリに変わって、これからはスタジオ地図の時代がやってくるのでしょうか。次作も楽しみです。

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